インド藍を使った泥染め布の村に行って来ました!

■まずはムービーでざっくり説明するよ!
インド藍を使った泥染め布は、ウッドブロックと呼ばれる木のスタンプを使って印刷されています。


ムービーなので、だいぶ端折ってありますが、ざっくりとした工程はこんな感じです。



■工房は麦畑の中
工房はインド中部、首都のデリーから車で6時間ほど南下したジャイプールから、更に車で1時間ほど離れた場所にあります。デリー、アグラ、ジャイプルと地図で見ると三角になって位置している、インド黄金の三角地帯と呼ばれるエリアの一部。


ジャイプルから車に乗って田舎道を行くと、麦畑の中に工房が出現しました。ちょうど麦の収穫の季節ということで、麦がたわわに実っていました。この麦もまた伝統的な方法で布を作るのに必要なのだそうです


■製品になるまでの長い工程
一枚の白い生地が最終的な製品になるまでには、何回もの工程が必要で、とても長い時間がかかります。染めと一言で言っても、一回染めて出来上がりと言った簡単なものではありません。

こちらの布が実際の製品ですが、よく見ると何重にもプリントが施されているのが判ります。一枚の布の中に、花柄のアウトライン、染められている部分と染められていない部分、濃く染まっている部分と明るく染まっている部分がありますね。順を追って、この布がどの様に作られているかを見ていきましょう。



一番最初は、白いコットンの布地を買ってきて下洗いします。売っているコットンの布地には汚れがついていたり、管理のために鉛筆で文字が書かれていたりするものがあるので、そう言う汚れも丁寧に落とします。



まず、赤い線と黒の線をウッドブロックでプリントします。ピグメントプリントと呼ばれる工程で、最初の印刷は黒や赤だけでなく、どんな色も使う事が出来るのだそう。こちらの写真がウッドブロックです。



ピグメントプリントが終わったら、ダブーと呼ばれる黒土を主成分にした防染剤(色が染まらない様にするためのもの)を作り、染めたくない部分にダブーをウッドブロックでプリントしていきます。

こちらがダブーの元となる黒土です。黒土を主に使用するのが泥染めと呼ばれる理由で、この黒土はバグルー村の近くから持ってくるのだそう。そこにしかないと工場の人は言っています。



この地域の泥染めの大きなポイントは防染剤をウッドブロックでプリントし、染めたくない部分を保護する所にあります。

プリントと言うと、私達は「印刷するもの」と思いがちですが、染めたくない部分を保護するためにプリントするという逆転の発想がここでは用いられています。この方法を使うと、大きく染めた布地の中に白い部分が残る、全体が藍色の布や黒色の布を作ることができるのです。

ダブーと呼ばれる防染剤を作るには黒色の土、ナチュラルガム、小麦粉、石灰石を機械で混ぜ合わせます。全部の材料を機械に入れて、材料が非常に細かい粘土状になるまで撹拌します。この機械では一回に10から20キロのダブーが作れ、素材を入れてから30分くらいかかるそう。



作ったダブー(防染剤)をスタンプ台の中に入れます。ダブーはただの泥の液体のように見えます。


ダブー(防染剤)をウッドブロックで、ペタペタと押していきます。通常のブロックペイントは、インクを載せて印刷するのに対し、泥染めと呼ばれるこの染色方法は、染めないところを指定していく方法ですので、より手間がかかるのです。


これが、スタンプ中の布。ダブーがパターンになって印刷されています。


人の手で、一回一回、ペタペタと押していきます。一人の人が作れるのは一日に10枚くらい。大変手間のかかる仕事です。


全部ダブーを押し終わったら、おが屑をぱっと均等に撒いて、ダブーを乾燥させ、ダブーを定着させます。


その後、外に持っていって乾燥させます。乾燥したら、インディゴで染色します。


これは、おが屑を細かくする道具。おが屑が大きな粒のままだと都合が悪いので、これで細かいものだけを選別するのだそう。


■藍は生き物
この工房の心臓部であるインド藍が入っているインディゴ小屋。藍は天然染料で、粉を溶かせば染めることが出来る化学染料とは大きく違います。

藍を扱っている人達は「藍は難しい。 藍は生き物なんだ」と言います。藍の調子は日によって異なり、発色も藍の状態によって違います。いい藍色に染めるためには、まず藍の発酵の状態をコントロールしてあげないといけず、それが藍染めで一番難しいところなのだそうです。


藍が入っている穴の深さは3メーターくらいで、染めの色を出すため、ここでは染色を2回繰り返します。


染めて、地面に開いて干し、乾いたものをこすってくれました。
布をこすると、防染剤が落ち、中から美しい染めがあらわれます!!


実際には布はこすったりせず、洗ってダブーを落とします。必要であれば洗った後にまた次のプリント工程に入るのだそうです。複雑なデザインの布では、染めと洗いが5回以上も繰り返されるのだそうですよ。こんな感じで作られているので、やっぱり、洗濯機で洗うと色が出てきてしまうのは仕方のないことかもしれません。


何千回も手でプリントして、染めて、干して、洗って。

また何千回も手でプリントして、染めて、干して、洗って。

またまた何千回も手でプリントして、染めて、干して、洗って……………

延々それの繰り返しで、やっとこ一枚の布が出来上がるのです

一枚の布に対してどれだけの時間が凝縮されているのでしょうか。悠久のインドと同じだけの時間がかかっているような気がします。
手間の結晶のようなバグルー村のインド藍を使った泥染め布。
ティラキタでも取り扱いさせていただくことになりました。
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