ヴァラナシ、冬の動物たちの過ごし方

南にあるから基本的には暑いというイメージを思わず抱きがちだが、実際のインドの冬は寒い。ゴアやそれより南の、いわゆる「南インド」と呼ばれるエリアを除くと11月から2月頃のインドの気候はかなり冷え込む。昼間でも長袖が必要になる日が結構あるほどだ。

そんな季節にはもちろんインド人も大判のストールを羽織ったりニットや厚手の上着を着たりしている。どうやら耳を出していると寒いという認識が浸透しているようで、一昔前のヘッドフォンのような耳当てが大流行しており、それ以外にもモンキーキャップをかぶったりマフラーやガムチャを頭にぐるぐる巻きにしている可愛らしい姿を目にすることになる。それでも足りなければ道端で焚き火など始めて暖をとる。ヴァラナシでも朝から男たちがあちこちで火を囲んでいる。

そしてヴァラナシの動物たちもこの季節にはしっかり冬対策をしている。彼らだって寒いのだ。
まず目に付くのは誰かに飼われている山羊たちだ。道やガートを歩いていると山羊にすれ違うのはいつものことだが、冬の彼らは服を着せてもらっている。

ジュートでできたずだ袋をすっぽり着せられている山羊がたくさんいて、彼らは嫌がる風でもなくいつもの通りに道端の紙くずやら生ゴミやらを漁っている。

時には誰かのお下がりのワイシャツを着こなして、まるで童話に出てくる山羊のお医者さんのような格好で思慮深げに歩いていたりもする。
ヴァラナシの野良牛達は神聖とされながらもさすがに服は着ていない。でも冬はやはり寒いのでどうするかというと、人間たちの焚き火に集まってくるのだ。

インド人達が路地で薪やゴミを集めて燃やしていると、わいわい話しているそのうしろから彼らはのっそりと現れて、遠巻きにするどころかインド人を押しのけるようにして輪の中に入ってきて、当然のように一緒に火を囲む。

野生の動物は火を怖がるというのは人類の共通認識と言っていいほど一般的だと思うけれど、インドの牛にはそんな常識は通用しない。さすがすぎる。

ビーフステーキになっちゃうんじゃないかと心配してしまうほど間近に陣取って動こうとしない。これにはインド人達も苦笑するしかないようだった。
 
犬たちはもっと大胆だ。焚き火に集まってくるのはもちろんなのだが、その焚き火が終わって人がいなくなるとそそくさと暖かいままの灰の上に乗っかって丸くなる。熱いんじゃないかと思うけど犬にとっては全く問題ないようだ。

ある時などは火葬場の、しかもハイカーストの人専用と思われる立派な台の灰の上に気持ちよさそうに犬が昼寝をしていた。人を焼いた跡でも犬にとっては温い寝床に過ぎないのだ。

さすがにまずくない?と思ったけれどインド人達は気にしていない。遺体は焼いてもうガンガーに流れたのだ。焼き跡なんていったい何を気にすることがあるんだ?と言われたらもちろんその通りだねとしか言えない。この世に存在するもの同士が自然に多くを分かちあい、こうやってインドは脈々と回っていくのだ。

文章:DJ sinX(しんかい)
日本での7年のDJ活動の後、世界各地でプレイするべく2007年から旅を始める。オーストラリア、東南アジアを経て現在インド亜大陸へ。活動はDJだけに留まらず、音楽イベントの開催、「Thanatotherapy」名義にて楽曲作成なども行う。
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