国民全員住所不定? ネパールの不思議な住所事情

■ネパールには住所がないって?


ネパールでは住所がはっきり定まっていないので、住所というものが、日常生活の中ではさほど重要とされていません。

住所がないと言っても、登記簿に記載してある住所は存在するわけですが、一般庶民のほとんどは、自分の正確な住所を把握していないことと、住所を基準にものごとが動いていないんです。

会社や銀行、学校などの公的機関や一部のお店などや、新しく開発された団地を除いて、その他の一般家庭の住所は、定かではありません。

住所がないから、特定の場所に行くのが一苦労です。どうやって目的地に着いたら良いか全くわからず、どこまでも続くレンガの塀を、迷いながら行ったり来たりなんてこともあります。



私達日本人にとって、住所がないなんて理解できないですよね。


住所がないって、どういう事?
凄く不思議に思いますよね。

当たり前でないことに初めて直面した時っていうのは、なぜか、素直に受け入れられないものです。住所がないなんてあり得ないことですものね。

住所はあって当たり前だし、自分の住所を知らないなんて、それって恥ずかいことだし、住所は、個人情報のひとつだから、公的提出物には必ず記入するのが当たり前でしょう、と当たり前を主張する自分が、日本の常識にガッチリと凝り固まっていたりします。

ネパールでは“住所”がぼんやりしています。

住所を知らなくても生活できているので、今では、知らないままになっていたりします。
慣れるってスゴイですよね。当たり前が逆転しちゃうのですから。

■住所がないから、郵便屋さんは来ない


ネパールでは郵便配達というシステムがありません。
郵便物は、最寄りの郵便局に行って受け取ったり、差し出したりします。
郵便局の私書箱を設けて、受け取ることも出来ます。

例えば、海外郵便EMSを受け取る場合、

日本で差し出す時の伝票には、ネパール住所は、とりあえずの住所を書いても大丈夫です。
荷物番号と連絡先番号(電話/携帯)と受け取り人名前さえ、はっきり明記してあれば、
荷物は手元まで届きます。

ネパールに荷物が到着すると、郵便局から連絡が来ます。郵便局に出向いて、差し出した時の、伝票の荷物番号とパスポートコピーを持って、荷物の受け取り申請をすると荷物が出てきます。

たぶん日本からネパールあてに郵便物を発送する時って、こんな住所で本当に届くのかなあ?と心配になると思いますが、大丈夫なんですよ。

ちなみに、海外郵便EMSを受け取る時の流れは、



荷物の受け取り申請後、荷物が出てきます。まずは、箱の中身を全部さらけ出し、
チェックされます。中身の内容によって税金を払います。



日本から送る伝票の内容(品名)を記入する箇所には、USEDと記入しておくと課税されにくいようですが、ネパールの場合、そこで担当している人にもよって、状況が変わるので、一概には言えません。

荷物の受け取りは、他人まかせにしてしまうと、自分で交渉できないために、高額な税金に涙を呑む、なんてことがありましたから、自分の荷物は自分で取りに行くのがおススメです。

また受け取りに費やす時間が、必要以上にかかります。
あっちの窓口へこっちの窓口へと行ったり来たり。
でも、めげずに荷物が手元に来ることだけに専念します。



郵便物は家まで届けてくれないし、受け取りに行っても1日がかり、最初はおかしいでしょと思っていましたが、住所がないし、郵便局のシステムもないのだから、こんなもんでしょう、と今ではあきらめています。

■住所は知らなくても大丈夫
ネパールの暮らしの中で、住所を書かなくてもいいんだぁ、という場面がよくあります。

銀行の申請用紙などには住所を書く欄はないので、個人情報は氏名とサイン、連絡先番号のみとなります。


ビザ申請に記入する住所も、とりあえずの住所でOKです。


例えばカトマンズに観光で訪れた場合、空港でツーリストビザが取得できます。

ツーリストビザ申請で端末に打ち込む住所欄は、ホテルの住所になるのだと思いますが、たぶんホテルに問い合わせても、ホテル側で住所を言ってもらえるかがわかりませんから、そういう場合は、適当に記入しても大丈夫です。

