【保存版・インドの布辞典 – 前編】インド布のデザインってどうやって作られるの? インドの布の作られ方を大解剖!!

■布の作り方がわからない
昨年の11月にティラキタに新人さんがやってきました。新人さんは他のお店でネットショップの店長をしていたこともあって、とってもできる素敵な方です。でもやはりお店が違うと、扱ってる商品も違うもの。ティラキタにはティラキタの商品があって、分からないこともいろいろです。その彼女から昨日、「あの~~。布の種類が色々あって説明ができないのですが…」という質問がやってきました。「そうだよなぁ。インドの布って、色々あって難しいもんな! 僕たちは長いこと布を取り扱って、分かっているけれども、やっぱりわからないことだらけだもんな。」ということで、今日はインドの布に、どの様にしてデザインが描かれていくのかの基本について説明したいと思っています。
■布の模様の作り方概要
デザインが入った布を作るには、布に模様を描かなければいけません。布への模様の付け方は、手で描いてもいいし、はんこで押してもいいし。布に何かしらの方法で色をつければデザインが出来上がります。布に模様をつける方法には大雑把に言うと以下の4通りがあります。糸の色で模様を作る方法 印刷する方法 染色する方法 手描きする方法この4つの手法が基本となります。
■糸の色で模様を作る方法
まず最初に、糸の色で模様を作る方法を見てみましょう。 糸の色で模様を作る方法は古典的手法でありインドのみならず世界のいろいろなところで使われています。こちらはラオスで手織り布を作っているところです。昔ながらの人力織機で布を織っています。 経糸を見てみると、白色と黒色の糸しか使っていません。こちらの例は一番単純な織りで、単色の糸同士を織って作られています。 2色の色の糸を使うことにより、白黒のチェッカーボード柄が出来上がります。 インドのグジャラートでは、同じ様な手織り機を使って、年配の女性が布を作っていました。 経糸に黒、白、赤、青など、いろいろな色が使われています。 色の違う糸を用意して、その糸を使って布を織ることによって、模様を作っていきます。こちらはさっきの白黒よりもちょっと複雑です。ネパールのゲリ布や、インドからやってくる平織りの布などはこの手法で作られています。 もうちょっと複雑になってくると、縦糸と横糸をあらかじめ決まった模様に染色し、その順番に沿って織って行きます。こちらは絣(かすり)織りと呼ばれる手法です。あらかじめ、糸の長さを計算して染めて、織らなければいけないので、単色の糸で織物を作るよりもはるかに高度な技法が必要とされます。インドの絣織りはオリッサ州のものが有名です。 こちらの布は、赤と黒のひし形が出現するように計算して経糸が染められ、織られているのがわかりますね。 日本にもこの絣織りの技法が伝わっていて、最高級品の布として有名な、大島紬などがそれにあたります。まず糸をこの様に染めて… 1mmのズレもないように機織り機にセットします。 柄がピッタリ合うように染色された緯糸を一本づつ丁寧に合わせて布を織っていきます。大島紬は1 mm のズレも許されないほど精巧に織り込んでいく、世界最高峰の絣織りです。
■印刷する方法
布に印刷をするのは非常に一般的です。一般的なだけに様々な手法が存在します。
・ウッドブロックを使ってハンコのように印刷する方法
ウッドブロックはインドでよく見かける印刷手法です。ウッドブロックと呼ばれる木のハンコを使って布にペタペタと印刷していきます。 一枚の布を作るのに何千回もハンコをペタペタと押して作りますので一人の人が作れる物の量は1日に数枚です。人間が判子を押すので、ハンコの色のかすれや、擦れなどがあり、それが何とも言えないアナログ感と風合いになります。
・スクリーンを使って印刷する方法
インドでは古来からウッドブロックが使われていましたが、近代になってくるとシルクスクリーンの技法を使ったスクリーン印刷が使われるようになりました。絵を描いて、スクリーンを特別な溶剤と光でその絵のところだけ感光させて、小さな穴を開けてインクが通るようにします。スクリーンの大きさは小さいもので10cm x 10cm。 大きいもので2m x 2m位でしょうか。こちらがイントで実際に使われているベッドカバー用のスクリーンです。スクリーンは一回作ると1年以上使うことができます。 スクリーンの表面をアップにすると、絵が描かれ、このデザインの通りにインクが抜けていくのだな、とわかります。 大きな平べったい台の上に布を広げ、スクリーンを置き、その上からリンクを載せてスクレーパーでインクを塗り広げます。スクリーンを外すと、布に模様が転写されるという仕組みです。大きな布でも、小さな布でも、一回スクリーンの上をシュッとスクレーパーでなぞれば印刷が完了しますので、非常に簡単に印刷ができます。 ムービーだとよりよく分かるかと思います。 同じデザインがいくらでも作れますので、低価格であり、大量生産に向いています。 日本でも T シャツなどにこの手法が使われています。
