お前が選んだ布は一枚もない!! 全く異なる文化圏インドとのお仕事について

目次
■全く異なる文化圏インド
今回は、ティラキタのお仕事について書いてみたいと思います。ティラキタは、インド、ネパール、タイ、ベトナム、インドネシアなどと取引していますが、その中でも一番独特なのがインドとの取引です。
インドとのお付き合いは長いですが、付き合えば付き合うほど、インドは完全に別の文化圏だなと感じます。

挨拶一つとっても、首を横に振るのがYESの意味だし。
みんな不思議とフレンドリーだし、神様を信じているし、人口は多すぎだし、カレーばっかり食べているし!!
何から何まで違うよなぁ


交換せず、保証せず、、返品交換もしないお店って逆に新しい!!
こちらのお店では、FIXED PRICE. NO REFUND EXCHANGE AFTER 2PMと書いてありました。交換は2時以降ってどういう事なんでしょう…なんか、宗教的な意味でもあるのでしょうか。

そんな訳で、購入した商品の返品が難しいインドでは、その場できちんと確認して購入するのは当然のことです。

■インド人との取引とは
独特の商習慣があるインドにおいて、ティラキタが長年かかって肌で学んだインド人の取引の3主義があります。インド人であれば肌で理解していることなので、誰も教えてくれず、どこにも書いてありません。インド人の中では、当然のルールとなっているのですが、我々はこれに翻弄されまくります
・現場主義
・現金主義
・その場にあるものしか信用しない主義
とにかく彼らは、眼の前の仕事を一番大切にします。今、お金が入り、今売れるということを一番大切にします。
インドには様々な地域があり、様々な人々がいて、様々な言葉が話されていますが、この現場主義の感覚は全国共通です。
また彼らは現金が大好きです。現金は足跡がつかないですからね。賄賂に使えますし、税金も逃げられますし。それを問題視したインド政府が、2016年に突然お金を使えなくする“Demonetization”(通貨廃止)という荒業にでたので、流石に過剰な現金主義は息を潜めましたが、まだまだ残ってはいます。

■インド人とのコミュニケーションはWhat's App
インドに行けない時は、What's Appというメッセージアプリを使用します。What's Appは日本のLINEみたいなものですね。面白いもので、各国のメッセージアプリは、その土地の人々の特性に合わせた設計がされています。
LINEは、セキュリティが厳し目で、年齢確認が済んでいないと友達リクエストなどに制限がかかります。また、かわいいカルチャーから、スタンプが豊富に揃っています。プライバシーを重視する、繊細な国民性を反映しているのだと感じます。
What's Appはフレンドリーな南アジアの人々の気質を取り入れて、相手の電話番号さえわかればすぐに友だちになれる簡単さが特徴です。すぐに繋がって、すぐに写真を送れて便利!!! でも、スパムメッセージがよく来ます。
彼の国にプライバシーの概念はあまりなく、例えば、結婚式の記録ビデオをYou Tubeにアップして、誰でも見られる状態にしておくのは、彼らにとっては当たり前のことです。

大勢の親戚が映っている結婚式の記録ビデオを、You Tubeに上げているのを知った時は流石にびっくりしたよ!
プライバシーは? 親戚一人ひとりに了解は取ったの?と思ったんだけど。
そのうち、それが彼らの当たり前なのだと気がついたんだ
■写真が突然数百枚送られてくる♪
さて、それではここで、インドの方々との実際の取引をシミュレーションしてみましょう。
あの、インドの布屋さんに注文をしたいのですけど

了解! そしたら、布屋さんとグループにしておくから、そこで聞いてみて

すいません、布の注文をしたいんですけど…

ありがとう!! 写真を送るからその中から選んでもらえるかな?
布屋さんと繋がって、連絡して、半日後。凄まじい量の写真が送られてきました。布の写真が延々と続きます




うわーーーー!!! 写真がすごい来ました!! こんなの選びきれませんよ!!
ちょっと時間がほしいし、みんなで相談したいです
最後に何枚かをセレクトしました。セレクトしたものの写真を送ります。


いやーー。布のセレクト大変でした。時間がかかりましたよ

お疲れ様~♪ これで次の仕事にかかれるね

ジャパニ。お前が選んだ布は一枚もない。全部売り切れだ。もう一回選んでくれ
との連絡。

うーーーそーーでーーしょーーー!!!!!!!
でも、このパターン、前もありましたよ!!!!
■お前の選んだものは全部ない!!!
この「お前の選んだものは全部ない!!!」がなぜ起こるのかと言うと…この記事で一番最初に書いた、”現場主義”、”現金主義”、”その場にあるものしか信用しない主義”に反しているからなのでした。インドの皆様は、とりあえず写真は送るけれども、眼の前にお客さんが来れば全部売ってしまいます。売れる見込みのないものをいつまでも持っていたりはしません。
和を大切にして、みんなとの意見調整に一週間かけるのは私達の習慣ですが、一週間前のモノを、彼らはずっと持っていたりはしません

写真は送ったけど、眼の前にお客さんがいるのだから当然売るよ!
■また1から選び始める無限ループ
そして、ティラキタ買付班、また1から写真を見直して、選びます。そしてまた、それはない攻撃がやってきます。延々と続く無限ループ…
インドとの取引は、行ったその場で全部決めてこないとダメですね!!!
