インド人にこよなく愛される、インドのお弁当箱ダバとは [インドモノ辞典]



■インドの事情に応じたお弁当箱
世界にはいろいろな国がありますが、その国にはその国の事情に応じた、弁当箱があるものです。

インドで長年愛されている弁当箱は、ダバもしくはティフィンキャリアーと呼ばれる、円筒形をした、2段か3段の重ねられるお弁当箱。

インド弁当箱ダバは、インド料理を入れるのに非常に適した形をしています。

インド人の一般的なランチは、チャパティがあり、ご飯があり、カレーがあり、揚げ物やカット野菜などでしょうか。最低でもライスかチャパティとカレーは必要ですね。一番下の段にはご飯やチャパティをいれ、真ん中や上にはちょっとグレービーなカレーや、揚げ物などが入ります。

ライスやチャパティは、まさに食べるその瞬間にカレーに漬けなければ美味しくないので、運搬時は分離されている必要があります。ダバであれば、固形のもの、液体のもの、脂っこいものなどをきちんと分けて運搬することができます。

多段であり分離できるという、ダバの構造がインド料理のニーズにぴったりと合い、インドの国民的弁当箱として、インド人にこよなく愛される理由なのです。





一つ一つの弁当箱を、段々にスタッキングし、シンプルに針金でパチンと留める機能的なデザインのダバが、いつ頃からインドに出現したかは詳しく分かっていません。後述するムンバイのダッバワーラーが始まったのが1890年ですから、それまでには既にあったと思われます。

最近ではプラスチック製のダバも出てきていますが、その昔はブラスで作られていて、一番人気のあるのはアルミニウムかステンレスででしょうか。

ティラキタでは一番ポピュラーなステンレス製を取り扱っています。

■毎日弁当を運ぶダッバワーラー
ダバはインド全土で多くの人々に愛されていますが、ダバが使われているところで、一番有名なのは何と言ってもムンバイでしょう。ムンバイにはお弁当箱を専門に運ぶ、ダッバワーラーと言う人達がいます。

ダッバワーラーのサービスがムンバイで始まったのは、130年以上前の1890年代です。ダッバワーラーに弁当を運んでもらう料金は1ヶ月になんと200ルピー(300円)で、現在、175,000人ものダッバワーラーがムンバイで働いています。




ダッバワーラーは、各家庭からお弁当を集めて職場まで届け、食べ終わったら回収するサービスですが、インドでなぜこの様なシステムが出現し、支持されてきたかにはインド人特有の事情があります。

インドの人達は、ひとりひとり、食べられる物が違うからなのです。

ヒンドゥー教の人は牛を食べませんし、その中でも多くの人達が肉食をしません。ムスリムの人たちは豚を食べません。ジャイナ教徒たちは根菜類である玉ねぎや人参を食べませんニンニクも食べません。

だからインド人にとって、食は非常に大きな問題です。私たち日本人のようにどこのレストランでも入れる、コンビニに行って食べられるものがすぐにあるという状況ではないのです。

家のご飯でなければ食べられない。
インドにはそう言う人達がとても多い。

だからこそ、弁当配達サービスのダッバワーラーが考案され、発展し、100年以上もの間、支持されてきたのでしょう。



■間違える確率は600万回に1回
ダッバワーラーは毎日、ムンバイ中の何百万個ものお昼ごはんを、公共の交通機関を使って、人力で運ばれるとても洗練されたシステムです。

間違えてお弁当が届くエラー率は、600万回に1回あるかないかだとか。100年前からあるサービスなのに、コンピューター化された現代のサービスよりも正確なんだそうですよ!

インドのお弁当箱ダバはほとんど同じ形をしているので見分けるのは困難です。そのため一つ一つに特別なマーキングをつけ、どの駅で下ろせばいいのか、どのオフィスに持って行けばいいのかというのが一目でわかるようになっています。


■ダッバワーラーの一日
ムンバイに行くと、メインステーションであるチャーチゲート駅の前にダッバワーラが集まり、仕事をしている姿を見ることができます。


毎朝9時半になると、各家の奥さんが作ったお昼ごはんが入ったダバが集められ、最寄りの駅に送られます。ダバが駅に集まると、ムンバイ近郊電車の貨物ゾーンに乗って、オフィスの最寄りの駅まで運ばれます。そこでまた、各オフィスごとに整理され、きちんと個々のお客様の手元に届くのです。




14時半になると、ダッバワーラーは再度オフィスから食べ終わったダバを回収し、逆のルートを通って、15時半から17時にダバはちゃんと家に帰ってくる仕組みです。

■とってもエコなダッバワーラー
ダッバワーラーシステムは、インド人たちが「自分の食べられるものを食べたい」と言う基本欲求のもとに発展してしてきたシステムですが、別の側面から見てみると、非常にエコフレンドリーです。

お弁当箱が公共交通機関と人力で行き来するだけなので、容器包装のプラスチックゴミも出ないし、もちろんコンビニのレジ袋も必要ありませんものね。




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