美のために積み重ねられた労力に敬意を払いたい – インドでアジュラック布の産地を訪問する

2020年6月11日     No Comments    Posted under: インドが大好き!!, 商品について

■素敵な色彩のアジュラック布

ティラキタ買い付け班、2020年2月にインドの布の宝石と言われるアジュラク布の生産地アジュラクプールを訪問してきました。

アジュラク布は、深みのある青、そして深みのある赤。簡単な染め物では出せない素晴らしい色彩と、イスラムのパターンが合わさった世界でも有数の美しさを持つ布です。

アジュラクプールがある場所はインドの外れでパキスタンとの国境近く。
控え目に言っても辺境の地ですね。

■ムンバイから電車で12時間

ムンバイから電車でブージというパキスタンとの国境近くの街まで12時間ほど走り、そこからまたバスに乗って1時間。ティラキタ買い付け班は、素敵なものがあると聞けば、世界のどこへでも出かけます。

ブージのバススタンドからローカルバスに乗って、アジュラクプールに向かいます。

アジュラクプールは、何もない高速道路の外れにありました。
小さな看板にAJRAKH PURと書かれているだけです。

■水を求めて村ごと引っ越し

今回、アジュラクプールと、アジュラック布の作り方を案内してくれたのはべへロール・カトリ(Bahelol khatri)君。

18歳だそうで、高校出たてぐらいの歳の彼が、一人で立派に案内を務めてくれました。
カトリ君、ありがとう~!

アジュラクプールの人たちは、全員ムスリムで、カトリと言う部族の人たちです。

2001年のグジャラート地震までは、ダマティカという所に住んでいましたが、2001年の地震で村が破壊されて、それを契機により水の豊富なところを求め、ここアジュラクプールに移ってきました。

アジュラック布は砂漠の独特な気候の中でしか作ることのできない布です。
ジャイプールの人が「真似して作ろうと思ったのだけど、出来なかった」と言うくらい、この土地と気候に根ざした布です。

砂漠の中で、水がある場所を求めてお引越し。
それくらい、染色には水がとても大切なのです。

■ウッドブロックで印刷します

工房に入ってみると、ウッドブロックがたくさん積んでありました。

このウッドブロックを上手に使って、アジュラックの複雑な図形を作る様子をこれから見ていきましょう。

ウッドブロックには幾何学模様、伝統的な模様、お花模様など、様々な図形があります

この工房に、当店で取り扱っているシャツのウッドブロックを発見しました。

このウッドブロックを使って布地を作ると、この様なデザインのシャツが出来上がります。

ウッドブロックは、1つだけでなく、組み合わせて使う場合もあります。
組み合わせると、より複雑な図形が作れます。

このウッドブロックは葉っぱの外側の形をしていますが、これは葉っぱの内側のウッドブロックと対になってつかうもの。

星形のウッドブロックの真ん中が空いていますが、ここにもまた他の図形が入ります。

これはだいぶ複雑なウッドブロックで、3つのパーツが1セット。
ちょうちょの模様を3つのブロックで作り上げていきます。

大きなウッドブロックには、ちょっとした工夫がされています。ウッドブロックの後ろを見ると、小さな穴がたくさん空いていますが、この小さな穴は、模様を打つ際に中に入った空気を逃がすためにあるのだそうです。

■サリーも全部手作り

これはサリーを作っているところですね。
1枚の布に何人もの人の手で、別々のデザインをスタンプしていきます。

一枚の布に何回スタンプしたら、布が完成するのでしょうか…
気が遠くなりそうです。

■とても複雑な染色工程

さて、ここからは染色工程の紹介です。
アジュラック布の複雑な色味を出すには、とても複雑な染色工程があります。

アジュラク布の染色で使われるものは、すべて自然由来のナチュラルな染料を利用していて、現代の染色で使われるような化学染料は全く使用されていないとのことです。

一番最初に、薄黄色をしているマイロベラで染色をして、洗います。
マイロベラはアーユルヴェーダで使われる黄色い自然由来の染料です。
この布はマイロベラで染色をする前の生地。

