ここが変わった!! 2018年バラナシ訪問レポート



インドパパ、2000年頃にバラナシに長く滞在していたのですが、その後は数年に一回位のタイミングで訪問しています。時間をあけてバラナシを訪問してみると、ここが変わった、これは変わっていないというのがよく見えて来るものです。

今回は「ここが変わった!! 2018年バラナシ訪問レポート」ということで、バラナシの変わった部分、変わらない部分をレポートしてみたいと思います。

■バラナシは全体的にきれいになったと思う!!

その昔は、バラナシといえば「旅人がいなくなる危ない街」でした。日本人が集まっていたKUMIKO HOUSEの壁にはインド旅行に出て帰らなくなった息子や友人を探すためのMISSINGの張り紙が何枚も貼られていましたっけ。

初めて訪問してから20年以上が経過して、バラナシは安全に、そしてちょっとだけキレイになりました。ガート沿いにゴミ箱がおかれ、定期的に掃除する人がいました。

写真のゴミ箱は絶望的なまでに汚いけど、以前に比べればゴミ箱があるだけマシで、ゴミ箱があれば人々はちゃんとゴミ箱にゴミを入れようとするものです。ですので、ガートや道は割とキレイになっていました。



■ガート沿いに電気が付きました

20年前のバラナシは、そこまで安全ではなかったので、暗くなったらガンジス河沿いには近づかないというのが鉄則でした。夜のガートは暗くて、野犬がいる危ない場所でしたし、どうせ死体が流れている場所なので、もう一つ死体が増えたとしても誰も気にしないからです。

2018年に訪問してみると、ガート沿いにはライトが付いていました。
これであれば夜、ガートを歩いても安心ですね。
治安も良くなったと、複数の人々が言っていました。



■ガンガーアールティが盛大に執り行われるようになった

今、バラナシの観光の目玉になっているのは毎晩、盛大に行われるガンジス川への礼拝ガンガー・アールティです。

昔はごく少数の人が自分たちの信仰のために細々と行っていたガンガー・アールティですが、バラナシを大観光地にしようという取り組みの一環なのか、年々、人気も規模も拡大しています。

ガンガー・アールティは非常にバラナシらしい儀式であり、インスタ映えするフォトジェニックなものですから、観光の目玉として人気がでるのもわかります。今ではメインのダシャシュワメードガートだけでなく、他のガートでも行われているそうです。







■空港がきれいになり、インド各地からの便が増えた

以前は飛行機があまり飛んでいなかったバラナシ空港に、バンガロールやトリバンドラムと言った、南インドの各地域から直行便が飛ぶようになりました。南インドからだけでなく、インド全域から、バラナシへの直行便ができました。



古色蒼然だった空港も、新築されてピカピカになりました。


空港からの道も、以前は頼りない舗装の2車線の道路だったのですが、新しいバイパス道路ができました。
■インド各地から直行便ができた結果

直行便できた結果、どうなったかと言うと…インド国内からのバラナシへ来るツーリストが異常に増えたのです。

ゴードリヤー交差点、ダシャシュワメードガート周辺を始め、バラナシの市街はどこもかしこも人とオートリクシャ、自転車でぎゅうぎゅうです。

このムービーはラッシュ時ではないので、まだ隙間がありますが、ラッシュ時には動くことすらできないほど。そのような大混雑状態がバラナシ全域で展開されます。



バラナシは「この地で亡くなり、火葬されてガンジス川に流されると、輪廻の輪から解脱することができる」と言われているヒンドゥー教の聖地中の聖地です。

全インドから簡単に来れるようになった結果…自分の死期を悟った人たちがバラナシにどんどん集まってくる。と言う状況が出現しています。

特に南インドから「バラナシで死のう」と思ってやってくる人が増えているとの事。死期を悟った彼らは、全財産を家族に残し、一人バラナシにやってくると言います。今、上映している「ガンジスに還る」がまさにそんな映画です。



実際に死期を悟った人たちは、バラナシ市内に家を借りたり、映画に出てくる「解脱の家」のような所でバラナシに滞在するのだそうです。

■観光客が増えすぎたので区画整理中

あまりにも観光客が増えすぎ、バラナシ全域が混雑しすぎたので、カーシー・ヴィシュワナート・テンプル周辺で区画整理が行われています。



これは、バラナシを京都みたいな観光地にしようと言う取組の一環らしく、古い町並みを取り壊して、居心地のいい観光地にしようとするものらしいです。安倍首相がバラナシを訪問したときに、モディ首相がそう言ったのだとか。

