レートのいい両替屋はどこだ!? 闇両替屋を探せ!

旅行にいくと避けて通れない両替。両替は面倒だけど、絶対にやらなければならない事の一つです。きちんとした銀行で両替すると、機械的な作業になりがちですが、インドやネパール、タイではそこにもまたドラマがあります。

旅の予算が厳しくて1ルピーでも節約したい旅行者はレートの悪い銀行ではなく、ちょっとでも良いレートを求めて両替屋を渡り歩きます。あっちの両替屋、こっちの両替屋と比べて歩き、気がつくと半日過ぎていることも…。

日本ではあまりポピュラーではない両替屋という商売ですが、カトマンズ等のツーリストが集まる場所には結構数多くあり、それなりの人気です。大通りに面して、きちんとしたカウンターを出している両替屋は、政府の許可を受けた両替屋ですが、もっと良いレートを求めていくと闇両替に行き着きます。この闇両替。通常のレートよりも1パーセント位良く、安全な銀行よりも2パーセント位レートが良いのです。

1パーセントですから、100ドル両替したら1ドル分余計にもらえます。「たったの1ドル? みみっちい!」と思うのは日本に住んでいる私達で、日々の収入がなく、貯金を食いつぶして生きている旅行者にとっては馬鹿に出来ない金額。1ドルあればご飯が食べられます。1ドルあればインターネットが三時間できます。1ドルあればバスに一日中乗っていることも出来ます。たかが1ドル、されど1ドル。みみっちい旅行者(インドパパも昔はそうでした)は1日5ドルとかで生活してたりするので、1ドル多くもらえるとなると「一食分多く両替できた!」と大喜びです。

貧乏旅行者相手だとあまり儲からないからか、バンコクの中心街にお店を出している闇両替屋もいます。バンコクは日本人だけでなく、アラブ系、インド系、中華系、アフリカ系、多くの人種が入り交じるアジアのハブですので、バンコクで外人の集まる場所にお店を出せば自然と儲かるという寸法。

バンコクの有名な歓楽街タニヤ通りの中の酒屋は、有名な闇両替屋の一つです。お酒を買うフリして中に入っていくと、正規のカウンターの奥にもうひとつ小さなカウンターがあり、そこで両替してくれます。銀行でのレートが100円で33バーツだとすると34バーツ位くれたりします。

15年以上前の話ですが、ネパールの王宮前広場、ダルバールスクエアの横にも闇両替屋がありました。そこはじゅうたん屋を営んでいて、じゅうたんを売るだけでなく、儲かるから闇両替も手掛けていました。

初心者旅行者だったインドパパ。レートが良いと聞いて、そのお店に入りました。お店の中には無精髭を生やした中年の男性と、少年の2人。両替をしたいと言うと、少年が「ダダダ!」と入り口に走って行って、いきなり扉をバタンと閉めました。突然、店内は真っ暗になりました。

こっちは両替したいと言って来ているのです。お金を持っているなんて事は分かり切ったことで、襲えば簡単にお金を奪えます。「ヤバイ! 閉められた!」と思っても後の祭り。もう、いいように料理されるしかありません。「ああ、僕はここネパールで死ぬんだな」と後悔が浮かんできます。

真っ暗な中で少年と店主が何やらゴソゴソやっています。最悪のシーンが頭にひらめきます。ナイフを探しているんだな。さっきのお店で伝統的なナイフ、ククリが売っていたものな。ネパールのゴルカ兵は世界で一番強かったって言うものな。僕、今から切られてお金を奪われて、ミンチにされてカトマンズの川に浮かぶんだ。そのうち日本大使館に行方不明者の捜索願が出て、安宿に「この人を知りませんか? 2年前にインドで行方不明になりました」なんて言うビラを貼られるんだ…

と思ったら、ろうそくが点いて、店主の顔が薄暗く照らし出されました。真っ暗だったのは1分か2分間位でしょうけれども、途方もない長い時間に感じられたものです。

「ジャパニ、幾ら両替したいんだ」

悪そうな顔をした店主がボソリと言います。ちろちろと揺れる蝋燭の光に照らされた顔は映画で見る悪党のよう。ビビリな自分の心が店主の顔に投影されていました。

「ひゃ、百ドルくらい…」
「そうか。レートはこれでいいか」

と違って提示されたレートは意外にも3ルピーほど他のお店よりもいいものでした。もしかしたら、ちゃんと両替してくれるのかも…とも思いましたが、出口は塞がれているし、知らない国だし、自分一人だけで心細いし、胸が異常にドキドキします。

