ヒッピー思想をベースにしたティラキタの経営哲学。お客様と従業員、両方の幸せを求めて。
目次
■人間の幸せを追求した経営
新年、あけましておめでとうございます。いつもインドやアジアのことをお伝えしているティラキタブログですが。
新年という事で、私達が目指す幸せな毎日のことを書いてみようと思い立ちました。
ヒッピー思想に影響を受けた経営手法は、他の社長が言わないことであり、
他のどんな経営本を読んでも聞いたことがないものです。
ヒッピー思想からの影響を基に、日々の現実への対処をしながら編み出した、幸せな毎日を求めるティラキタならではの経営論になります。
ここで書く経営論は「いかにお金を稼ぐか」とか、「いかに会社を大きくするか」とか、「いかに有名になるか」とか。世の多くの経営者の方が目指しているものではありません。ここで書く経営論は「いかに幸せになるか」を求める経営です。
私達はお客様からお金を頂戴して商品を提供している会社ですので、
・安定してハイレベルなサービスを継続的にお客様に提供する
・継続的にサービスをアップグレードしていく
これを実現するために
・会社で働く全員の幸せを追求する
・従業員を一番貴重な宝として捉え、できるだけ長期間、一緒に力を合わせて働いていく
事にしています。
従業員が「安心して、楽しく毎日を送ることができる」ことが、すなわち、お客様に最善のサービスを提供できる原動力になり、課題に対して前向きに取り組むことができる原動力になり、未来へ向けてよりよいサービスを作ることができる原動力になります。
■会社経営とヒッピーコミューンは似ている
去年のいつだったか覚えていないのですが。「会社経営とヒッピーコミューンって似てないか?」って思い始めました。
表面的なことだけを見たら、会社経営とヒッピーコミューンと全く違います。会社経営は利益を上げるのが目的なのに対し、ヒッピーコミューンはその真逆で、みんなで共同生活をすることによって、理想の共同体と社会を作ろうとする試みです。
利益を追求する組織と、人間のあり方を追求する共同体は、基本的には全然違いますが。
でも、会社経営が利益を第一優先とするのではなく、幸せを第一優先とするのだったら。
会社の存在意義を「社員とお客様の幸せを追求する」ものと定義したら。
会社は、ヒッピーコミューンと目的が一緒であると考えられるのです。
幸せを追求する理想の会社運営を求めて行った時、その最終形はヒッピーコミューンに似てくる。
ふとしたきっかけで、そう気づいたのを始まりに。
理想の会社運営とはを考えることになりました。
■株式会社という不幸せな仕組み
今のこの資本主義の世の中において、会社は大きければ大きいほど正義とされています。会社を作ったら猫も杓子も、みんなが会社を大きくする方向に向かっているような気がします。会社を大きくして、マーケットシェアを取り、一番になること。
一番になって、大きな利益を上げること。
それが経営の正義とされています。
それには理由があります。
世の中の多くの会社は、株式会社と言う形態をしていますよね。
株式会社にするのは、社会から広くお金を募り、大規模な会社を作るからですが。
株式会社はその仕組み上、働いている人たちの人生のためにあるのではなく、株主のために存在しています。
株式会社の目的とは、一株あたりの利益を最大化し、株主の利益を最大化すること。
そこには「個人の幸せ」はなく、ただただカネの論理しかありません。
カネが儲かるのが正義で、投資家に配当を出し、儲けさせるのが目的です。世界で最初の株式会社と言われる東インド会社は、自社の利益を最大化させるためにインドを我が物にして、戦争状態に陥れましたし。
カネのために、できるだけ人を安く長時間働かせ。
できる仕事は全部機械にやらせて。
利益を最大化するのが一番の目的である。
そんな場所に、そこに働いている人々の幸せがあるでしょうか?