この、「古い町並みを取り壊して、居心地のいい観光地にしよう」と言うフレーズ、日本でも開発の言い訳としてよく使われますが、その結果、ハリボテみたいな魅力のない観光地もどきが出現するんですよね。

バラナシもそうならなきゃいいんですが。


■しかし…観光化の別の側面も

と思ったら、残念ながら既にその兆候が出始めていました。

まずはこの写真を見てください。バラナシに上海の観光船が出現しているかのような一枚です。

自分の目で見たときに写真を撮っておけばよかったのですが、あまりのショックに呆然としたまま、写真を取れないままだったのです。


source:indiatoday

もう一枚、別の写真。

source:indianexpress

ガンガー・アールティの時、この船が沖に停泊していたのですが、バラナシに漂う神聖な雰囲気や、旅人が求めている悠久のインドの雰囲気が、この船一艘の出現で完全に破壊されてしまっていました。

自分はバラナシに居るはずなんですが、感じている雰囲気はディズニーランドのアトラクション。

聞くところによると、これは中央政府が「バラナシを京都みたいな国際観光都市にしたい」ということで、民間に始めさせたものらしいのだけど、完全に逆効果なんですよね。

「バラナシを京都みたいな国際観光都市にしたい」というのは、今までみんなをバラナシに惹きつけていた1000年前からの伝統、ここにしかない景観と雰囲気を破壊し、近代化されたホテルを後ろに持つ、どこにでもあるようなテーマパークとしてのバラナシにさせようということなのでしょうか。

そうではないと良いなと思うのですが、様々なところにその兆候が出現し始めています。この船だけではなく、ガンジス川沿いにネオンサインが出現したのもショックでしたよ…

僕らが好きだった、猥雑で、神聖で、汚くて、ちょっと危険だったバラナシは、きっとそのうちになくなり、キレイで毒のない、先進国の一般旅行者が好きそうな国際的観光地が出現するのだと思います。

正直寂しい。寂しすぎる。
バラナシを愛し、この雑貨販売の道に入ったものとしてあまりにも寂しすぎる。

でも、それも時代の流れなのかと。
変わりゆくインド。変わりゆくバラナシ。

いつまでも変わらないのは、自分の中の記憶だけなのかもしれません。



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4 Comments + Add Comment

  • 僕も久しぶりに8月にベナーレスに行ってきました。
    8月は雨期で涼しいので巡礼の季節らしく、ダシャシュワメード・ガートへ通じる道には
    カーキ色の巡礼者が溢れ、危険防止の為に丸太ん棒で柵が作られてありました。
    歩いているとフレンドリーなインド人に日本語で話しかけられて、チャイをよばれたり、
    確かに以前は何が出てくるか、何が起こるかわからないといった感じがしましたが、
    少し安全になったようで、ベンガリー・トラには日本食のでるレストランもあって過ごしやすくなっていました。聖者カビールのカビール・マト(僧院)に行ったら、以前はなかったのに、
    カビールの挿話を表現した彫像がいくつもたっていて僧院も豊かになった感じがしました。
    例のモンキーテンプルは赤く塗られていて興ざめでした。
    今は安くペンキが手に入るためか、あっちもこっちも新しく塗られています。
    マイソール近郊のシュリーランガパトナムのティプゥースルタンの墓廟や彼が建てたモスクもです。

  • 懐かしいバラナシ ガンガー
    大好きでした。
    何度見ても、魂が解けて心地よく流れ行くように
    感じた、ガンジス河でのアールティープージャー(?^^;)

    …しかし…
    あのクルーズ船は
    ちょっとショック過ぎますね^^;^^;^^;
    台無し過ぎる…

    当面、なかなか戻れそうにないけど
    また還りたいです。
    私にとって魂の故郷、バラナシ・ガンガー。

    映画、見なきゃ♪

  • 90年代幾度となくバラナシを訪れインドの闇の深さに戦慄を覚えた記憶が蘇えりました。
    確かにあのほの暗い路地やガートにノスタルジアを感じますが失われた命や壊れてしまった心を思えば
    明るく健全になることはやはり良いことだと思います。京都のようになってしまった?かの地へまた訪れてみたいものです。

  • うわぁ……。私が知ってるのは80年代?90年代初めのバラナシですが、きっと今行ったらびっくりするでしょうね。

    定宿にしてたのは駅前の宿でしたが、そういえば駅構内のツーリストインフォメーションの人は親切だったなぁ。反対に警察は最低でしたが!

    また行きたいなあ……変わり過ぎる前に行きたいな。

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