マイロベラで染色をすると、多少生地が黄色くなります。

■防染をする

マイロベラで染色をした布に、バブルガムで防染をします。
防染とは「そこだけ染まらないようにする工程」ですね。

これがバブルガム。
バブルガムは一見ケミカルなようなものですが…

完全な自然由来で、バブルガムの木から樹脂を固めて作られます。

バケツの中に入っているのが、バブルガムを溶かして作られる一番最初の防染剤です。

男性が一回一回、ウッドブロックで、防染をしていきます。
この工程で、デザインのアウトラインが作られます。

単純な点々が並ぶだけですが…
これが後になって素敵なデザインに変わるのでしょう。

彼が使っているバットにも工夫があります。バットの中には割り箸を並べたような台が作ってあり、高さを保ちつつ、ウッドブロックに染料が浸かる量を調節しています。

■黒色の素は錆びた鉄と砂糖

黒色を出すには、錆びた鉄と砂糖(ジャグリー)で作った染料を使います。
家の外に変なスクラップがあるなと思ったら、これが染料を作るためのものでした。

この錆びた鉄が、美しい黒に変わるとは!!
そしてもっと驚きは、染料を自宅で作っているとは!!

錆びた鉄とジャグリーを混ぜ、15日から20日間ぐらい置いてペーストを作ります。その後、タマリンドパウダーを混ぜて、熱して沸騰させると、染料ができます。

■何千回もペタペタ

作った染料を使ってデザインを押しているところです。葉っぱの模様の黒く見えている部分が、後ほど赤に変色し、染まっていないプレーンな部分が黒に変色します。

■もう一度乾燥させます

防染が済んだ布は、地面で乾かされます。アジュラクプールは砂漠的な気候で、雨がほとんど降らないので、外はいつでも乾燥場所として使えます。

乾燥された布は一箇所に集められ、染められるのを待ちます。

■藍染をします

プラスチックのドラム缶の中に藍が発酵していました。「藍の華」が出ているので、天然染料しか使っていないという言葉通り、ちゃんと天然藍を使っているのだなと納得。

ドラム缶の中の藍に布を2度漬けします。

藍染が終わったら、地面に広げて乾かします。
染めては干して、染めては干して、また染めて干して…

1回の工程が終わったら乾かし、そしてまた1回の工程が終わったら乾かしと、何回も何回も1枚の布に対して工程を重ねていきます。

■染めた後はよく洗う

布を染め上げたら、次は洗います。

砂漠地帯で水はとっても貴重なもの。
だから村の中で洗う場所は一箇所です。

洗っているときに染料が体についてしまうので、それを防ぐために、カッパみたいなものを着ているのだそうですよ。夏なんだか、冬なんだか、よく分からない光景ですよね。

■洗って乾かしたらもう一工程

普通の布だったら、これで終わり…だと思うんですが。
アジュラックの布の素敵な色を出すにはまだまだ工程があります。

これは木の花でヒンドゥー語でダバイフルというもの。

そしてこれがアリザリ。

アリザリとダバイフルを沸騰したお湯の中に入れて、溶液を作り、先ほどのインディゴ染めをした布を入れて茹でます。この工程により赤色がよりビビッドな扇情的な色になり、インディゴの色が美しい青に変わっていきます。

そして一枚の布が完成するのです。

■ただひたすらに長い工程

まだ色が出てない段階から、

素敵なアジュラックの布ができる過程をざっと見てきました。

正直、読むだけで疲れちゃいますよね…
工程、ムダに長いですよね…

でも、この長い工程がないと、アジュラック布は出来ません。
長い工程を彼らは全部人力で、一工程、一工程、地道に行います。

美のために積み重ねられた労力に敬意を払いたくなる。
アジュラック布とは、そう言う布なんだなって感じます。

しかし、美って大変なものだなぁ…


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