突然、高額紙幣が使えなくなった後のインドがどうなったか
■突然、お金が使えなくなった!!
2016年11月にインド政府が突然、今まで流通していた高額紙幣の1,000ルピー札と500ルピー札の廃止を宣言しました。
この政策は蓄財している人々からの反撃やマネーロンダリングを防ぐために、極秘のうちに準備され、突然発表されたのですが、あまりにも突然だったためにインド全土が大混乱に陥りました。
インド経済は一瞬にしてストップし、デリー市内の市場は全部クローズし、銀行の前には「取り付け騒ぎか!」って言う位の人の列ができました。時間が限られている旅行者は、銀行に並ぶことも出来ず、満足な情報も得られない中、現金が満足に手に入らずに、とっても困ったそうです。
その時点での詳しい話は「僕らが持っているルピー札はどうするんだ!!! 突然、高額紙幣が使えなくなったインド」に詳しく書いたのですが、4ヶ月ほど経過してインドを訪問してみると、当初の大混乱は完全におさまり、新しい形のインド経済が出現していました。
今回は実際にインドを歩いてみて、インドがどのように変わったのかをレポートしてみたいと思います
■これが新しい2000ルピーと500ルピー
インドに到着して、空港のATMで引き出したら、新札が出てきました!!!
表面にはインド建国の父、マハトマ・ガンディーが描かれていて、緑色の光沢印刷で500と2000の文字が印刷されています。白く印刷されていない部分にはガンディーの透かしが入っています。日本のお札ほどではないですが、今回の新札には、以前よりも多くの技術が導入され、偽札を作りづらくしています。
今までインドには多くの偽札が流通していたそうですし、それもあって、人々はどこか高額紙幣を信用していなかった気がします。その不信感が、「無駄に遅い! 共産主義都市コルカタでお買い物してみた」で私達が経験したように、偽札ではないかどうか、一枚一枚、光にお札を透かして見るという、無駄な行動に繋がっていたのでしょう。
裏面にはインドのお札の伝統に基づき、15の言語でこれが500ルピーであると印刷されています。500ルピー札にはデリーのRed Fort、2000ルピー札にはインドの最新人工衛星Mangalyaanが印刷されています。
■クレジットカードが普及したが…
2016年11月の政策発表時に大混乱を引き起こした新札発行令ですが、4ヶ月経過した2017年3月に訪問してみたら、既に混乱は完全に収束していました。混乱の名残を残すのはATMで、以前は25000ルピーまで引き出せたのが、まだ10000ルピーまでしか引き出せません。新札交換の騒ぎを知らない人にとっては、そんな事があったのが全く分からない位になっています。
街を歩いてみると、クレジットカードがどこでも使えるようになっていました。おしゃれなカフェやホテルではもちろんの事、「ここで使っても大丈夫なのかなぁ…」と心配になるような小さなお店でもクレジットカードが使えるようになっていました。
これはデリーのショッピングモールに入っている珈琲屋さん。当然のようにカード端末が置かれています
2000ルピー札のお釣りはないから、クレジットカードで払ってねとの看板。
ムンバイの観光地エレファンタ島の露店ですらクレジットカードが使えるようになっているのにはビックリ。
さて、実際にクレジットカードで支払いしようとしてみた所…問題が発生しました。インドの多くのカード端末が海外発行のクレジットカードを受け付けてくれないのです。
「クレジットカードで支払いしてもいい?」と言ってカードを渡しても、機械に通してから「あ?。君のクレジットカードは海外発行か…」と言われ、結局、現金で支払うと言うケースが8割位の確率でありました。海外発行のクレジットカードが全く使えないわけではないのですが、使える場所が限られている。という状況なのです。
■先進の決済方法PAYTM
クレジットカードが普及しただけでなく、インドに、新しくPAYTMという決済方法が出現していました。PAYTMとはスマホアプリ経由の小口決済方法で、スマホを持っていれば簡単に支払いができると言う、とっても便利なものです。これはジャイプールのバススタンドの写真ですが、カウンターにPAYTMのロゴが貼ってあります。
こちらはお土産屋さん。やはりPAYTMのロゴが貼ってあります。
2人のおっちゃんが経営している小さな町の文具店にも、PAYTMのロゴがありました。
この他にも、オートリクシャのフロントガラスにもPAYTM、カフェの入口でもPAYTM、ホテルのカウンターでもPAYTMと、PAYTMのロゴを見かけない日はありません。インド人だったらみんな知ってて、みんな便利に使っている支払い方法なのでしょう。個人から個人への送金も簡単にできるようです。
「インドで生活するのに現金はいらない」とまで言える状況になっています。今まで現金主義だったインドですが、通貨交換の混乱を通じて、急速にクレジットカードと電子決済の社会へと舵を切ったと言えるでしょう。
しかし、その恩恵はインド人だけです。
このブログを書くに当たり、僕もPAYTMを使ってみようと思ってアプリをダウンロードして試してみましたが…またもやここでも「海外発行のクレジットカードが使えない」と言う罠が待ち受けていました。PAYTMはクレジットカードかインドの銀行口座経由でお金をチャージする様になっているので、アプリがダウンロードできても、僕達は使うことが出来ません。
PAYTMもクレジットカードも、インド人が使いやすいだけで、僕ら旅行者には全く役立たず。インドは今、アプリ大国になっていて、色々な便利なアプリが出回っているのですが、その多くが海外発行のクレジットカードを受け付けず、日本人には使うことができません。
「便利なサービスがあるのに指を咥えて見ている」
今のインドは、僕らにとってはそんな残念な状況なのです。
そんなの悔しい!
僕らも便利なアプリを使いたい!!
と思ったティラキタ買付け班。色々リサーチを重ねる中で、海外のクレジットカードでも受け付ける便利なサービスを色々と発見しました。そのうち、日本人が使えるインドの便利なサービス10選みたいな記事を書いてみますね。
インドが「高額紙幣廃止しま?す」と言った時はどうなることやら!?と思いましたが、実行されたらなんだかそれなりに適応していっているみたいですね。まだ半年も経っていないのに・・・笑
改めてインド人スゲーと思いました。日本では考えられないですね。
まず実行してみるというフットワークの軽さが政府にもあるのは面白いです。
ティラキタさん現地レポートありがとう!
何処でも何でもスマホスマホ・・・
日本でもPHSしか持ってない人間は、インドですら生き辛いシステムになってしまったんですね