インド人がガンジス河の水を売りに来た
■聖なるガンジス河の水が、今ではペットボトルに!
つい先日、インドから水を買わないかと、ペットボトルの写真が送られてきました。「水をなんで売ってくるのかな? 別に水は欲しくないんだが…」と思ってよく見てみたら、中に入ってるのはただのお水ではなく、ガンガージャリというガンジス河の水でした。ヒンディー語でガンガー=ガンジス河、ジャリ=水という事なので、ガンジス河の水という意味になります。
聖なるガンジス河の水が今ではペットボトルに詰めて売られる時代になったんですね。
時代の変化にまずはびっくりです。
■ガンジス河の水は大切なもの
ガンジス河の水はもちろん商品ではありませんが、それを詰めて売ることで稼ぐ人たちは昔からいました。その昔は、バラナシの裏道の小さな工房で、銅製の小さな壺にガンジス河の水を入れ、上から蓋をハンダ付けして漏れない様にして、ガンジス河の水を地元まで持ち帰れるお土産を作っていましたっけ。
地元の人たちが作った、ガンジス河の水入りの壺はバラナシの定番のお土産として、多くの巡礼者の方々に買われていきました。
とはいうものの。
私たち日本人の目から見ると、バラナシのガンジス河の水はあまりにも汚く、泥臭く、とても飲めたものではありません。正直、触るのも嫌だというレベルの汚染度です。泥水が流れているようでいて、手を浸けると、3cmか4cmぐらいで、指が見えなくなります。
ガンジス河はインドそのものを体現したかのような河です。
火葬された死者の灰はもちろんのこと。
赤いサリーに包まれた死体も。
生活排水も。
礼拝の灯籠も。
全て一体になり、混沌としていて。そして何事もなかったのように押し流してゆく。
それはまるで全てを受け入れるインドのようであります。
■全てを浄化し癒すガンジスの水の力
ガンジスはインドでは最も神聖な河であり、何世紀にもわたって、ヒンドゥー教徒、仏教徒、ジャイナ教徒の巡礼者や信者を引き寄せてきました。インドの人たちはガンジス河の水を、聖なるものとして考えています。
ガンジス河の水を、礼拝の時にシバリンガムと呼ばれるシバ神のシンボルにかけたり。
礼拝の時に小さじ1杯ほど手に乗せてもらって、頂いたり。
神様像に振りかけたりもします。
ガンジス河の水がどのようにして浄化し、癒す力を持っているのかは、科学的には解明されていません。
しかし、ガンジス河の水には、抗菌作用や抗炎症作用があるとする研究結果があります。また、ガンジス河の水には、ストレスを軽減したり、気分を落ち着かせたりする効果があるとも言われています。
ガンジス河の水は、単なる水ではなく、インドの人々の心のよりどころ。ガンジス河の水は、インドの人々の生活に欠かせない存在であり、インドの文化の一部なのです。
私達から見たらただの汚染された水であっても、12億人のインド人の皆様にとっては、ガンジス河の水は聖なる水であり続け、そして貴重なお土産としてありがたがられてきたのです。
■ヒンドゥー教徒の大聖地ガンゴートリーから直接採取
そんなありがたいガンジス河の水ですが。さすがにインド人たちも、汚染されたバラナシの水ではダメだと思ったのでしょうね。
こちらのペットボトルのお水はヒマラヤの山中にあるガンジス河の源流地ガンゴートリーで採取されたものとのこと。
ガンジス河の始まりの地であり、ヒンドゥー教の大聖地でもあるガンゴートリー。ティラキタ買付班はまだ行ったことがないのですが、標高が高く、空が近くて蒼く、本当に素晴らしいところみたいです。一度は行ってみたいなぁ…
ちなみにこちらは近くにある大聖地ケダルナート。美しい所ですね。
そしてこのペットボトルの中には、標高3000Mのガンジスの源流で採取された汚染されてないフレッシュなガンジス河の水が詰まっています。それはそれは特別なお水なのでしょう。
とはいうものの。
インドでは特別な聖なる水であっても僕ら日本人にとってはただの水。正直、日本でこれが欲しいという人はほとんどいないと思うのですが。
もしかしたら日本国内に数人ぐらいは欲しい人がいるかもだし、ちょっとだけ輸入してみようかなぁ。という気になりながらこの記事を書いているところです