・プリンターを使って印刷する方法
プリンター印刷は、ここ10年ぐらいで出現した新しい手法です。このプリンターを使って印刷する方法には、インクジェットプリンターで直接布に印刷する方法と、一度紙に印刷して、それを転写する方法の2種類があります。まずインクジェットプリンターに直接布に印刷する方法です。こちらは単純に、フルカラーの大きなインクジェットプリンターを使って、布の上に直接印刷してしまいます。どんなデザインでも印刷でき、フルカラー。プリンターからの印刷なので、小さいロットから作れます。しかし布とインクの相性によってはインクの色が薄い事もよくあり、またインクジェットプリンターならではのドットが見えることもあり。将来性があって便利ですが、正直まだまだ発展途上の技術だなと感じることがあります。この写真もよく見ると、黒が黒ではなく、多少白浮きしているのがわかりますでしょうか? また、色があまりビビッドでなく、多少淡い感じになりがちです。
・一旦紙に印刷し昇華転写する方法
一旦紙に印刷し、その印刷したインクを熱によって布に転写する方法です。昇華印刷とか、昇華転写と呼ばれます。こちらは素材が化繊でないと転写ができず、コットンには印刷できません。そのような制限はありますが、印刷結果は非常に良好で、 光沢が出て、色もビビッドに出ます。最近よく見かける、 Tシャツに全面印刷されているものなどに使用されています。
■染色する方法
布を染めてしまうのもまた一般的な方法です。染料が溶けた水に布をドボンとつければ、布に色がつきますね。非常に単純なだけに古来より世界中で使用されてきた染色方法です。こちらにも何種類かの染色方法があります。
・布を糸で縛って染色する方法
布を糸で縛ると、その部分だけ色が染まらなくなります。その特性を利用した染色方法です。タイダイというデザインがありますが、これはタイ=縛る、ダイ=染める、からきた言葉です。絞り染め=タイダイとなります。大雑把に染めるとこんな感じになります。このようなデザインは、布を大雑把に何箇所かギュッと縛ってから染めると出来上がります。 服のデザインなどにもタイダイがよく取り入れられています。こちらの商品の足の部分が縛って染めたタイダイ柄です。 'インドでは非常に細かく縛って、ドット模様を絞り染めで作るバンデジと呼ばれる手法もあります。1枚の布を何百回も、時によっては何千回も。小さなドットのパターンになるように布を縛って染め上げます。
・蝋などの防染剤を使う方法
また、縛るだけでなく、布にロウなどを浸して、そこを染まらなくさせる。蝋を防染材として使う手法もあります。こちらは、バティックと呼ばれます。こちらが蝋がついた状態の染色する前の布です。 バティックの特徴は塗った蝋が壊れてちょっとずつ隙間ができ、そこに色が入り込むので、線のような独特のデザインになることです。
■手描きする方法
手描きする方法は簡単ですね。ただ筆で布に絵を書けばいいだけです。この方法は大量生産ができないこと。 絵の下手な人にはできないこと。アーティスト性が必要な手法ですので、現代では一般的ではありませんが、この様に本当に素晴らしい一点物ができる場合もあります。 今回は布の模様がどのように作られるかを見てきましたが、それぞれかかる時間、風合いなど一長一短があります。ハンドメイドにはハンドメイドの良さ。 工業的に作られるものは工業的に作られるものの良さ。それぞれは全く違うものです。お手持ちの布を手に取ってみて、これはどんな手法で作られているのかな?と、考えてみるのも面白いですね。
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1 Comment + Add Comment

  • シルクスクリーンの工場のビデオが面白かったです。インドの手仕事いろいろあって興味深いです。

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