インド雑貨屋さん直伝!! インドビジネスに必要なインド人との上手な付き合い方


■インド人は日本人よりも信頼できる部分がある
長いことインドに行っていますが、やっぱりインドは文化の違う国です。
押しは強いし、ワガママだし、マサラ臭いし…
インドに進出した日本の企業さん、文化の違いに手こずって、みんな苦労されているみたいです。

ティラキタではインドと16年に渡り取引をしていますが、難しいと言われるインド相手に、長い期間に渡り、良好な関係を築いてきました。一番初めに出会ったバラナシのお店とはまだ関係が続いていますし、主要な取引先と喧嘩別れしたことは一回もありません。

正直な話、インド人は日本人よりも信頼できる部分があると感じています。
インド人は日本人よりも仁義を大切にする部分があると感じています。

僕たちが、うまく行っている理由を考えると…そこにはやはり理由がありました。今回は、インド人との人間関係を円滑に行え、そしてインドとのビジネスが、うまくできるようになるコツについて書いてみたいと思います。


■一番重要なこと…人を大切にする
とにかくインドで一番重要なのは…「インドでは人を大切にする」という事でしょうか。適切な人脈を探し出し、一回発見したらそこから動かない様にするのが、いちばん大切なことだと思います。

「適切な人を探し出す」
とにかく、インドではそれに尽きます。

インドには10億を超える人が居ます。北から南まで、本当にいろいろな人達がいる多民族国家です。ターバンをかぶっているのがインド人だというのがステレオタイプの認識ですが、実は、インドには私達日本人とほぼ同じ顔のインド人も居るんですよ。メガラヤ州等の東北部に住んでいます。

宗教もヒンドゥー教、ジャイナ教、イスラム教、シーク教、キリスト教、仏教、拝火教といろいろな人々が、別々の宗教を信じています。とにかく、やたらめったら人口が多く、色々な人達がいるのがインドです。

インドは「人間の森」だと形容されますが、人間の森のような10億の中から、僕らが一緒に、信頼して働ける人を探し出すなんて、どう考えても不可能ですよね。

数が多いということだけでなく、インド人と日本人は、お互いの感覚が全く違います。
インド人とは、10億の人口の、違う文化が混ざる中で生きていかなければいけない運命を背負った人々です。


彼らが成功したければ、10億の中で成功しなければいけません。
10億の中で、自分と言う個性を出していかなければ、彼らは生きていけません。
だからインドには個性的な人がとても多いですし、自己主張の強い人がとても多いのです。

実際、インドは物凄い競争社会です。日本なんか比べ物になりません。10億の人口、複雑な民族構成、多数の宗教、大陸という侵略されやすい国土、苛烈な気候から育ったのが、インド人の個性です。

そこからすると、日本人は主張しませんよね。出る杭は打たれるっていうことわざがある位で、自己主張したらこの国では嫌われます。 僕らはお互いの考えをうまく取りまとめて、うまくやるタイプの国民性です。

1億の人口、ほぼ単一と言っていい民族構成、島国という侵略されづらい国土、温暖な気候から、日本人の精神はそのように育まれてきました。

この様に日本人とインド人は全く違うので、同じように考えていたら物事はうまく行きません。

例えば、インド人に何かをお願いしようとする時、全員が全員、「俺はできる」と言うんです。彼らは日本人みたいにシャイではありません。そこに仕事があったら頑張って取りに行く。それくらいのガッツは普通です。インドで「草食系」なんて言っていたら、絶対に成功なんて出来ません。


まず「出来る」って言って、それからどうするかを考えるのがインド人。
全部準備して、出来るようになってから「出来る」っていうのが日本人です。

その違いから、本当にきちんと出来る、適切な人を発見するのがインドでは非常に難しいのです。

そこでどうするかというと…「人に紹介して貰う」のがベストです。

例えば自分が他の人を紹介する時の事を考えてみてください。友人から「裁縫が出来る人を紹介してよ」って言われた時、あなたの頭のなかの友達リストから一番適切な人を選んで紹介しますよね? 友達リストが100人だったら、100人の中から選ばれた裁縫が出来る人は、その人はまず間違いなく裁縫の出来る人だと思うんです。

インドは人脈社会なので、その方法が非常によく効きます。むしろ、インドで何かを行いたいと思ったら、その方法しかありません。

僕達も、インドで何か新しいことをしたい時は必ず、「ねえ、こんな事がしたいんだけど誰か知らない?」と聞きます。何人にも聞いて、できるだけ適切な人を探し出そうとします。

その適切な、信頼できる人から、また別の人を紹介してもらって、糸をたぐるようにして、人脈を広げていきます。適切な人は色々なものを持っています。政府関係者へのコネクションや、今までの経験や、インドでの動き方や、本当に様々ですが。

そして「適切な人」であるかどうかを判断するには…これは…自分の眼力を信じるしかないと思います。
インドでは「偉い人は偉そうな格好をしている」ので、日本よりはわかりやすい気がしますよ。

