道の駅の漬物と インドネシア伝統薬の関連性
ティラキタ買い付け班、色々な物事を見聞きして、どうやら道の駅の漬物がインドネシアの伝統薬ジャムゥと関係があることに気がつきました。
日本の国土交通省が作った道の駅に置かれてる漬物。
インドネシアの伝統薬ジャムウ。
一見何の関連性もなさそうな2つの事象ですが、どこに関連があるのか書いてみました。
■道端で売ってる怪しげなもの
インドネシアではまだまだ、道端で怪しげなものが売られています。怪しげなものって楽しいですよね♪
バリ島の変哲もない道端で、ちょこんとお店がでていたので入ってみました。
売られていたのは、ヤシの幹から出る汁で作った密造酒でした。
ちょっと
同じようなものは、インドのケララ州にもトディーと言うものがありますが、こちらはそれのインドネシア版。トゥアと呼ばれる、サル酒や、ヤシ酒と呼ばれるような類のものです。これを蒸留するとアラックと呼ばれるお酒になります。
火入れがされていない生酒なので、ペットボトルの中でまだ発酵し続けていて、ぷくぷくと泡が出ています。蓋の上部には小さなガス抜き穴が開けられています。
密造酒と言っても、ただ、税金を払っていないだけで。土地の人たちにとっては、当たり前のもの。発酵の度合いによって味が変わり、作りたてのものはちょっと硬めの味わいですが、何日かするとマイルドで気持ちワインっぽい風味が出てきます。
これ、見た目は汚いけど、何千年も地元に人に愛されて来たんだろうな
■インドネシアの伝統薬ジャムウ
今回、ガイドをお願いした現地在住のあずささんに聞いてみました。あずささん、そう言えば、インドネシアにもジャムウっていう伝統医療がありますよね?
ありますね。インドネシアの政府がジャムウマークを作って、パッケージに貼られてたりしますし。結構盛んですよ。
伝統医療は、今でこそ西洋医学と対比されますが、我々人間が、病気になった人を治したいという自然な気持ちが現れたものなので、すべからく人のいるところにはどこでも、すなわち人類全体が、伝統医療を持っていると言っても過言ではありません。
伝統医療といえば、中国の漢方であったり、インドのアーユルヴェーダが有名ですが、あまり知られていないところでは、ベトナム由来の「南薬」と中医学由来の「北薬」を組み合わせたベトナム伝統医療や。イスラムのユナニ医学等があります。
そしてインドネシアにはインドネシアの伝統薬であるジャムウと呼ばれるものがあります。
ジャムウ(jamu)は、ジャワ語で「植物の根や葉などから作られた薬」を意味します。
主に植物を調合した「生の薬剤」で、病気の治療や予防、美容、女性の月経・出産ケア、精力剤など、狭義の医療だけでなく健康増進飲料としても飲用されています。インドネシアの伝統医学の代名詞にもなっています。
■道端で売ってる怪しげなジャムウが減ってきた
ジャムウって昔からの伝統医療だから、その辺で作られてたりもするんですか?
昔はあったんですけれども、実は今そういうのがなくなってきちゃったんですよ
道端で売ってたり小さな村々で作ってるような怪しげなジャムウが減ってきちゃったんです。
やっぱり近代化の流れですかね。。。
ここインドネシアも、昔は全然だったんですけれども。ここ最近、みんながきちんとしだして、いろいろな事がルールに従って動くようになってきているんです
そうすると…その辺のおじちゃんが作った怪しげなジャムウはなくなっちゃいますよね
そうなんです。大手のメーカーが作る、パッケージング化されたジャムウは、もちろんあるんですけれども。
魅力的だった、村のジャムゥ、隣のおじさんのジャムゥがなくなっちゃったんです
ちなみにこちらがパッケージ化されたジャムゥ製品です。これはこれで素敵なのですが…
■道の駅の漬物がなくなった
あれ? 伝統的なものがなくなった、そんな話、日本でも聞いたことあるぞ?
ググってみたら…ありました。
読売新聞では「道の駅や直売所の漬物、販売ピンチ…6月以降許可制で製造やめた農家「買ってくれていた人に申し訳ない」」、産経新聞でも、道の駅から漬物が消える?食品衛生法改正、猶予期間が5月末終了へ 食文化継承に危機感と記事になっています。
食品衛生法の改正で漬物製造が保健所の許可制となり、6月以降は全ての生産者が厳しい衛生基準を満たさなければ販売できなくなるとのことです。
国も話も違うけれども、根っこはこれと一緒かね…
■安心安全な世界と、雑多で面白いの狭間
ここ最近、旅行してて感じるのは、昔は発展途上だったアジア諸国が、徐々にだんだんと整理整頓されてきて先進国に近づいていることでしょうか。整理整頓されているということは、色々な物事にルールがつけられて、そして人々がそれを守り始めてるということを意味すると思います。
そして社会が発展していく中で、昔からあった雑多なものがなくなっていくのだなぁと感じたりしてます。
安心安全は良いのですけれども。
でも、それだけではつまらない気がするんですよ。
綺麗なものって、味がない気がするんです。
色のないシンプルな衣類ばかりのお店は、無難で選びやすいけど、なんか楽しさがないような気もします。変なものがない世界は、多様性がない気がします。
もうだいぶ前の話になりますが、藤原新也が「人間は犬に食われるほど自由だ」って書いて物議を醸しましたが。SNSの浸透や、世界的なルール化の流れの中で、「人間が犬に食われる自由さ」は世界の中からどんどんと消えてゆくのでしょうか。
そして我々ティラキタが、まだまだ混沌があるインドに激しく惹かれてしまうのは、やっぱりそういうことだよなと思ったり。色のないシンプルな衣類ばかりのお店が流行る現代に、ちょっとは抵抗してみようかと思ったり。
安心安全な世界と、雑多で面白いの狭間。
それをどこに求めるのかなと思ったりするのです。