えっ、そんないい加減なの許されないでしょう、と思われるでしょうが、ホントに大丈夫なんです。これは不正であるわけでもなく、いい加減なのでもなく、ネパールはこれでOKなんです。ビザもちゃんと取れますから。

■住所がないから地図が使えない


街中には、地名標示はあったりしますので、だいたいの方向はわかるようになっています。

日本では、番地名などが電柱や壁面に記載されていますが、ネパールでは、番地そのものが無いのでわかりずらくなっています。

街中には、電柱に、矢印サインのついた店や学校などの看板が、ぶらさがっていますが、あっち➡だけでは、たどりつかないこともよくあります。



ネパールのグーグルマップを見ても、細かい番地まで記載されていないので、地図を頼りに動くことには、限界があります。住所が曖昧なので、住所を調べて目的地に着くという方法はなりたちません。



例えば観光中に、タクシーを使う場合、観光地やおもなホテルや、運転手が知っている場所であれば問題ありませんが、ちょっとローカルな場所を目指す場合は、運転手に説明するのは、住所がありませんから手間暇かかります。

運転手さんと一緒に場所を追跡するのも、仲良くなれたりしていいかもしれませんが…

グーグルマップを使って目的地を目指す場合は、市町村の市あたりまでは、行くことが出来ますが、例えば郊外の村の〇〇〇へ行くのは難しいですね。

ネットで登録されている住所を頼りに出かけて、目的地近くに着いてから、近隣の人にその住所を伝えても、住所で場所を誘導してくれる人はいません。ここが何番地だから、あっちでしょう、なんて答えはありえません。

■住所がないから、道案内で伝える
郵便配達はありませんが、家まで配達してくれるものもあります。



日常生活に必要なミネラルウォーターやガスボンベなど、また、電化製品やパソコン、ベッドなど、大きめのものを購入した時は、自宅まで配達してくれます。

配達日に、購入店の配達ドライバーから連絡が来ると、場所を説明します。
これがなかなか上手く伝わらないので、少なくとも5回以上、携帯でやりとりがあります。

ネパールの人たちは、道案内をよく聞いてくれません。
何でかわからないけれど、よく聞かないうちに携帯を切ってしまう人が多く、しばらくすると、携帯がかかって来て、とんでもない方面に走行中だったりします。

逆の場合もあります。
例えば、迷子になって道を聞くと、右行ってまっすぐ。とか、左だよ。とか、あっち。とか
そんな道案内ないでしょう、と言いたいくらいの説明にもならない案内をされたりします。
ネパール人って道案内がヘタですね。

■宅配料理が家まで届かない
レストランからの料理宅配サービスがあります。
Foodmanduとbhojという宅配です。

ドライバーは、バイクで配達してくれます。
Foodmandu は、だいたい400ルピー以上の注文を70ルピーの配達料金で来てくれます。



これも同じく住所からは配達はできないので、やっぱり道案内で配達してもらいます。
料理の宅配ですから、ネパールといえども速く配達することが要求されているようです。

道に迷いそうな複雑な地域は、特に郊外に行けば行くほど、配達ルートからは除外されています。

近くまでは来ているけれど、お宅まではいけない、と言うので、その近くまでという、家から2キロほど先まで、注文した料理を取りに行くという始末だったりするんです。宅配料理なのに外まで取りに行く、という貴重な体験です。


彼らはグーグルマップを頼りに配達しているようですが、市町村の村に入って来る場合は、配達する人も迷ってしまうので、一定のルートまでとなっているようです。

観光中にホテルの部屋でゆっくり食事をしたい場合などは、ホテルの場所さえ配達人に伝われば、美味しい料理で楽しめるサービスなのでおススメです。



住所がないと、手間暇かかって時間も使って、ということが発生するんですが、日常生活の中で、不便だなあと感じることは、ほとんどありません。

住所を知らないと変、という認識も、うっすらとあるくらいになっています。

当たり前にあったもの、無くなって、それに影響することを一通り経験してしまうと、すべては何でもないこととなって、通常に戻って暮らせるようになるようです。

ネパールでは、無くても大丈夫なことが、たくさんあるので、住所もそのひとつで、これでいいのだ!と思えば思うほど、ネパール暮らしは流れるように過ぎていきます。

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