チベット絨毯の工房に行って来ました!

つい先日、カトマンズから車で1時間くらい行った古都パタンの外れにチベット人達が数多く住んでいる地域があり、その中心にチベット絨毯の工房があると聞いて行ってきました????


絨毯は1980年台にネパールからの輸出額の半分にもなったことがある位、ネパールにとっては重要なハンディクラフトです。ネパールの絨毯の歴史は古く、山の中で自分たちが使うラグが欲しいからという理由で数百年も前から連綿と作り続けられてきましたが、有名になったのは1959年台にチベットに中国共産党が入り、チベット人達がネパールやインドに亡命してからの事です。

絨毯は遊牧民の作るものですが、チベット絨毯もその例に漏れず、チベットの遊牧民の間でずっと昔から作られてきたものなのです。チベットからネパールに亡命してきたチベット人たちの中には絨毯の作り方を既に知っているものが数多くいて、その彼らの技術がネパールで作られる絨毯のクオリティを高め、チベット絨毯のみならず、ネパールの絨毯を世界的に有名にしました。

あまり日本では知られていないことですが、チベットの絨毯は世界4大絨毯の1つに数えられ、ヨーロッパや米国ではとても人気のある絨毯です。 オリエンタルな絨毯といえば、日本ではペルシャ絨毯と相場が決まっていますが、ペルシャ絨毯は主にシルクで作られ、薄く美しいですが、保温性はあまりありません。しかし、チベット絨毯はウールで作られ、毛足が長く温かいので、冬はとても重宝します。

また、チベット絨毯にはチベットならではの幸運の模様や、伝統的な柄があしらわれていて、それ自体が芸術品です。何でも機械化されている現代ですが、チベット絨毯はいまだに1ノット、1ノット、手で織られています。 現代文明に逆行するかのようなその真摯な姿勢が世界的な評価を高め、人気を不動のものにしているのでしょうね。

それでは、さっそく、チベット絨毯がどのようにして作られているか見てみましょう。


これが、古都パタンの外れにある亡命者チベタンキャンプです。1960年にネパール政府から土地の供与を、スイスの団体から建物の供与を受け、現在では約500人の亡命チベット人達が絨毯を作っています。建物の外側にはためく5色のタルチョーがチベットらしいですね。


建物の入口から見て左側に、スピニングルーム…糸を紡ぐ場所がありました。中に入ってみると、20人くらいのチベット人の女性たちがカラカラ・カラカラと糸車を回しています。「え? 糸からなの?」 全部手作りとは言っても、糸くらいは機械で作られるだろうと思っていたのですが…ここでは糸から手で作られるようでした。


チベットのお経でしょうか…何かを歌いながら手際よく、カラカラ、カラカラと糸を紡いでいきます。女性の左手にあるのが原材料になっている羊毛です。羊から刈り取り、クリーニングし、繊維の方向を揃え終わったふわふわの羊毛。近づくと、羊毛らしく獣の匂いがします。その羊毛を手に取り、糸車で糸に紡いでいくのです。日本昔ばなしで見たことのある風景が実際に目の前に広がっていました。



写真だけでは分かりづらいと思いましたので、ムービーでも撮ってみました。女性たちが口々に何かを歌いながら作業しています。


糸になる前のウールと、紡ぎあげた糸です。全部人間が手で作っていますので、糸の太さはまちまち。全部同じように紡げる機械のようではありませんが、それがまた、いい味を出しています。絨毯になった時、この糸のまちまちさが逆に味になるのだそうですよ。機械ではダメっていう事なのだそうです。


糸を作る所は見終わったので、次に実際にチベット絨毯を織っている所に行ってみました。チベタンキャンプの正面にある大きな建物の一階に50人くらいの女性たちが座り、手早く、黙々と絨毯を織っています。ここでの作業も、全部手だけです!! 絨毯を織るのに使い道具はほんの数点だけで、完全ハンドメイドで絨毯を織っています。


それでは、どのように作るか説明していきましょう。絨毯を作るにはまず、一番外側の型枠が必要です。この型枠にコットンで縦糸を張ります。縦糸の数は1インチ(2.5cm)に8本から10本くらいですので、例えば横60cmの小さめな絨毯を作るのにも、240本もの縦糸が必要になる計算です。240本の縦糸を絡ませないように、ピンと貼っておくのがこの外枠の役割です。



ここからの作業は一度ムービーを見てもらったほうが早いかもしれません。女性がものすごい速さで縦糸に、絨毯の羽となるウールを結びつけています。一番左端からはじめて、1ライン織るのに10分くらい。1ラインで2mm位進みますので…60cmの小さな絨毯を織るのには300ライン必要で、合計で3000分。休まずに、飲まず食わずで絨毯を織り続けていって50時間かかる計算です。

50時間!! 1枚の小さな絨毯が50時間!! この計算は60cm四方の小さな絨毯での話で、絨毯は物によっては1m x 2mなんてのも普通にありますから…1枚のチベット絨毯にかかっている時間は軽く数ヶ月以上、と言う事になります。


縦糸に一本づつ、ウールの糸が結び付けられています。棒に巻くようにして編んでいき、最後に棒を外してループ状の部分を切ると、絨毯の足が全部同じ長さになるということなのでしょう。


これが絨毯を作るときに使う道具の一つ、ハンマーです。ものすごく単純で、簡単な道具ですが、これがないと絨毯ができません。このハンマーは絨毯の目を詰めるために使う道具で、絨毯を編んだ後に上からコンコンと叩いて目を詰めるのです。


これも絨毯を作るときに使う道具のひとつ。最初見た時は「なんだこれ?」って思いましたが、これがないと、やはりチベット絨毯できません。この道具で上から押さえつけ、絨毯の目を更に細かくするための道具なのだそうです。


途中まで出来ている所を見せてもらいました!! 確かにチベット絨毯が出来上がっています! いやーー、上手なものですね。びっくりします!! しかし、この模様、どのようにしてデザインしているのでしょうか?


あ、なるほど?! 上の方にデザインを描いてある紙があって、それを見て作っているのですね。納得です!!


そしてこれが出来上がった絨毯です。
チベット絨毯ならではの美しさと、模様が素晴らしいですね。そのうちティラキタでも取り扱えればいいなぁ…と思っています


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4 Comments + Add Comment

  • ぜひ、ティラキタで、チベットじゅうたんを取り扱ってくださいね。見たいです。きっとデザインもいろいろあるのでしょう。

  • ぜひ、ティラキタで、チベットじゅうたんを取り扱ってください。見たいです。きっとデザインもいろいろあるのでしょうね。

  • ご要望、ありがとうございます! そうしたら次回の入荷の時に、入れてみますね!!

  • Your visit to Nepal at Chibetto Refugee camp is very interesting and I am happy to see your website of this scene. I have also visited that camp and saw how Tibetan carperts are weaving. It is really good to have such carpets. I think your website market sell such carpet, it is good for people, may be many takes interest to it. In Japan, it is not known such carpet shops. I appreciate your visit there and taking interest to such traditions. Best of luck.

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