辛さが苦手な人でも美味しく食べられるエスニック料理ハリーム
■辛くないイスラム圏のポタージュ ハリームと出会う
前回のブログ「肉の滋味とスパイスが渾然一体となったパキスタンカレーが旨い件について」にも書いたのですが、ここ最近、パキスタンカレーにハマっています。パキスタンカレーにハマりはじめたきっかけは、お店で扱っているパキスタンカレー達を試食したところから。パキスタンという名前で、しかもレトルト。正直、初めはそんなに期待してなかったのですが。
一箱開けて食べてみると、レトルトとは思えないレベルの高さでびっくり。その日から、パキスタンカレーを追求する旅が始まったのでした。
ランチタイムになると、まだ味わっていないパキスタンカレーのレトルトを開けては食べる日々。
どれも結構おいしく、大きな外れはありません。
そしてある日選んだのはチキンハリームです。ハリームという料理は今まで食べた事がなく、カレーの一種だと思いこんで手に取りました。パッケージを開けてみると…なんかカレーっぽくないのです。色は冴えないクリーム色で、写真映えがしない地味な色合いでした。
やっぱり、商品写真を撮る以上、素敵な写真、いわゆる「映える」写真が撮りたいものです。映えるカレーとは、カレーの色は赤めで、ビビッドで。
油が多めでキラリと光を反射して。
具は大きく切られていて多めで。
そんなヤツが写真映えするカレーなのですが、開けたチキンハリームは完全にその真逆!!
色は地味で。
ペースト状でのっぺりとしていて。
光をきれいに反射する脂分はゼロ!!
これじゃぜんぜん、イケてる写真にならないよ…正直、残念な感じ…
「このカレーはハズレかなぁ…」と思って試食してみたところ。どっしりとしていて、豆の旨味が残るペースト状の知らない味わいが待っていました。
「ねえねえ、今日食べてるハリームなんだけど。なんか辛くないんだよ。」と、ティラキタ社内のカレー博士に話しかけたところ。
「あれ? 今日はハリーム食べてるんですか? ハリームはそもそもカレーじゃないですよ」とのお答え。
「え!? カレーじゃないの??」
「ハリームっていうのは、イスラム圏のポタージュみたいなものですよ」
「カレーじゃないの? 残念…今日はカレー食べたかったのに!」
「いやいや、ハリームは胃腸に優しい料理なんですよ。イスラムの断食明けの料理としても人気のメニューで、消化もいいからぜひ最後まで食べてみてくださいよ!」
そう言われて食べてみると、確かにハリームは優しい味わいです。カレーを想像してると大きな肩透かしを食らうマイルドな味わいですが。これはイスラム圏のポタージュであると思って食べたら、確かに美味しい!!
ベースになっているのは、黄色ムング豆で、そこにシュレッドされた鶏肉を入れて、ただひたすら煮込んであります。
カレーじゃないパキスタン料理ハリーム。
これは割とイケるかもしれない………
俄然気になって、何軒か食べ歩いてみる事にしました。
■ヤシオスタンに行ってきた
日本国内でパキスタンと言えば、ここ最近は八潮市らしいです。八潮市近辺は自動車のオークション会場があるというお土地柄で、中古車の輸出を手掛けるパキスタン人たちが住み着き、150人ほどのコミュニティを構成しているのだそう。一部の事情通の間では、パキスタンと八潮市をかけて、ヤシオスタンとか呼ばれています。
そんな八潮市にパキスタン現地の味を出してくれると噂の、ハードコア・パキスタンレストラン「カラチの空」があります。一見すると、よくあるちょっと派手なカレー屋さんに見えますが…
中に入るとだいぶパキスタン感たっぷり!!!!
壁に貼られている料理の写真といい、ウルドゥ語が書かれているホワイトボードといい、デコレーショントラックのポスターといい、これは誰がなんと言ってもパキスタン!!!
