■グングルとは鈴のこと
インドでは
鈴のことをグングルと言います。 アルファベットで書くと
ghungroo と書きます。ヒンディー語をアルファベットで書くと、gの後にhが来がちですね。鈴が付いているベルトのことをグングルベルト。鈴が付いているブレスレットのことを、グングルバングル。インドではこのように鈴が付いてるものをグングル~と呼んでいます。グングル~と言う言葉が数多くある事からもわかるように、インドでは色々な場所で鈴が使われているのを見かけます。
■鈴は色々な所で使われて
代表的な所から紹介すると、まずはアンクレットです。インドではアンクレットに小さな鈴が付いていることがあります。古代のアンクレットは大きな鉄の輪っかをはめるだけのものでしたが、時代を経て徐々に進化してくると、小さな金属のパーツをシルバーのワイヤーで留めるような、現代的なアンクレットが出現してきました。そこに鈴をつけて、グングル アンクレットが出来上がりました。鈴付きのアンクレットは、歩く度にシャラシャラと小気味よい音をたてて、華やいだ雰囲気を作ります。
インドやネパールでは牛や馬の首にかわいい鈴がついています。丸い愛らしいデザインが特徴で、鈴をコロンコロンと言わせながら牛が歩いていく音は、なんだか心から癒やされます。
この写真のものはちょっと大きいのでグングルとは言わないかもしれませんが、お寺で使われている鈴です。
服の端っこにつける小さな鈴もあります。お気に入りの服に、小さな鈴がたくさんついていたら、可愛くて、とっても優しい気持ちになれそうです。
もちろんダンスの時にも鈴を使います。こちらはその名もそのままGhungrooという1983年のボリウッド映画。宮廷の中でカタックを踊っているシーンでグングルの音が効果的に使われています。
VIDEO この様に、よくよく考えてみると、インドはグングル=鈴ばかりです。
■インド人達が鈴=グングルを愛する理由
なぜインド人たちはこんなにも鈴を愛するのでしょうか?一説によれば、ブラスで作られた鈴の音が空間を浄化するのだとか。確かにグングルの澄んだ音は空気を凛とさせますよね。もちろん、ただ可愛い、おしゃれパーツであるという理由もあると思います。そういえば世界の破壊と創造の神であるシヴァ神の持ち物、トリシュールにはグングルがついて描かれているものがありました。
信仰している神様がつけているものですから、彼らがグングル=鈴が好きなのは当然の事のように思えます。グングルが好きというよりは、「そこにあるもの。当然使うもの」として、意識しないで鈴を使っているのではないでしょうか。
■インド舞踊で活躍するグングル
グングル=鈴はインド舞踊で多用されます。インド舞踊のバラタナティヤムやカタックダンスでは、男性ダンサーも女性ダンサーも、足に鈴を巻いて踊ります。踊る度に、そして足を踏みしめる度に、動作を音に変え、観客に伝えるのです。ここではグングルは大切は舞台道具です。この写真は弊社のイベントDANCE OF SHIVAでの一コマですが、バラタナティヤムダンサーさんたちの足にグングルがついていますね。
もちろん礼拝の時にも使われます。また、グングルは楽器としても使われます。グングルは神聖な物として扱われるのです。
■グングルの使われ方
インドのグングルは、牛や馬の足に首につけるときは一個だけを紐に通して使い、ダンス用として足につける場合には、痛くないようにパッドにグングルがついている物もあります。
しかし、通常は紐に何個もグングルをつけた物が使われます。紐でグングルロープを作っておけば、体のどこにでも簡単につけることができるので便利ですからね。足に巻けばアンクレットに、腕に巻けばブレスレットに、首に下げてネックレスにと、その場その場に応じて使えます。
家畜の首、アンクレット、布の装飾、ダンスの道具、そして楽器として。様々な形でインド人に使われてるグングルは、今までも、そしてこれからも。彼らの生活と信仰に密着しながら連綿と使い続けられる、生活の基本的なアイテムなのだと思います。