眼力がなかったら…仕方ないんで…相手の肩書や所属している会社の大きさを見るようにするしかないでしょうか。力のない、チンケな奴と付き合っても、時間を取られるばっかりなので、できるだけしっかりした人と付き合うようにしましょう。


■次に重要なこと…家族的な付き合いをする
次に重要なことは一度発見した人脈を切らさないようにケアすることでしょうか。日本で仕事をしていても、毎日チャットをしていても、必ず年に一度は手土産を持って出かけていって、ちゃんと顔を合わせて食事するようにします。

その時にちゃんと手土産持っていったり、ちゃんとコミュニケーション取るようにしたりと言う、いわば、人間関係の基本的な所をしっかりするのが大切かなって思っています。

インド人は親しくなると、必ずと言っていいほど自宅での食事に誘ってくれますが、いくらマサラが嫌いでも、もう食べたくないと思っても、必ず行って、一緒にご飯を食べ、その時にいろいろな話をして、信頼を深めていくのが重要です。


飲みニケーションと言う単語はインドにはありません。
その代わりとして、家での食事会があるのです。

どんなにカレーが好きだった人でも、インドに居れば、そのうちカレーが嫌いになるもの。カレーなんて見たくないっていう日がそのうちやってきます。でも、自宅に招かれた際は必ずカレーなんですよね…………

ティラキタでは、インドに行く際、自宅に招かれた時用にいっぱいお土産を持って行きます。
行きのスーツケースの中は、いつもお土産でパンパンです。

そして毎日カレーです。
嫌でもカレーです。

最初は美味しいんですが…流石に途中で飽きてきますよ。
でも、それが重要なんです。


■異性関係の乱れは信頼をなくす第一原因
インドと日本で大きく違うのは婚姻制度です。日本とインドの婚姻制度については、そのうちしっかりと書こうと思っているのですが、インドは基本的にお見合い結婚で、日本は自由恋愛での結婚です。インドでも近年、自由恋愛の結婚が増えてきてはいますが、やはり、いまだにお見合い結婚が主流です。

お見合い結婚の場合、親たちはそのカップルが長続きするかどうか、色々な角度から検討を重ねます。所属しているカースト、自分たちの経済状態、最終学歴、出身地、宗教、生まれの日による占星術、そして性格。親たちは自分の子供にぴったりな相手を探そうと、時には新聞広告まで出して、結婚相手を探します。


単純な話…「同じような家の、同じような収入の、同じような相手と結婚させる」と言う感じなんですよね。

日本では惚れた腫れたで結婚しますよね。惚れている間は相手のことが、非常によく見えますので、結婚した後に現実が見えてくると、「こうじゃなかった」が出現して離婚に至ります。日本では3組に1組のカップルが離婚しているそうですが、そりゃ、完全自由恋愛じゃそうなるよなって思います。

インドのお見合い結婚は親同士が、ちゃんとそのカップルがマッチするかどうかをよく考えてから結婚させるので、非常に離婚率が低いのが特徴です。もちろん「こんな人好きになれない」って言う事もありますが、多くの場合、一緒に住んで、体を重ねてしまえば、好きになってしまうもの。インド人の夫婦はみんな、とっても仲がよく、離婚率は3%位なんだそうです。

「インド人にとって離婚は考えられないこと」

なので、離婚しているとか、いい年なのに結婚していないとか、パートナーがコロコロ変わるとか、そういう人は全く信用されません。 インド人たちも表向きは「文化が違うから」と許容はしてくれますが、心の底ではやはり、ちゃんと結婚して、離婚せず、長続きさせている人を信頼します。


■多少の細かい不正には目をつぶる必要も
インドには賄賂の文化があります。賄賂を文化と言っていいのかどうか分かりませんし、イケナイ事ではありますが、インドでは避けられないことです。何かをインドで行おうと思う時、賄賂を払わないと物事が進まないことがあります。

また、取引相手を紹介してもらった時、実は裏でバックマージンの話をしているって言う事もしばしばあります。「この会社を紹介してやったから、俺に何%くれよ」とか。そういう話は普通にあります。

日本でだったら全て裏切りであり、不正行為ですが、インドではこれはどちらかと言うとままあること。

日本人的な清廉潔白では、インド人との付き合いは、あまりうまく行きません。バックマージン取られてても、見てみないふりをする様な、清濁併せ呑む位でないと、なかなか難しいんですよね。まぁ、もちろん気持ちのいいものではありませんが…

もちろん、不正しない人もいっぱいいますので、できたらそういう人と付き合いましょう。

え? ティラキタの取引先ですか?
もちろん、不正をしない人たちばかりですよ!
当然です!

日本では離婚はOKで、浮気は文化だそうですが、インドではダメです。
インドでは賄賂もバックマージンも文化ですが、日本ではダメですよね。

インドと日本では、このように、お互いの価値基準がまるっきり違います。
日本と同じ価値基準をインド人に求めても、全くうまくいきません。

郷に入れば、郷に従うと言う気持ちを持って、真剣に、人を大切にしていくのがインドにおける成功の秘訣であると思います。

インド人と僕ら、お互い違いますが、付き合ってみれば、なかなかいい人たちですよ。

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