TVではご主人が出演している映像がループしていて、特に説明しなくても「カラチの空」の歴史がわかるようになっています。その昔は日本からの中古車輸出で本当に儲かったんだそうですよ。「いっぱい稼いでいっぱい使いました!!」って素敵なこと言ってますもん。僕もそんな事、一度でいいから言ってみたい。www
椅子に座ると、いかにもパキスタン人!という感じのヒゲモジャのおじさんが大きなランチセットのボードを持ってやってきました。色々なメニューがありましたが、ここは迷わずハリームをセレクト。
そしてこちらが出てきたハリームです。レトルトのに比べるとちょっと赤みがかかっていますが、やはり同じようにドロリとしたペースト状で、中に大きな具材は入っていません。写真に写っている棒状の生姜は、ティラキタ買付班が後から入れたものです。
「チャパティがいい? ナンがいい?」と聞かれ、ナンをセレクト。インドには、日本のインド料理屋さんで出てくるふわふわナンはほぼありませんが、実はパキスタンにはあったりしますので。ここでナンをセレクトするのは邪道じゃないと思います。
ナンを一口分ちぎり、ハリームをつけて食べると…。とろりとした舌触り、豆の甘みと、程よいスパイス使いが素晴らしい!!!! 多少の辛味があるけど辛すぎない!!
ハリーム、美味しいじゃん!!!
インドやパキスタン料理は好きなのですが、北インドにありがちな、塩味が強く、油が浮きまくっていて、辛いカレーはそんなに連続しては食べられないんですよね。食べている時は美味しいんですが、一回食べると、一週間くらいはもう食べたくないよなぁ…ってなってしまう時もありますもん。
そんな時は、ハリームを探せばいいんだね!!!
イスラム圏で食に困ったらハリーム!!
正直、スパイスが濃厚なカレーよりもハリームのほうが日本人の味覚にフィットした料理だな。って思うのです。
ちなみにこちらは一緒に頼んだマトンプラオ。こちらもまためっちゃ美味しい~♪♪♪
■蕎麦屋とバングラデシュがミックスしたレストランに行ってきた
ハリームを求めて、神奈川県逗子のバングラデシュ料理屋にも行ってきました。ハリームはイスラム圏の料理だということで、パキスタンだけでなく、バングラデシュにもあるのだろうと思っての訪問です。
1Fの石臼そば、2Fの手打ちうどんの看板の奥に、緑と赤のHALALの看板がこっそりと掲げてあります。
このレストランは蕎麦好きのバングラデシュ人が留学中に蕎麦の作り方を学び、蕎麦屋を独立開業するとともに、自国の料理である、バングラデッシュ料理屋も併設したという、和とバングラがミックスする謎店舗。このオーナーの話は面白そうなので、今度じっくりと行って、話を聞いて、ブログに仕立て上げる予定です。
出してくれたメニューは…鍋焼きうどんとビーフビリヤニww
どっちも頼めるんだww ウケるwww
そしてこちらが出てきたハリーム。660円。
マイルドで豆の味わいが残る、まさにハリームでした。
一緒に出てきたコリアンダーやフライドオニオン、レモンを使って味の変化も楽しめました♪
だんだんと慣れてきたなぁ…ハリーム、いいなぁ。お腹に優しいもんな。
ハリームを食べたあとは、こころなしかインド料理店に行ったあとのお腹のもたれが少ないような気がします。
■ハリームはマイルドでどっしり!
ハリームについてより知りたくなり、Wikipediaを調べてみると…ハリームは1年を通してバザールのスナックフードとして売られている。ハリームはラマダーンやムハッラム (ヒジュラ暦の1月) にはイラン、パキスタン、インドを始めとする全世界で用意される特別料理でもある。
インドのハイデラバードやパキスタンのカラチは美味しいハリームを食す事のできる都市として知られており、特にラマダーンの期間中は街でよく売られている。ハリームは元々はアラブ料理(英語版)であり、ティムール朝の時代にイエメンやイラン、アフガニスタンからの移民によりハイデラバードへと持ち込まれたものである。ハリームはニザーム王国時代にアラブ移民の間で非常に人気のある料理だった。
とのこと。
ハリーム、インドにもあるんですねぇ。知らなかったな。
そしてハイダラバード!! ビリヤニと言ったらハイダラバードかと思っていたら。なんとハリームまでとは。
これは美食の都ハイダラバードに行かなければ!!
でも、ティラキタ買付班的には仕入れるモノないらしいんですけどね…