ただ、企業も様々です。
社員のことを思い、手厚い福利厚生と、給料で社員に報い、素晴らしい経営をしている株式会社が数多く存在することも知っていますので、一概に「株式会社は不幸せ生産装置である」とも言えないとは思いますが、株主優先という会社の仕組み自体はあまり良くはないよなぁ…とは思います。
■最初から綺麗事を言えたわけではない
今でこそ、手法がほぼ確立し、幸せを追求する理想の経営ができる訳ですが。もちろん最初から綺麗事を言えたわけではありません。ティラキタを初めたのは2001年の夏のことでした。
もちろん、その時は私達が食べていくために初めた仕事でした。
50万円を元手にしてインドから商品を輸入してきて。周りにネットショプがない中で、お手本もいない中で、自分たちで考えながらWebを作って初めて商品が売れた時のことは今でも忘れられません。
月日が経つにつれ、お客様にも支持して頂けるようになり、いつしか会社になりました。
仲間も徐々に増えてきて、今では多くのスタッフは10年も居てくれる人々ばかりになりました。
いわば、10年もみんなの人生を預かってきた訳です。
その中で、何もなかったかというと。
全くそうではなくて。
社長と社員の軋轢があり。
お互いの不信感がある日々があり。
うまくいかない日々がありました。
うまくいかない原因は「会社は利益を生むために存在するのだから…」と、いろいろな事を利益優先主義にしていたからでした。
利益のためならいろいろな事も目をつぶる。
無理も通す。
社員に無理をさせる。
そんな事をしていたから、会社の中の雰囲気は悪く、そしてもちろん、ミスも多く、ロクな新商品も出せず、うまくいかない。
社長が空回りするだけでうまくいかない。
そんな日々でした。
ブラック企業ではありませんでしたが、お金のことばかり考えていました。
会社というのは利益を出さないと潰れてしまいますので、ちゃんと利益を出して継続的に運営していくというのがとても大切です。お客様が喜んで買って頂ける商品を提供することも、適正なお金の配分があってこそです。
会社を残すために必死だったのではありますが…
会社経営において、お金は本当に重要ではありますが…
でも、カネを第一優先としていたら、経営はうまくいかない。
それを何年もかけて、痛みを伴って学んだのでした。
■ヒッピー思想と会社経営の類似点
僕は自由が好きです。自由を求めてインドに行き、南米を旅行し、そして中でヒッピー思想に出会いました。
インドに行く中で、様々な影響を受けてティラキタを経営することになりました。
ヒッピーというと、サイケデリックな服を着て、インドを放浪して…というイメージがあると思いますが。それは表面的な部分の話でして。
ヒッピー思想とは、個人の手に力を取り戻し、自力で暮らしを建て直し、個人個人のネットワークにより社会変革を目指すことを思想の根幹としています。コミューンと呼ばれる共同生活を通して、身のまわりから世界を変えることができると彼らは信じました。
米国やヨーロッパだけでなく、ここ日本においてもコミューンは存在し、その多くは時代の流れの中で姿を消しましたが、今でもそのうちの一つ、獏原人村は福島に存在し続けています。
いろいろな縁があってコミューンに出入りしていましたが。
いつしか、ティラキタの会社経営とヒッピーコミューンが歩み寄り始めたのです。
「会社経営を通じて人を幸せにする」という事は、「コミューンと呼ばれる共同生活を通して、身のまわりから世界を変える」と何ら変わりがありません。
それに気がついた時、正直、目からウロコが落ちる気持ちでした。ものすごい隔たりがあるように見えた会社経営とヒッピーが、自分の中で一つになったのですから。スティーブ・ジョブズが点と点を繋ぐ日がそのうちやってくるという有名なスピーチをしましたが、まさにそれでした。
コミューンを作って幸せな人生を送ろうという1960年代のヒッピーの言葉は、僕の中で「お客様も、従業員も、社長も、全員が幸せな会社を作ろう」に変わったのです。
■仕事とは日常である
言ってしまえば凄い当たり前の事なんですが。「仕事とは日常」なんですよね。
僕らが生きている限られた時間の中で、結構大きな割合を使っているのが仕事ですよね。起きている時間のほとんどを仕事に使っていますものね。
若かりし頃は、仕事をするのにムリをしていた日々がありました。ゲームを作っていた頃は一日18時間働いて、6時間寝て、また働いてをずっと繰り返していたのですが。
そう言う無理って結局続かないものです。
燃え尽きて、鬱になるのが関の山です。
「仕事とは日常」だから、継続できるペースで、マラソンするようにやるのが一番なのです。
そして「仕事とは日常」だから。
・毎日が楽しくなるようにしたいし。
・素敵な仲間と一緒にいたいし。
・お客様に喜んでもらえるようにしたいし。
・そして、毎日ちゃんとプライベートな時間も取りたい。
すごい自然な欲求としてそう思うんです。
本当に当然のことです。
■お金を中心としたこの世界の間違い
あなたにとって、お金と時間とどっちが大切ですか?お金も時間もとても大切なものですが。
あなたにとってはどっちが大切なものですか?
