集結! 12600人僧侶大集合!
タイの首都バンコクの中心部を東西に走るスクンビット通りをバスに乗ってた時のこと。沿道に「12600」がなんちゃらと書かれた看板が置かれてるのに気がついた。英語とタイ語が交互に置かれており、見てみると「12600人の僧侶による大お托鉢大会が早朝に開かれるので、みんな来てね!」という内容。いちまんにせんろっぴゃくにん??? 想像がつかない。東京ドームがだいたい5万か6万人なので、あれの5分の1が僧侶で埋まる計算になる。歴代ライダー大集合、スーパー戦隊集結ってノリだろうか。そりゃきっとすごい光景だろうなと思い、見に行く事にした。
朝6時半頃、地下鉄スクンビット駅で下車。地上に出てみると、普段は交通の要衝として渋滞気味のスクンビット通りとラチャダーピセーク通りの交差点の一方、今年新しくOPENしたショッピングセンター「ターミナル21」の前が封鎖されている。道路上にはたくさんのお布施を抱えた在家信者の皆さんがずらっと列をなしている。入りきれなかった人が歩道にも溢れ、ものすごい熱気だ。各所にスピーカーが置かれ、お経を唱えたり説教を流してる。信者さんたちは皆、白い正装を着て、その放送に耳を傾けている。
タイ語がわからないのでぼけーっとその光景を眺めていると、周囲がざわざわし始めた。と、遠くの方から、一斉にオレンジの袈裟を着た比丘(僧侶のこと)が歩いてやってくるではないか! 白い服を着た人々の中に、まっすぐ突き刺さってくる何本ものオレンジ色の槍という感じだ。おぅ、こりゃすげえ!
比丘方は目の前を通りすぎていく。誰もお布施を差し上げようとしない。どうするんだろう……と思ったら、端まで歩いたら今度はUターンしてきて、結果、2列縦隊で並ぶことになった。
皆が定位置につき、放送で合図がある。すると一斉に在家信者さんたちがお布施を始めた! 我先にと托鉢の鉢へ供物を入れていく。あっという間に溢れかえる鉢。すると、脇に控えてたスタッフらしき人がゴミ袋を広げ、その中に供物を入れる。カラになった鉢を目ざとく見つけるとまた他の人が供物を入れ、それがゴミ袋に。その繰り返しだ。
中には現金をお布施する人もいるが、それはゴミ袋に入れず、それぞれの比丘が持つ袋や懐へと吸い込まれていく。あとで寺全体で集めて平等に分けるのか、それとも個人のものになってしまうのかはわからない。
お布施の勢いは止まることがない。沿道からもどんどんと手渡されていく。ゴミ袋の山もどんどん大きくなっていく。中身を見ると、生米、お菓子、ミネラルウォーター、ろうそく、インスタントラーメン、みかんやりんご、石鹸など、生活に必要な物だが、単価が安いものが多かった。できるだけ多くの比丘に布施をしようとしたら、安くて数多く用意できるものということになるのだろう。
10分か20分ぐらいたったところで終了。最後に「サードゥ、サードゥ、サードゥ(善哉)」と唱和して終了。片付けに入る。路上の布が撤去され、そこに大型トラックが何台も入ってくる。すると、信者やスタッフ総がかりで、お布施の詰まったゴミ袋を放り上げていく。それはどこからどう見てもごみ収集。食べ物だったりお布施されたものという感じはみじんもない。そんな放り込み方をしたら、中に入ってるみかんはどうなる? 腐ったみかんになっちゃうじゃないか! という感じだった。
トラックが次々にやってきてどんどん回収していく。言い方は悪いが、物を大事にというのとは対極にあるイメージだ。
見方を変えると、救援物資を持ってきたトラックのようにも見えた。だがそれはビデオの逆回し。持ってきた物資は配られるのではなく、トラックに積み込まれていく。
ひと通り片付くと、道路の反対側に人ごみが出来ていた。近づくと、シーク教徒の人たちが炊き出しをして在家信者の人たちに食事を配っていた。ただ見学だけしてた自分にも「さぁさぁ遠慮せずに」と渡してくれた。揚げた食パンにケチャップ、甘いミルク粥、お水。ありがたくいただいた。
ところがこれ、用意しすぎちゃったらしく大量に余ってしまい、一度食べた人に何度もすすめだした。いつのまにやらバイタクやタクシーがやってきて、みんな嬉しそうにもらっていく。きっと「ここに行けばタダで朝食が食べられる」という話が広まったのだろう。
見学をひと通り終えて帰ろうと歩いてたら、朝からやってる屋台で、先ほどの托鉢でもらっただろう現金を使って、何人もの比丘がご飯を食べ、コーヒーを飲んでた。実際に托鉢で得た食事だけで過ごし、現金は貰わず触らない戒律に従う比丘もいるにはいるが、こういう俗っぽい比丘のほうが今は圧倒的なんだよね。そんな彼らに嬉々としてお布施をする側もあまり気にしない。お布施したあとそれが無造作にゴミ袋に放り込まれようがトラックに積み上げられようが、それはもう関係ない。
大量のお布施は、ちゃんと分配され、消費されるのだろうか。あの扱い方ではごみになってしまうものも多々ありそうで、「物を大事に」という環境で育った日本人からすると、いまいち違和感を感じる光景だった。
震災&原発事故を機に自主退職。四国遍路、フィリピン英語留学、ミャンマー瞑想修行、現在アジアぶらぶら中。
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