今回はネパール在住のshyuさんから、ネパールのバスの乗り方をレポートしていただきました。
ネパールのバスはとっても便利で安い、庶民の強い味方です。見た目はポンコツに見えますが、カトマンズの街を東西南北、わたしたちを運んでくれる都合の良い移動手段です。観光中に使えれば、かなりリーズナブルな旅もできます。ローカル色満載のネパールのバスってどんな感じ?
どうやって乗ればいいの?気になるそんなところを、ご紹介してみましょう。
■ネパールのバスの乗り方
バスの前側に1つドアがあって、乗り口と降り口は同じです。
車内に入ると、運転手側から見て、左側の前2列あたりは、女性専用座席になっています。その他の席は自由です。子どもは基本的に無料です。子供は大人のひざの上に座って、一人分の座席を確保しないのがルールのようです。空いている時は座っても大丈夫です。ひざに乗れない年齢になれば、一人分の料金を払うようになります。
高齢者や、病人は優先されています。お年寄りや赤ちゃん連れのお母さんが乗ってくると、譲り合います。空いている席があると「ホラ、あそこが空いているよ」と、知らないどうしでも声をかけ合う気さくさがあります。
■ネパールのバスの降り方
ネパールのバスでは、降りる時の押しボタンはありません。カラシ(車掌)が、次のバス停の名所を叫ぶので、それに答えて、ツァーと言います。ツァーは、降りますという合図です。乗っている皆さんが、次々にツァーと言っているのを真似してみると良いでしょう。前もって、降りる場所を伝えておいても大丈夫です。
車内が混み合っている場合、後ろの方に座っていると、降り口に、たどりつくまで、おしくらまんじゅう状態です。通路には、すれ違うほどの幅がありません。降りるのに時間がかかりますが、大声で「ツァーツァー!」と言いながら降りれば、待っていてくれるので大丈夫です。
■ネパールのバスの料金の払い方
料金は、降りる時にカラシに渡します。
どこから乗ったか聞かれる場合もあります。おつりは無い方が良いですが、おつりの場合は、なるべく小さいお金で払えるように、前もって小金を用意しておきます。乗車料金は、距離やルートにもよりますが、15~25ルピーくらいです。
子供は無料、学生は通常料金より割引になります。
■運転手とカラシ
ネパールのバスは、車内に料金箱はなく、カラシと呼ばれる車掌に乗車料金を渡します。カラシの役目は、乗車料金の徴収と、車内で次のバス停を乗客に伝え、乗り降りを誘導します。渋滞時の交通整理もカラシの役目です。
狭い車内に、いかにたくさんの客を詰め込むかが重要なようで、乗客を車内の奥にドンドン押し込んで来ます。
またバス停近くになると、行く先を大声で連呼して、客を呼び込みます。カラシをやっている男の子は、だいたい年齢15才くらいから20代の若い子たちです。
幼いカラシが、大人と同じように働いています。
女性のカラシもいます。
比較的安全運転ですが、スピードを出す運転手もいます。
運転手の横並びに2、3人座れる座席があります。ここに座ると運転手気分が味わえます。子供が喜ぶ席です。
ガタゴトの荒れた道路を上手く運転しているのが、運転手横の席に座るとよくわかります。
■ネパールのバスに時刻表はない
ネパールのバスはだいたいの時間は決まっているようですが、表示された時刻表のようなものはありません。30分おき、15分おきになっていると聞いたことがあります。だいたい同じような時間帯を目指して行くと、だいたいバスはやって来ると言う、その程度の目安です。午前8時から11時頃は通勤通学客で、夕方も帰宅客で特に混み合います。
ルートによって異なりますが、だいたい早朝は6時、夜は7時くらいまで走っています。
■行き先はすべてネパール語標示
バスの前面、窓の下または上あたりに、行く先が書いてあります。ネパール語標示です。
よく行く場所の名前や、目的地の名前だけでも、ネパール語で覚えておくと便利です。
■バス停はどこ?
