一つの国の中で物価が10倍以上も違うカタールを訪問してみた
トランジットでカタールのドーハにやってきました。ここ最近、モロッコ行きや、ヨーロッパ行きの安いチケットは大体カタール航空だったりします。燃油サーチャージがないこともあり、トータルで他のチケットよりも4?5万円も安かったりするので、時間はちょっとかかりますが、ついついカタール航空を選んでしまいます。
乗り継ぎで時間があったので、ドーハの一日散策をしてみることにしました。
■街で面白いものを探してみたよ!
カタールは始めてくる国なので、色々と、見たことないものがありました。
まずホテルに入って…おや、トイレに知らないものがあります。見慣れた便器の横にもう一個なにかあるのです。何だこれ…と思って、友人に話をしたら「それはオストメイト用のトイレなのでは…??」というのですが、なんか違う気がします。ホテルの人に聞いてみたら「ああ、それはね。イスラム教徒がお祈り前に手を洗う所なのよ」とのこと。なるほど。
部屋の天井に変なシールが張ってありました。なんだこれ…? と思ってよく見てみたら、キブラと呼ばれる、メッカの方角を指し示しているステッカーでした。なるほど。カタールでは、ホテルの部屋がイスラム教徒用になっているのですね。なるほど。
街に出て、てくてく歩くと…アラブっぽい歩行者の看板を発見! これもイスラム教徒用な感じですね。これはカタールの伝統的な服のイメージなのだそう。
おしゃれな市場(スーク)もありました。
お客さんに来てほしいのか、ほしくないのか全然わからないバイバイ・フードコート。入る前にサヨナラされてもなぁ。
街を歩いてみると、変な形をしている建物があちらこちらにありました。バベルの塔みたいなモスクとか。
斜めになっている建物とか。
これは建築中の国立博物館。砂漠の薔薇をモチーフにした建物でしょうか。今まで見たことがないフォルムですね。とにかくオイルマネーに物を言わせて作ったような建物ばかり。
しかし、街を歩いてみると…暑いからか、街には人が全然いません。今日の気温は41度。焦げるような暑さでした。かいた汗がすぐに蒸発してしまうので、汗をかいても濡れない、汗をかいているのかどうかがわからない暑さです。
暑すぎて路上のフィットネス道具の周りには誰もいません。41度を超える暑さの中でトレーニングしたら死ぬでしょう。きっと、ここには夜、人がやってくるのだと思いますが…
砂漠の国なので、ほっておいたら植物は育ちません。すべてこのようにパイプを通して灌漑して、植物を育て、生け垣や芝生を維持しているのでした。しかもこの水は海水を淡水化した水なのだとのこと。金持ちだなぁ
たまに人がいるな…と思ったら、41度を超える暑さの中、建築現場で働いているインド人、バングラデシュ人、ネパール人ばかりです。いわゆるカタール人は人っ子一人歩いていません。話しかけてみると…インドのケララから来たという人や、バングラデッシュのダッカからやってきたっていう人ばかり。出稼ぎの人にしか会いません。
よくよく見ると、カタール人たちは、出稼ぎ者が酷暑の中働いているのを横目に、涼しい顔して車に乗って移動しているのでした。
■一つの国の中で物価が10倍以上も違う国
カタールの空港に降り立ってみた時、空港内の物価の高さに驚きました。例えば、日本だったら120円で売ってそうな40gのキットカットが240円(8リアル)。日本の倍額する感じでしょうか。
そしてスタバの220m瓶がなんと780円(26リアル)!!! 780円も出してスタバの瓶買わないよ!!
やっぱし産油国だしな…第二のドバイだしな…と思える物価です。
どこに行っても高いのかな…とビクビクしながら実際に街に出てみて、ローカルのレストランに入ってみました。
こんな感じで、そんなに汚いレストランなわけではありません。
メニューを見てみると、パラタが30円(1リアル)、アルゴビというカリフラワーとじゃがいものカレーが270円(9リアル)と、拍子抜けする値段です。スタバの220m瓶が780円するのだから、カレーは2000円以上するはずですが、なぜか270円です。安いからと言って手を抜いているわけではなく、パラタもインドカレーもそこそこ美味しく、満足の行くボリュームと味でした。
その後、イスラム博物館に足を伸ばしてみると、空港で見た、驚愕の物価がまたやってきました。きゅうりとミントのサラダが25リアル(750円)。
Fiji Waterが480円(16リアル)もします。 この値段に驚いた後、ローカルのお店でミネラルウオーターを買ったところ、30円(1リアル)でした。
カレーが1食270円で食べられるのに、スタバの220m瓶が780円。
ミネラルウオーターが480円から30円まであるって…どういう事?