おずおずとお札を出すと、店主が店の奥からネパールルピーを持ってきて、数えて渡してきます。「札は早くしまえ!」と店主がささやきます。僕がお札をしまったのを見ると、少年が扉を開けに行きました。扉が開いて、明るい光が差し込んできます。

「ああ、助かった…」

店を出ても、胸はまだドキドキします。胸の動悸は10分くらい収まりませんでした。

後から考えてみると、闇両替屋の店主も闇両替をしている所を見られたくなかったのでしょう。両替屋は政府の許可制なのだから、儲かるとは言っても小さな犯罪なのでしょう。だから扉を閉め、暗い中で両替したのでしょう。自分だけでなく、彼らもやはりドキドキだったのです。

結局、ボクはその時以来、闇両替を使わなくなりました。
いくら1パーセント位レートが良くても、怖い思いをしたら元も子もありませんものね!
人生と同じく、旅も安全第一。
怖い思いをするのはもうたくさんです。

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2 Comments + Add Comment

  • 闇両替体験、渾身のレポートで、やはり怖いなぁ・・・と思った次第です。
    あとでやっかいなことになると面倒なので、私も使っていません。

    さて、両替では、インド国内、それも国際線の到着する空港で困ったことがあります。

    それは、インド・コルカタに、夜に入国したとき。
    http://travelconsult.blog91.fc2.com/blog-entry-106.html

    到着したら、夜の21:30をすでに過ぎていました。
    デリー空港に比べると、都市の規模の割には、コルカタ空港は、相当にこじんまりした空港でした。
    両替所の場所が、わからなくて、ジェット・エアウェイズの客室乗務員さんが、荷物の受取所付近にたまたまいたので、聞けました。

    アメリカドル (US$) のトラベラーズ・チェックを両替所に出したら「夜だから、US$ 現金のみ」と言われてしまいました。
    US$ の現金を非常用に持っていたのを、インド入国時に早速使うことになるとは、思いもよりませんでした。

    土曜日は、コルカタのシティバンクが開いているので、日本のシティバンク銀行で購入した US$ トラベラーズチェックなら、土曜日でも両替できるだろう・・・と思っていったら、
    「土曜日なので、できません。」
    と、言われてしまいました。
    コルカタのシティバンクのスタッフは、土曜日でもトラベラーズチェックを両替できる場所を教えてくれました。
    http://travelconsult.blog91.fc2.com/blog-entry-83.html

    「Cox & Kings」というインドの老舗の旅行会社を案内されて、無事に両替ができた次第です。
    このとき,1,000ルピー札で渡してくれようとしたので、500ルピー札と100ルピー札でもらうようにお願いしました。

    インド名物「お札のババ抜き」があるとマズいので、もちろんキッチリと1枚1枚、数えながらチェックしました。

    確かにレートは悪いかも知れないけれども、「Cox & Kings」に用意されているお札は、新札がほとんどで、かなり状態の良いお札ばかりでした。
    500ルピー (約750円札) や 100ルピー札 (約150円札) でも、現地では大金だから、闇両替で両替して、ババ抜きで変なお札をつかまされて、結局損をするよりも、銀行やちゃんとした両替所 (Cox & Kings の支店は、ソファもあり、冷房が効いていて、休憩もできました) がやはりベストですね。

    それも、土日や夜でなく、平日の昼間に両替するが、やはり良いですね!

  • コルカタのレポート、有難うございました!
    確かに空港に夜着くのって心配ですよね。私も何回も経験があります。

    そう言えば、最近、インドパパ、余りトラベーラーズチェックを使っていません。両替が多少面倒なこともありますし、アジア圏内だったら日本円でもOKな両替屋が多いからです。でも、インドに行くのであればまだまだUS$やトラベラーズ・チェックが便利ですね。

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