積み重なる職人たちの時間 – インド家具の作り方[インドモノ辞典]
目次
■異常に手間のかかっている木製品たち
インドの木製品をよく見てみると、「異常なまでに手間がかかっているのではないか?」と思えるものがあります。 例えばこのお香立てに空いている多くの穴。ざっと数えて150個ほどの穴が空いています。 穴をアップにしてみてみると、芸が細かいことにひし形になっています。
穴をアップにしてみてみると、芸が細かいことにひし形になっています。
 「この穴は一体全体、どの様に空けられているのであろうか?」と思うのです。
昔からある手工芸品なので、まさかコンピュータ制御のボール盤など使ってないだろうし…。
でも、手で一個づつ開けていくにしては、穴の数が多すぎるし。
「いくらなんでも手で開けてなんかいないよね?」
「もっと、楽ちんな方法を使っているよね?」
と、長いこと思ってきました。
という事で、今回はインド政府が出資しているデジタル学習サイトD’Sourceの記事をもとに、ウッタール・プラデーシュ州サハランプールでの木製品の制作過程を見ていきたいと思います。
「この穴は一体全体、どの様に空けられているのであろうか?」と思うのです。
昔からある手工芸品なので、まさかコンピュータ制御のボール盤など使ってないだろうし…。
でも、手で一個づつ開けていくにしては、穴の数が多すぎるし。
「いくらなんでも手で開けてなんかいないよね?」
「もっと、楽ちんな方法を使っているよね?」
と、長いこと思ってきました。
という事で、今回はインド政府が出資しているデジタル学習サイトD’Sourceの記事をもとに、ウッタール・プラデーシュ州サハランプールでの木製品の制作過程を見ていきたいと思います。
■インド木製品の町サハランプール
デリー周辺で購入できる木製品の多くはサハランプールで作られています。 もちろんティラキタにも、多くの木製品がサハランプールからやってきています。小さなお香立てから、大きな家具まで、いろいろなものがサハランプールで作られ、海を超えてやってきます。 インドにカーストがあるのはご存知だと思いますが、カーストとは簡単に言うと世代を超えた職業グループです。洗濯屋の子供は洗濯屋になり、僧侶の息子は僧侶になり、音楽家の子供は音楽家になります。 そして、サハランプールは木製品カーストの町です。サハランプールには何世代にもわたって木製品を作ってきた、達人級の職人たちがいて、今日、この瞬間も木製品を作り続けています。 こちらが、サハランプールの町中です。 いい感じのインドの田舎町のようですね。 サハランプールの町中にあるスイーツ屋さん。揚げたてのジェレビーが美味しそう!!
サハランプールの町中にあるスイーツ屋さん。揚げたてのジェレビーが美味しそう!!
 
■木工芸に従事している人々
サハランプールは木工芸の街ですから、ほとんどの人々が、木工芸に従事しています。その数は、なんと40万人以上。どうりで木工芸品の多くがサハランプール産な訳です。 40万人のうちの9割がイスラム教徒で、彼らの作るデザインは同じくイスラム教徒の多い、カシミール地方のデザインの影響を強く受けています。 
 
 
 
 
 
 
 
