夢の中のようなブルーの街を探して-ラジャスタン州ジョードプル
目次
■ネット上に出回る写真が加工されまくっている
「ジョードプルがブルーシティだって言われているけど、あれはフォトショップで加工してるんだよ」
インドの写真を探してる時によく出てくる、あまりにも美しいこの写真たち。色々な写真がありますが、深い碧がまるで海の中にいるように美しく、写真を見るだけで心を奪われそうになります。この写真の場所が今回の疑惑の街ジョードプルです。
インドパパ、正直に言うんですけど、1995年、2008年と2回程ジョードプルに行ったことがあるのですが、こんな青くてきれいな場所、行ったことも見たこともないんですよ!!!
僕が行った事のあるジョードプルは土色の砂漠の中の街といったイメージで、上の写真の美しい青い街とはまるでかけ離れています。青い建物はあるにはあるんだけど、ちょっとだけだった記憶しかありません。建物はすごい素敵なんだけど、本当にそんなに青かったっけかなぁ…
だから友達に「ジョードプルに行ったことある? こんな綺麗な所なんでしょ?」と写真を見せられた時も、「ジョードプルはブルーシティだって言われているけど、あれはフォトショップで加工してるんだよ」って大真面目に断言してました。
■寝るどころではないバイブレーション寝台バス
ジョードプルはラジャスタン州の砂漠の中の街です。デリー、ジャイプール、アグラの黄金の観光三角地帯からちょっと外れた街で、一般の観光ルートからはちょっとだけ外れています。
ジョードプルに行くには、首都のデリーから寝台特急に乗っていくと12時間位。インド旅行は列車を使うのが一番ラクなのですが、たまには変わったものに乗ろうと思って「寝台バス」と言うものを予約してみました。
この寝台バス、外側は普通に2階建てバスに見えるのですが、中はこんな感じで寝台が並んでいます。
一つの寝台の大きさは縦180cm、幅が60cm位でしょうか。
このバス、一見快適そうに見えますが…走り始めたら、日本では感じたこともない凄まじいバイブレーションと振動が襲ってきます!!!
「ドガガガガ…」、「ブルブルブルブル…」、「ビビビビビ…」
ありとあらゆる異音と振動がバスの中から発生します。横になっている体が浮き上がるような大きなショックも3分に1回位の間隔でやってきます。さらに悪いことに、寝台にシートベルトが付いていないので、バスがカーブに差し掛かる毎に寝台から落とされそうになります。
完全に悪夢のバスです。
移動する拷問装置と言っても良いかもしれません。
やっぱ電車にすればよかったよ!!!
■ジョードプルにつくとそこは壁画の街だった
身体中が悲鳴を上げる中、ジョードプルについてみると…そこは壁画で彩られた美しい街でした。レンガ造りの壁にマハラジャが狩猟するシーンの絵が描かれています。奥にはその昔、マハラジャが住んでいたメヘランガール砦が見えます。
ランゴリにも使われる吉兆模様がバイクの後ろの壁に描かれています。
素敵な壁画はオートリクシャの後ろにも
街の中にある、一般庶民が使っている建物が既に宮殿みたいですが…ここにも壁画が描かれていました。
壁画の前に犬が寝ているのがなんともインドらしいですね。
壁画の描かれている街の写真を見ていただくとおわかりのように、青色の建物はどこにもありません。やっぱりジョードプルはブルーシティじゃないって言う確信は更に深くなります。やっぱりあの写真は観光用の嘘なんだよなぁ………。フォトショップ職人も罪深いぜ。
■漫画ワンピースに出てきた賑やかな市場
でも…もしかしたらあの青い街並みがどこかにあるのではないかと思って市場に行ってみることにしました。ジョードプルの中心地クロックタワーの市場に向かいます。このクロックタワー、漫画のワンピースに出てきたんだそうですよ。
青い建物はどこにもありませんが、市場自体はとっても素敵です。
雲一つない抜ける空、ボロボロのシートで作った日陰に、屋台で売られる野菜たち。ティラキタ買付け班が大好きな、夢にまで見た市場の姿がここにありました。
大きな水瓶を売っているお店。この水瓶は素焼きで出来ていて、中に水を入れておくと気化熱で中の水を冷たく保ってくれるのだそうです。高温でも湿度の低い、砂漠の国の生活の知恵ですね。
ホーリーの日が近かったので、ホーリーの色粉屋さんが何軒も出ていて大繁盛していました。
昔ながらのインドのハサミが売られていました。これ、カワイイんだけど、切れないんだよなぁ…
グロッサリーショプではたわしから宗教用品まで幅の広すぎる品揃え。いかにもインドらしいです。
元気のいいおっちゃんもインドの市場ならでは
砂漠の国ラジャスタンならではのカラフルターバンもありました。顔の役目をしているのは膨らませた風船でした。カワイイ!
■蒼い街並みを探して
しかし…街中を歩いても、市場に行っても、青い街並みなんてどこにもありません。
青い街並みはフェイクだという確信がどんどん強まります。
フォトショッップ職人様に完全にダマされました。
ウソ写真を見てジョードプルにまで来るなんて…
最後にダメ押しのために、高い所に登ってみることにしました。
あったあった!! ちょこっとだけ!!
本当にちょっとだけ、青い街並みがありました。
反対側も見てみます。青い建物はやっぱりちょっとだけです。こんなに高い所に登っても少ししか見つからないのですから、青い街並みはウソということで決定でいいと思います。
■インドの中でも有数の見どころメヘランガール砦
次の日。青い街並み探しは諦めて、メヘランガール砦の内部に行くことにしました。
メヘランガール砦はジョードプルのマハラジャが実際に住んでいた宮殿で、今は博物館になって保存されています。色々とインドの観光地も廻りましたが、このメヘランガール砦はインドの中でも有数の見どころだと思います。貴重なマハラジャの財宝に、よく手入れされた建物、城の上から見下ろす風景は抜群です。
ふとメヘランガール砦の裏側からジョードプルの街の反対側を見てみると…
あれは!!!!!!
青い街並み!!!
ネットで見た青い街並み!!!!
ネットで見た画像よりは色が薄いけど、たしかに目の前にあるのは青い街並みです。
ジョードプルの青い街並みは僕達、観光客の目から隠れるように、街の裏側にありました。そしてカメラのミニチュアモードで撮影してみると…カメラの中にはネットで見たあの画像が写っていました。
インド人様ゴメン!!!
フォトショップ職人様ゴメン!!
完全に君たちの仕業だと信じてたYo!!!!
■青い街はウソじゃなかった!!
「青い街はウソじゃなかった!!」と言う事で後からジョードプルを観光に来るみんなが、素敵な所を見落とさないように、GoogleMapで青いエリアに丸をつけておきますね。
え? お前みたいに馬鹿じゃないからちゃんとガイドブック見ていくって?
そうですよね?
でも、ティラキタ買付け班、2回行っても青いエリアに辿り着けず、3回目にようやく発見したのですから、そう言う人もいると思うんですが………