インドで新しく事業を始めたい!! という人に贈るささやかなアドバイス



■インドで新しく事業を始めたいという相談がやってきた
つい先日のこと。大学時代の親友から、「インドで新しく事業を始めたい人がいるんだけど、相談に乗ってもらえないか?」という電話がやってきました。

そこで返した第一声は、「えええーーー。インドで事業を始めるって言っても、そんな雲をつかむような話!!」でした。

正直、俺全然わからないよ。インドって言っても広いし、色々あるし、領域が違うもん。そもそも、その会社は何をしている会社なの?

うーーん。なんか、製薬系らしいんだけどね

製薬系? いやいやいや。俺はインド雑貨だし、全然わからないよ。

いや、でもさ、一般的なことってあるじゃん? 一応の心構えっていうか。そう言うところ

あるのか? インドにそんなのあるのか? まぁ、あるっちゃあるか…。

まぁ、インドのプロとして、なんとか頼むよ

じゃあ、一応かけるだけ書いてみるか…

という事で、インドで何かを始めたい人に贈るアドバイスを書き始めてみることになりました。

どうしたもんかなぁ…
まぁ、知っている限りを書いてみようかなぁ…

■彼らが大多数であり、彼らがスタンダードなのだ
ご存知だとは思いますが、インドには12億人の人々がいます。今の世界人口が78億人ですから、インドには世界の15%の人々が住んでいることになります。

インドに行って何かしらの事業を始めようとする時、すなわちそれは、世界人口の15%に対して仕事を始めようとしていることになります。

彼らの多くが30歳以下の若年層で、今この瞬間にも、どんどんと人口が増え続けています。12億人と一口にいいますが、それはそれは凄まじい数です。インドは人間の海です。人間だらけの国です。



こちらはインド・ニューデリーの目抜き通り、チャンドニ・チョウクエリアの雑踏です。

道にインド人が詰まりまくっています。とにかく、インドは人ばかりの国です。


そして私達日本から見てみると、インドは西の方の大陸の国ですが。インドから見てみると、日本は東の方のちっぽけな国です。たかだか人口が1億人くらいの、高齢者ばっかりの国が日本です。

日本から行って、仕事を始めようとする時、いちばん大切だと思うのは。

「彼らが大多数であり、彼らがスタンダードなのだ」と、きちんと理解することでしょうか。

正直に言って、私達日本人は世界の中の井の中の蛙です。

日本語しか喋らず、日本の中のバイアスがかかった情報しか知らず、日本の中の慣習で生きている、狭い世界の人々です。私達が常識と思っていることは、全て、私達の中の常識なだけであって、インド人的には考えもしない事だったりします。


■日本とインドのグローバルという意味の違い

このことは、Globalism グローバリズムという言葉の定義が、インドと日本で全く意味合いが異なることにも現れています。

日本でグローバル人材、もしくはグローバリズムという言葉の意味を考えた時。頭の中には「英語を流暢に喋り、海外に出かけていく人」が浮かんでくると思います。日本におけるグローバルとは、島国から出て行って、広い世界で通用する、世界で頑張る、というニュアンスです。

しかし、インドにおけるグローバリズムとは、「自分たちが世界の中心になり、自分たちがいかに世界に影響を与えていくか」を意味します。

なにせ、インド人は世界人口の15%いますしね。世界最大の製鉄会社アルセロール・ミッタルも、Googleの社長も、Microsoftの社長も全員インド系ですから。

インドが世界を変えることができる。
インドが世界を統べることができる。

彼らのマインドはそこにあります。

日本人のように英語が喋れるだけでグローバルだなんて恥ずかしい事はいいません。

日本人のグローバルとは「自分たちを世界に合わせること」なの対し、
インド人のグローバルとは、「世界を自分たちに合わせること」です。

そこには、王様になる考えなのかか、下僕になる考えなのか位の大きな違いが存在します。

だから、インドとお付き合いする時、自分たちは「世界を相手にビジネスしているのだ」と考えなければなりません。実際問題、インドでビジネスを成功させることができれば、世界のどこでも通用するでしょう。

インド=世界と思うべし!!!

であります。


■信用できるインド人
さて、インドで何かしらの事業を始めようとする時。
いちばん重要なのは人です。

「人に始まり、人に終わる。」

これは、日本以上に重要だと思います。

実際問題、ティラキタも20年以上つつがなく仕事を続けてこられたのは人に恵まれたからでした。いい人に出会い、いい人に守って頂き、なんでもありのインド社会で、仕事を続けてくることができました。ムンバイのチャンドラカントさん一家、デリーのドグラさん一家がなければ、ティラキタはなく。本当に、彼らとの出会いが仕事の全てです。



「インドに行くと騙されるぞ」と、インド人ですらいいますが。
騙す人たちは12億人の中のごく少数だと思います。もしくは彼の流儀で誠実に仕事しているだけだと思います。