最終地点にある大型バスターミナルは、地名と場所を調べれば、どこにあるかわかりますが、他のバス停はどこにあるか、ちょっとわかりにくいかもしれません。
街中では、BUS STOPと書いてあるサインボードが立っている箇所や、待合場所に椅子が設けられているのでわかりすくなっています。
また、人がバス待ちで群がっていたりします。郊外に行けば行くほど、何も無いところがバス停となっています。
もし、バス停なしの地域からバスに乗る場合は、近場にいる人に聞いてみるといいでしょう。
■バス停以外でも乗り降りできます
繁華街や、交通渋滞の起こりやすい場所でなければ、バス停以外でも、乗り降りできます。
乗る時は手を上げて乗せてもらい、降りる時は、カラシに降りたい場所を伝えると、降ろしてもらえる場合もあります。終点近くになって客もガラガラになってくると、自宅近くの場所で、乗客に合わせて、その都度、停めてくれたりします。
■音楽が流れる車内
車内では、ネパール音楽がいつも流れています。
最近ではテレビモニター付きのバスもあって、やっぱりここでも、ネパール音楽にダンス映像が流れています。
■デコレートされたネパールのバスの車内
運転手まわりは、賑やかな飾りでデコレーションされています。
神様ステッカーが全面窓に貼ってあったり、神様イラストが貼ってあります。
■バスの大きさ
バスの大きさは、小さなバン、小型バス、中型バス、大型バスがあります。大型バスはリングロードを走るバスで、そのほかの路線は比較的、小さめのバスになります。大型バスは、前後ろに乗り降り口があります。こちらは小型バス
こちらは大型バスです
小型バスは、バスの車両の高さが低いので、身長170cm以上の人が座席に座れない場合、中腰状態で立ったまま乗ることになります。また足の長い人は、座席の奥行きが狭いので、足の置き場に困ります。
■カトマンズのリングロード
カトマンズ市内は、一周ぐるりと回る環状線があってリングロードと言います。このリングロードをグルグル回る路線バスと、リングロードの中を走る各路線と、リングロードの外側を走る郊外路線バスがあります。乗り継ぎが必要なルートもあります。ほとんどの地域を網羅しています。
■バスの乗り心地
車内につり皮はありません。吊り棚や、天井近くに設けられた手すりに捕まります。混み合っている時は、バスに乗っているというよりも、
バスにしがみついて乗る感じになります。
道路事情は良くありませんから、ガッタンゴットン揺れます。雨の日や蒸し暑い日は、不快指数は高いです。日本の電車の乗り降りマナーのような、スマートなルールはありません。
降りる人がいたら、いったん外に出て、降りる人優先に譲るということはなく、
ギューギュー押したり引っこんだりしながら、やっとの思いで開放される感じです。バスには乗客がルール無しで乗ってきます。
こう言ったやり取りを毎回見ていますが、文句を言っている人は見かけませんから、
改善されることもなく、ネパールはこれでいいのだ、ということのようです。窓は開けるとホコリっぽく、閉めると車内の空気が悪くなります。
窓の開閉が出来ない壊れたまんまの窓もよくあることです。
ストールを巻いたり、マスクをしたり、工夫して乗ります。ギアの下あたりの内部機器が、露骨にむき出しになっている車両もあって、大丈夫か?と、心配になるようなバスもあります。
最近は、新しいバスが走るようになりましたが、古い型のバスは椅子の状態が悪いこともあって、良く見てから座らないと座席がズルっと、ずり落ちてしまうなんてこともあります。ドアから入って左側に一段上がったところに2、3人座れる座席があります。この席は、タイヤ上ということもあってか、揺れがひどく、ほどよく捕まれるところがないので、あっちこっちに揺れるのを、こらえながら乗ることとなります。運転手席、左にあるギアまわりに、広めのシートがあって座れるようになっていますが、ここは、足が下ろせないので、体育座りで乗ることとなります。
バスには定員というものがあるはずですが、適応されていません。この様に定員オーバーのバスもしばしば見かけます。
車内が空いている時は、かなり快適に感じます。街中を抜けて郊外近くになり、窓をあけて走っていると、気持ちよい風が吹いてきた時は、爽快です。
■バスのドアは開けっ放し
ドアの前あたりに、カラシが立っているのですが、
ドアは開けっ放しになっています。
交通量の多い街中に入って行くと、ドアは閉めるようになっていますが、郊外は、ほとんどは開けっ放しです。ドアは手動式です。
混み合ってくると、カラシはドア横に付いている手すりに捕まって、半身外側にはみ出しながら走行していきます。ドア近くにいる客も同じ状態になることもあります。停車中の写真じゃありません。このまま
バスにしがみついて移動するのです!