こう聞かれた時、僕は疑いもなく、「時間が大切である」と答えます。
お金は稼ぐことができるけど。
時間は限られただけしかありません。
お金をいくら持っていても、ご飯は一日3回食べれれば十分で、それ以上使うことはできません。お金は暖房と一緒で、「ないと困る、でも程々でいい。ありすぎても使い切れない」ものです。
時間は、誰しも生まれてから死ぬまでの時間しか持っていないのだから、とにかく時間が一番大切だという事に疑いはありません。
だから、経営においてもこれを第一優先にします。
働いているみんなが、人生を有意義に楽しめるようにすることを目指します。
・残業がないこと
・好きな時に休めること
・出産や介護など、個々人のライフスタイルに合わせた働き方ができること
・一ヶ月位の海外旅行に行ける休暇が取れること
幸せなコミューン(会社)を作りたいのだから、これは疑いもなく当然のことです。
■会社はそこで働いている人のもの
会社をコミューンとするなら、会社は働いているみんなのものになります。社員あっての会社です。
社員がいなければ、会社は会社ではなく、ただのハコです。
「会社は働いているみんなのもの」と言う理想を形にするために、ティラキタでは、みんなに利益を平等に分配することにしました。
その月の利益が一定以上超えたら、従業員の人数で割って、山分けするという、他の会社にないボーナスシステムを作りました。「みんなに会社の状況をわかってもらいつつ、正当に評価をするにはどうすればいいだろうか?」と考えた挙げ句の仕組みです。ボーナスは、自動で計算されるので、社長であってもボーナスが出るのを止めることができない仕組みになっています。
会社=コミューンの中で頑張ったら頑張っただけ、正当に評価される仕組みだと自負しています。
■理想を目指すための仕組み化&自動化
ここまで読んできて、「綺麗事ばかりいいやがって。」と思われる経営者の皆様もいらっしゃるかと思います。「会社経営はそんな夢物語じゃないぞ。」と、思われるかと思います。「俺は毎日汗水垂らして働いているんだ。」と思われるかと思います。もちろん、そこには秘密があります。
ティラキタがみんなに優しい経営をできる秘密はと言うと…それは全自動化です。
仕組み化&自動化する
とにかく仕組み化し、自動化する事が一番大切です。
毎日の日常の仕事の中で、コンピュータに仕事をさせられる所はどんどん仕事をさせ、完全に自動化します。
ティラキタでは本店の他に楽天店、Yahoo!Shopping店、ヤフオク店、Amazon店、SuperDelivery店、Wowma店と6店を展開していますが、ほぼ全自動でページが作られ、在庫は更新され、注文は本店に集約されるようになっています。
そして毎日、「ここは自動化できる」、「ここはひと手間少なくできる」とみんなで意見を出し合い、さらなる省力化を目指すのです。社員数が増えなければ、より1人の人に多くお給料を払えますからね。
オンリーワンを目指す
オンリーワンを目指すのはとても大切です。ティラキタの商品には、ティラキタにしかない物が多いと思うのですが。オンリーワンであれば競争がありません。だから、私たちは、インドとアジアの隅々まで旅行して、素敵な商品を探し続けます。
会社の大きさを目指さない
オンリーワンであることを目指し、競争のない商品を探していったら、当然のことですが、そこまでは売れません(^^;)
なので、自然と会社の大きさを目指さない事になりました。
でも、結果としてこれがすごく良くて。
会社が小さいと、みんなへ、より多くお給料を払えるし。
お客様により安く商品を提供できることになるし。
社内の風通しも良くなるし。
そして倒産しづらくなります。
正直、会社を大きくしてもあまりいい事はありません。
「うち、社員が何十人いるんだよ」って言う、社長の虚栄心が満たされるだけの話です。
蓄積できる仕事をする
私達はコンピュータをベースとした会社です。コンピュータで仕事した成果って積み上げることができますよね。自動化の次に大切なところが蓄積です。
とにかく蓄積できる仕事をする。
一回限りの消える仕事は絶対にしない。
これを心がけます。少ない人数でも、仕事を蓄積していったら、いつか1000人の会社と肩を並べることができますからね。
ちなみにこのブログも蓄積できるものです。ブログを書くことにより、お客様に商品の魅力を伝えるとともに、社員の自己勉強ツールにもなりますし。一回ちゃんと書いた説明は永久に消えることがありません。
■幸せな会社経営とはなにか
色々な考え方のバックグラウンドを書いてきたのですが。それを基に、「幸せな会社経営とはなにか」、「幸せな毎日とはなにか」ということを改めて考えてみます。
・お客様にちゃんとしたサービスや商品を提供できていること
・仕事のやりがいがあり、そしてムラがないこと
・好きな時に休めること
・仲間から信頼され、協力しながら仕事ができること
・自分たちが頑張った成果が、ファアに給料に反映されること
・残業がなく仕事もプライベートも大切にできること
・出産や介護など、個々人のライフスタイルに合わせた働き方ができること。すなわち、人間ファーストであること。
・そして会社の財務状況が安定していること。
きれい事ばっかり書きましたが。
きれい事、いいじゃないですか。
言っていれば、夢もそのうち形になります。
一緒に働くみんなが幸せであることが、ひいてはお客様へのサービスを安定させることに繋がり、お客様をも幸せにすることに繋がる。
そう信じ、このティラキタならではの「会社経営とは、幸せなコミューンを作ることである」と言う経営論を、2023年新年初頭の挨拶とさせていただきたいと思います。
長い文章を最後までお読み頂き、本当にありがとうございました。
■影響を受けた本
この様な考えに至るまでに、偉大な諸先輩方の著作に大いに助けられました。影響を受けた本をここに紹介させていただきます。・稲盛和夫 経営12カ条 経営者として貫くべきこと
・松下幸之助 道をひらく
・荒川 詔四 優れたリーダーはみな小心者である。
・不破俊輔 なぜ会社は大きくすると潰れるのか
・稲盛和夫 人を活かす 稲盛和夫の経営塾
・小さなチーム、大きな仕事〔完全版〕: 37シグナルズ成功の法則
・本田健 ユダヤ人大富豪の教え
・Spectator各号
・藤原新也 インド放浪、メメント・モリ: 死を想え