牛肉を食べるだけで殺されるインドで、牛肉を食いまくっても問題にならない場所とは
■インド人は牛と豚を食わない
インドといえば人口の80%がヒンドゥー教徒で牛を食べず、人口の14%がイスラム教徒で豚肉を食べません。
だから「インド人は牛と豚を食わない」で、ほぼ間違いありません。
あのマクドナルドだって、100% No BEEFです。
その辺のインド人、100人に聞いても100人とも、口を揃えてインドでは牛を絶対に食わないと言うでしょう。
■牛肉とマッドマックス
「牛肉を食べるだけで殺される!」なんて言うマッドマックスばりの事件が起こるのもインドです。これは2017年の話ですが、牛を食べたと言って、列車の中で20人のヒンドゥ教徒がムスリムを襲い、殺害するという恐ろしい事件もありました。Muslims on India train assaulted 'because they ate beef'
たかだか牛肉一つで、人間を殺害する口実になるというのがまず驚きですが。
それが腑に落ちるくらいに、インドでは牛肉が食されません。
牛肉は食べませんが、他の肉は割と食べられています。売っているのは宗教的な戒律に引っかからない、鶏と山羊が主ですね。デリーの街中では、こんな感じでチキンティッカが焼かれ、
赤裸々に羊の脳みそや足が売られています。
■インドでは牛肉よりもマトンが美味しい
牛肉を食べたら殺されちゃう位ですから、インドで牛肉を食べようと思っても基本的には不可能です。実際問題、私たち日本人は牛肉や豚肉に固執しますが、カレーに入れた場合は、牛肉や豚肉よりもマトン(山羊)の方が美味しかったりするんですよね。ついさっきまで、そこらへんをうろうろ歩いていたであろう山羊の滋味あふれる味は、カレーのスパイスの強力さと相まって、極上の旨みを醸し出してくれます。
ちなみに、インドに行ってマトンカレーを食べる時は、必ず骨の中の髄を食べてくださいね。外側についているお肉よりも、骨の中の髄が一番旨い部分なんです。
マトンが旨すぎるから、インドに行ってまで牛肉や豚肉を食べたいとは思わなくなりますよ。
■インドを知っていると語るものは愚か者である
そういう経験上、インドでは牛肉や豚肉は食べられないものだと、ティラキタ買い付け班は、固く信じてきました。ところがです。
インドを語ることは、目をつぶって大きな象の皮膚を撫でるようなものだという風な話があります。
インドは多様性に富み、そして巨大すぎるので決して全てを見ることはできない。
インドの一面を見て解った気になっても、それはインドのある一面であって、決して全体をわかったことにはならない。
だからこそインド好きは、
「インドに行けば行くほど、インドという国がわからなくなる」
「インドのことを何も知らない」
と実感を込めて言うのでしょう。
かく言う、ティラキタ買付班もまたその一人であります。
旅人として訪問したら、旅人としてのインドが見え、
インドで生活し始めたら、ローカルのインド人の生活が見えてきて、
ヨガを勉強しに行ったら、ヨガの世界が広がっている。
インドは時間とともに、刻々と変化し続けているので、そのすべてを見通すことは完全に不可能なのです。
「インドを知っていると語るものは愚か者である」とある旅行者が言っていましたが、全くそのとおりであると思います。
■インドにも堂々と牛肉を売る地域がある
ですので、100人のインド人が100人とも「インドでは牛肉を食べないよ」と答える回答も、実は間違いです。もちろん、99%のインドの地域では牛肉を食べませんが、インドにも堂々と牛肉を売って食べる地域があります。インドにはインド人ですら知らないインドがあるんですよね。
これはゴアのケータリングカーなのですが…
メニューを見ると、なんと牛肉メインの品揃えです。
上から3番目にはビーフステーキ、そして4番目にはビーフマサラと書いてあるではありませんか!!
始めて見た時は、さすがのティラキタ買付班も「インドで堂々とビーフが売っているなんて! ありえない!!」って思いましたよ。
インドでこんなに堂々と牛を売ってていいの?!!と、心底びっくり!
せっかくなので早速注文して食べてみたら、やっぱり正真正銘の牛肉でした!
インド人=牛を食べないは、完全に証明された方程式だと思っていたんですが、だからこそ、こんなにも堂々と路上でビーフバーガーを販売してるなんて…心から驚いたのでした。
ちなみにメニューにかいてあるSORPATELが何かと思って、帰国後にティラキタのカレー博士に聞いてみたら、「それはもつカレーみたいですよ」とのこと。
そんな珍しい料理だったのか!
食べ損ねた!! 悔しい!!
食べ終わってからビーチに出てみると船には十字架が描かれ。
キリストの旗が立ち、インドではない、異国の海岸のよう。
インドって本当に多様性の国なんだなぁ…と、心から納得させられる日。
自分もまた「インドが解ったような気になっている馬鹿者だった」のだなと、改めて感じる一日でした。
うーん、ムンバイではムスリムたちが普通にビーフ食べてたし、バンガロールではクリスチャンのポーク加工品専門店があったし。食べるところでは食べてますよ。