ほとんどの方々は、家族を愛し、毎朝神様を拝み、真面目に働いている人たちばかりです。

私達も、20年間、お金を支払ったあとに、商品を受け取れなかったことはほぼありません。「インド人は信用できる人々である」と断言しても構わないくらいです。

ただ、それも結局、人なんです。

宗教やカースト、そして生まれや育ちでインド社会は、細かく分けられているので、どの階層の、どんな人とお付き合いしていくのかが非常に重要になります。

日本人は、島国で農耕民族なので、割とみんな同じ様な人々の集団ですが。インド人はひとりひとり、自己主張がちょっと強く、個性豊かな人々です。


■どの様な人とお付き合いするのか?
インドで重要なのは。
その人が持っているコネクション=コネだったりします。

先程も書いたように、「宗教やカースト、そして生まれや育ちでインド社会は、細かく分けられている」のですね。これは、その、細かく分けられた社会の中では、色々融通が効くことを意味します。

コネがあれば色々とスムーズになるのがインド社会。賄賂も存在し、賄賂も十分に力を発揮しますが、それよりもコネです。


英語を流暢に喋る上流階級のインド人。

最近増えだした、中流階級のインド人。

社会の底辺から這い上がることのできない底辺のインド人。


インドには本当に様々な人たちが存在しますが、あなたの事業の成功を握っているのは、中心になってくれる人の力です。


■インド人の給料は安くない
「給料が安いから」、「物価が安いから」という理由だけでインドに進出しようと思ったら、それは大きな間違いです。

確かにインドは安い国という側面があります。

一日数百円で生活している最貧民の方々もたくさんいます。インドのローカル企業で働いた時の平均は今は2万ルピー(36000円)位でしょうか。単純労働者はたしかに安いかもしれません。

でも、正直、できるインド人の給料は高いですよ。

インド国内に在住している、ちゃんと使えるプログラマーの給料は日本円で500万を軽く超えてきます。彼らの給料は年々5-10%のペースで上がり、米国の給料に迫る勢いです。

彼らは英語を母国語のように流暢に喋り、毎日、当たり前の様に国際会議をしています。

米国国内の同じ職種の給料がいくらかも当然知っているし。
当然のように、それを要求してきます。

インドには最底辺から、トップの人々までいます。

その意味でも、インドはやっぱり世界なんです。


■これからはやっぱりインドだと思うただ一つの理由

さて、この文章を書き始めたきっかけになった「うちの会社がインド進出を考えているんだが」ということについてですが。

「やれるなら、やった方がいい」

と強く思うのです。これからはやっぱりインドだと思うんですよね。

その理由は、「インドが若い人の国だから」です。

個人的には、その国の経済が成長するかどうかついて、一番大きな要因は「その国にどれだけ若い人たちがいるか」に尽きると感じています。

日本が元気だった1960年代は、これからを担う若い人たちがたくさんいました。中国が成長していた2000年代もまた、これからを担う若い人たちがたくさんいました。

今はどうですか?
日本はどうですか?
今の中国はどうですか?

「景気」とはよく言ったもので、結局は「気」なんですよね。
未来をよくしよう、お金持ちになろう、成功しようという人が多ければ多いだけ、その国は成長します。

若い人たちが、未来を夢見て頑張るところにこそ、成長があります。

インドは若い人たちの国。
だから、インドは間違いなくこれから成長していきます。

そして、世界をインドが今まで以上に席巻していくでしょう。


■インドとのお付き合いは10年計画がオススメ
とは言うものの。井の中の蛙であるわたしたちにとって、インドとお付き合いすることは想像以上に困難を伴います。

慣れ親しんでいる日本的な習慣はほぼ通用しないからです。
「日本ではこうだから」はまず通用しません。

でも、彼らは血の通った人間です。
道理が通ればちゃんと理解してくれますし、情も深い人達です。
道理に叶っていれば、わたしたちの日本的習慣も受け入れてくれます。

インド進出は最初は苦労の連続であると思います。

5年目までは、お互いのことを学ぶ学習期間。
10年目までに、成果を出し。
20年で収穫期を迎える。

そんなイメージで取り組んでいけば、きっとうまくいくでしょう。

お互い、全く違うのだから、焦ってはいけないと思います。
まずはお互いを知ることから。

小さく始めて。
そして、ゆっくりと仕事を拡大していけばいいのです。

今はインド中に何千店舗もあるマクドナルドも、ムンバイに1号店を出店してから、10年以上の勉強期間を取り、そして拡大していったと言います。


世界的企業のマクドナルドですら、そうなんですから。

井の中の蛙である日本の企業がインド進出をしようとする時は、もっと時間をかけてもいいくらいです。

そして、そのキーになるのは人です。

インド人という人たちをよく理解し、そして、わたしたちの仕事の流儀も理解してもらって。

お互いのいい部分が合わさった時、きっと、成功がやってくると思いますよ。
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