■デコレーションの魔法使い
インドの結婚式は、非常に豪華なことで知られています。
彼らは年収の3-4年分のお金を使って、1000人以上の人達を無料で招待する大パーティーを繰り広げます。その
裏で活躍しているのが結婚式のデコレーター!
パーティーを支える裏方インド人たちの仕事ぶりを紹介します。デコレーターがちょっと魔法を使うと、あっという間に素敵な魔法の世界が出現するんですよ!
今回は、バラナシのアシーシュさんちの結婚式を舞台に、どうやってインド人が、綺麗なデコレーションを作り出すのかを見ていきましょう。
■トラスと布、そしてライティングの魔法
まず、この素敵なエントランスゲートがどの様に作られるかを見てみましょう。
インド人が結婚式のデコレーションをする時の必需品は、四角形の鉄のパーツを組み合わせて構造物を作る
トラスです。トラスがないと、イベント用の構造物をスピーディーに作ることは出来ません。このトラス。ぱっと見は汚くて、無骨でたいしたものではないように見えますが…
これが
本番になると大変身します。
写真の中にある構造物はトラス9本だけで作られています。
トラスとトラス同士はボルトで頑丈にくっつくので、このような立体的な造形が可能。ただボルトでつなぎ合わせるだけなので、あっという間にこの様な構造物が作れます。
トラスは本当に便利です。日本でもイベントで使われていますものね。
そして、
とても重要なのがライティング。
「これでもか!! 参ったか!」と言う量のLEDライトを使用します。インドのLEDとライトたち、おんぼろでボロボロで、今にも壊れそうなのですけど…
こんなボロが非常に良い仕事をするのです。
次に、重要なのが布です。
布はテカテカと光る光沢のあるものが好まれます。
トラスに布をくるくると巻くと、魔法がかかったように見栄えが変わります。今回はオレンジ色の薄い布を巻いたので、オレンジ色の構造物が出来上がりましたが、単純に、薄い布をクルクルとトラスに巻きつけるだけで、トラスを何色にも変化させることが可能です。
もうちょっと近づいてみましょう。
インド人がトラスに登ってぐるぐる…
あっという間にオレンジの柱が出現しました!!!
さてここで、もう一回、完成形を見てみましょう!!!
さっきのサビだらけのトラス、ボロボロのライト、そして布から作ったとは思えない完成ぶりです。もちろんシャンデリアとか、お花とか色々細かい装飾はつけていますが、基本的にはトラスと、布と、LEDだけでできてるのが分かります。
■机の装飾は
インドの結婚式の机は、美しい白のドレープがかかった布が巻かれています。
でも…中身はこの木の机!!
このボロい、今にもゴミ箱行きになりそうな木の机が、白い布を被せておくだけで素敵なテーブルに早変わり!!
机と同じように椅子も布で装飾されます。
基本的には白い変哲もない椅子ですが、背もたれの所にデコレーション布をかけるだけ!!
■ ステージはどうやって作っているのか
インドの結婚式は野外で行われます。野外に設置された素敵な天蓋の中で、アグニ(火)を使った儀式をおこなうのです。
新郎新婦が座っているのはこちらの3m位ある、豪華な天蓋です。
柱には花が巻かれ、全体の色調は薄ピンクで統一され、天蓋の上には多数の花が飾られています。
素敵に見えるメインの結婚式場でしたが。。。
朝になって見てみるとビックリ!!
トラスと台だけで作られていたのでした!!!!
平台の上に4本のトラスを立て、一番上に円形のドームを乗っけるだけで、それっぽい形を作っているのでした。
まず一番下に鉄枠で作った箱馬を置き、その上に日本でも舞台装飾によく使われる平台をおきます。
トラスには先ほどと同じように布を巻き、そして下からライトで照らすことで幻想的な風景を演出します。平台の上には白い布が敷かれていたのでしょう。
この様な技法を駆使してインド人たちは、
一夜限りの魔法空間を作り出します。この写真のオレンジと、紫の幻想的空間も、今まで紹介したトラス、布、ライトの魔法を駆使して作られています。
インドでは豪華な結婚式が多いので、日本よりも遥かにデコレーションの技術が発達しています。日本ではなかなかこういうデコレーションを行う機会は多くないと思うのですが、インド人のテクニックを参考にして、イベントを美しく飾ってみるのも、面白いのではないでしょうか。