きゅうりとミントのサラダが750円もするのだから、輸入品だから高いと言う訳でもなさそうです
一つの国の中で物価が10倍以上も違うんですけど。
この国、どうなっているんでしょう…………。
■社会が二層になっているのかなぁ…
普通、一つの国の中でこんなに物価が違うことってないんです。もちろん国が違えば物価が違いますが、一つの国の中で10倍もの値段の違いが発生することなんてほぼないんです。比較している高い場所が空港や美術館ですから、極端に高いということも考えられますが、それでも10倍の開きはありすぎです。
調べてみたところ…カタールの一人あたりGDPは650万円(59,330USD)で、日本の400万円(38,894USD)の1.5倍もお金持ち。1.5倍もお金持ちなんだから、別にスタバの220m瓶が780円であろうと、Fiji Waterが480円であろうと気にせず出せそうな気がしますよね。
でも、出稼ぎに来てるインド人たちは、一ヶ月4万円から8万円ほどの給料ですから、到底一本480円もするミネラルウォーターは買えないはずです。しかし、彼らだって食べなければ生きていけません。
今のカタールの人口のうち、4分の3がインド人やネパール人、バングラデシュ人などの出稼ぎ労働者で、残りの4分の1がカタール人とのこと。そうすると、人口の4分の3は一ヶ月5万円で過ごしているけど、4分の1は一ヶ月50万円以上もらってる事になります。
人口の4分の3の人たちがメインに使うレストランが、先程のローカルレストランなのでしょう。
それで、異常に高いと思ったのがカタール人用の値段なのでしょう。
ティラキタ買い付け班、今まで色々な国を旅してきましたが、ここまで露骨に格差を感じさせる国には初めてやってきました。一つの国の中で10倍もの物価差があるとは…実際に訪問し、その片鱗を目にしてみて、衝撃を受けました。もちろん、一日だけの限られた中での訪問ですから、ちゃんと理解できてない可能性もあるとは思います。でも、多分、そこまで大きく間違ってはいないと思うんですね。
ただ石油が出る国に生まれたかどうか。ただ山の中の貧乏な国に生まれたかどうかで、色々なものが決まってしまう。
仕方ない事なんだけど、現実とは不条理なもんだなぁ、人間とは残酷なものだなぁと感じざるを得ないカタール訪問でした。
いつもお世話になっております。現在ドバイ在住です。
ティラキタさんで中東湾岸諸国の話になるとは思わず、うれしくてついコメントしました。
こちらも現地人は1割程度。8割がインド、パキスタン、バングラデシュ、あとはフィリピン人の出稼ぎといった感じで、激しい格差にいろいろとショックを受けたものです。
体感気温50度の中、ぴかぴかの高級車のとなりを、ボロボロの自転車ですり抜けて行く汚れたサルワールカミーズ姿のパキスタン人にも見慣れました。
カタールではどうかはわからないですが、こちらでは雇用主は住居を用意する決まりがあるので、たとえそれが一部屋10人のタコ部屋でも、自国よりもずっといい環境で暮らせると聞きました。ただし借金が重なり、帰るに帰れない人もいるんだとか。
インド人の場合、インド本国ではムスリムはたった1割ですが、それでも日本の人口以上。おとなりのイスラム国家パキスタンとは仲が良くないし、テロがあったこともあり、自国より宗教的にも暮らしやすくて良いという人もたくさんいます。
だいたいの現地人が月100万以上もらって公務員として政府機関で働いています。”自分のお客さま”はおおいにもてなすベドウィンの民ですが、出稼ぎ労働者にみせるホスピタリティはみじんもありません。
ナショジオジャパンの2014年1月号が中東の出稼ぎ労働者の話で興味深いです。よろしければご覧ください。
石油は地球人の資源だと思うんですけどね。
これからも駱駝通信楽しみにしています。
そうなんですね。いろいろな事情を教えて頂き、ありがとうございます。
住居を用意する規定があるっていうのは聞いたことがあるような気がします。そして解雇されたら監獄に入れられるという話も…
ナショジオジャパン、その号は多分持っていますので、帰国したら読んでみますね。
おトイレはもしかしたら、お祈りの前に大事なところを洗うためのビデ的なものかもしれません。
物価が違う、、、まさに中東ですね(色々な意味で)。