 
■木製品の製作工程 - 穴をあけて彫刻する
それでは、これから、サハランプールでどの様にして木製品が作られているのかを見ていきましょう。 材料となる木を切り出します。なお、インドでは4-5年前から資源保護のために、特別なライセンスがないと、シーシャムウッド製品を海外へ輸出できなくなりました。 ベルトソーで木材を希望の大きさに切っていきます。
ベルトソーで木材を希望の大きさに切っていきます。
 ベルトソーで切り出した木材に穴を開けていきます。
ベルトソーで切り出した木材に穴を開けていきます。
 穴が空きました。これで糸のこを通せるようになります。
穴が空きました。これで糸のこを通せるようになります。
 その穴に糸のこを通して切っていきます。一つの穴ごとに糸鋸を付けたり外したり。
その穴に糸のこを通して切っていきます。一つの穴ごとに糸鋸を付けたり外したり。
 繊細な作業で、一つのミスも許されません。きれいに、きれいに切っていきます。
繊細な作業で、一つのミスも許されません。きれいに、きれいに切っていきます。
 全部切り上がったところです。
全部切り上がったところです。
 数え切れないお香立ての穴も、この様にして作られていました。
数え切れないお香立ての穴も、この様にして作られていました。
 切って、穴を開け終わったこちらの木材に、彫刻が入る様子を見ていきます。
切って、穴を開け終わったこちらの木材に、彫刻が入る様子を見ていきます。
 こちらが彫刻に使われる道具たち。
こちらが彫刻に使われる道具たち。
 なんと、コンコンと木でノミを叩き始めました。
なんと、コンコンと木でノミを叩き始めました。
 足で押さえつつ、丁寧に彫っていきます。
足で押さえつつ、丁寧に彫っていきます。
 外側のカーブを作っています。
外側のカーブを作っています。
 ノミで丁寧に彫っていきます。
ノミで丁寧に彫っていきます。
 一刀一刀、気を抜けない作業が続きます。
一刀一刀、気を抜けない作業が続きます。
 時間をかけて掘り進め
時間をかけて掘り進め
 大きな部材も根気よく彫り続けます。
大きな部材も根気よく彫り続けます。
 そして、この様に私達が見たことのある、インドの木製品が姿を現してきました。
そして、この様に私達が見たことのある、インドの木製品が姿を現してきました。
 椅子を作っている所です。椅子一個作るだけで、想像もつかないような時間が費やされているのがわかります。
椅子を作っている所です。椅子一個作るだけで、想像もつかないような時間が費やされているのがわかります。
 
■木製品の製作工程 - 象嵌する
インドの木製品を見てみると、金色の象嵌が入っていることがありますが、この象嵌の作り方を見ていきましょう。 象嵌の元になる金属を切り出します
象嵌の元になる金属を切り出します
 プレス機にかけて、象嵌用の金属を切り出します。
プレス機にかけて、象嵌用の金属を切り出します。
 階段状の金属が同じ様に切り出されているのがわかります。
階段状の金属が同じ様に切り出されているのがわかります。
 たくさんの金属の小花ができました。
たくさんの金属の小花ができました。
 切り出した、余りの金属達。こちらは再度溶かして製品として再生されます。
切り出した、余りの金属達。こちらは再度溶かして製品として再生されます。
 この工房ではこれだけの種類の象嵌を作れるのだそうです。
象嵌コレクションの上にはイスラム教徒らしく、カアバ神殿とクルアーンのポスターが掲げられています。
この工房ではこれだけの種類の象嵌を作れるのだそうです。
象嵌コレクションの上にはイスラム教徒らしく、カアバ神殿とクルアーンのポスターが掲げられています。
 作られた象嵌はハンマーで木材に叩き入れられます。
作られた象嵌はハンマーで木材に叩き入れられます。
 コツコツ…
コツコツ…
 コツコツ…
コツコツ…
 この様にして、象嵌が作られます。
この様にして、象嵌が作られます。
 
■最終組立
色々なパーツができたので、最終組立の工程に掛かります。 プレス機で切り出したパーツたちを 一個一個、木に取り付けていきます。
一個一個、木に取り付けていきます。
 コンコン、コンコン…
コンコン、コンコン…
 素敵なテーブルが出来上がりました。
素敵なテーブルが出来上がりました。
 出来上がった製品は最終的にこの様に箱詰めされて、出荷されます。
出来上がった製品は最終的にこの様に箱詰めされて、出荷されます。
 
参考文献:D'source - Wood Carving of Saharanpur The art of wooden crafts by Sakshi Gambhir, IDC, IIT Bombay

 
 
 





































 
 
 
 
 