そこまでして乗らなくても次のバスを待てばいいのに、と思いますが、ちょっとでもバスにぶら下がって行けば移動出来るという感覚で、バスを利用しているように見えてきます。定員オーバーの時はバスの上(外)に客が乗っていることもありましたが、最近は見かけないので、禁止になったのかも知れません。
■バスの治安
今までにバスで怖い思いをしたことはありませんが、人によっては、引ったくり、痴漢などの経験がある人も多いようです。バスに乗る場合は、念のため、背負ったリュック型のカバンは、手元側に持った方が、安心感はあります。
あからさまに、目に留まるような振る舞い、服装は避けた方がいいでしょう。
ある程度の緊張感は必要かもしれません。
■ネパールのバスは人間以外も運んでくれる
バスは、大き目の荷物も運んでくれます。例えば、ガスボンベ、野菜袋、米、穀物、布団屋のシーツの束、など、乗客の荷物として、または、荷物だけを預けて運んでもらうこともできます。ガスボンベや野菜袋なども運びますし
この様な布団やシーツなども運びます。
3メートルほどの鉄筋を、ドアから半分道路にズリながら運んだこともあります。車内に、荷物用の場所が設けられているわけではなく、客の隙間に押し込んで置いちゃう感じです。
■バスの給油
客が乗っていても、給油のためガソリンスタンドに、立ち寄ったりします。
配車してからとか、乗客がいない時に、ということは関係はありません。
■大きなバス停
途中、大きなバス停に止まった場合、客が集まるまで停車します。周りには、果物屋やジュース屋が並んでいます。
混雑中のバスの中から、いったん外へ出ると一息つけます。
■バスにプザ
毎年10月頃、商売道具にプザ(ヒンズー教儀礼)する日があります。日頃お世話になっているバスを、感謝の気持ちを込めて、プザします。バスのフロントガラスあたりに赤い粉を付け、ココナツを割って中の水を車体にかけ、線香をたいて、花で飾りつけをします。
■バスに乗る時に気にしておきたいこと
毎年同じ時期に行われるネパールの祭りの時は、渋滞や人混みがあるため、祭りの場所を避けて遠回りする場合があります。外交関係の訪問者がある場合、交通規制が設けられるので、その場合もバスの路線は大幅に迂回するか、長時間の渋滞があります。ネパールではバンダというゼネストがあります。バンダの場合、夕方の5時までは、すべての交通機関はストップしますので、もちろんバスは使えません。ガソリン不足が長期続いた場合、バスの走行数は少なくなります。
ネパールのバスは、快適さを求めると、ちょっと違うんじゃないか?と感じたりしますが、慣れれば便利な移動手段となります。乗り降りも、最初はわかりにくいですが、まずは、自分のよく使うルートをマスターすれば、あとはだいたい同じですから、わかって来ます。カラシが客を呼び込みために、行き先を連呼していますが、最初は聞き取れませんが、何度も聞くうちに、耳が慣れてきます。
わからないときは、行き先を伝えると、教えてくれます。もし観光中に乗る機会があれば、ローカルな雰囲気が味わえていいかもしれませんね。