一生に一度はしたいけど、もう二度としたくない旅 – 前編
インドパパ、今回はインドのマナリからレーまで陸路で行ってきました。
Google先生は「マナリからレーまで13時間51分だけだよ!」と言うのですが、完全な嘘つきです。ヒマラヤの中の道なのでそんなはずはありません。標高5000mにもなる山を上り、谷を下り、未舗装路を走るアドベンチャーとも呼べる道です。
最初は1泊2日のはずが様々なトラブルが押し寄せて結局2泊3日間、高山病と戦う過酷な旅になった一生に一度は行きたいけど、決して二度とは行きたくない旅を写真いっぱいでお伝えします!!
■レー行きのバスチケットをマナリで買う
マナリからレーまでは475Kmの道のりです。475Kmというと、日本であれば5時間もあれば到着してしまう距離ですが、ヒマラヤの山の中、世界でも有数の悪路を行くので、遥かに長い時間がかかります。急いで行っても朝の5時に出て夜の10時に到着する17時間コース、余裕を持って途中で1泊すれば24時間以上かかります。マナリからレーへのバスはマナリ市内の各旅行代理店で取り扱っています。マナリはインド有数の観光地だけあって美しい場所。写真のこの目抜き通りには旅行代理店が何軒も並んでいるので、何軒か入って値段を比較してみるといいと思います。
私営バスの代金はシーズンによりますが2000Rs(4000円)から3000Rs(6000円)程度。朝5時に出て夜の10時に到着するミニバスと、朝8時に出て1泊し次の日の9時に到着するミニバスの2種類があります。
マナリからレーへの道は大変な悪路で狭い道が続くので、トラベラーと呼ばれる14人乗りのミニバスが使われることが一般的。他にも様々なプランがあり、行く途中でラダックの美しい湖に寄ったり、荒野の中でキャンプしたりする色々なプランが売られています。
ちなみにこれがトラベラー。日本のハイエースをさらに大きくしたような車です
公営のバスも一日に数本運行されています。公営のバスの代金は800Rs(1600円)程度。公営のバスを利用すればヒマラヤの素顔にダイレクトに触れることが出来ますが、あまりにきついルートですのであまりオススメできません。
■まずはロタン峠へ
レー行きのバスはトラベラーと呼ばれる14人乗りのミニバスでした。1泊2日のバス旅の同行者は5人のイスラエル人、3人のインド人、2人のドイツ人、米国人、ネパール人のドライバー、そして僕という構成で、バスの中の会話は全部英語。全員気の良さそうな奴ばかり。みんなを載せたミニバスはマナリから一番近くのロタン峠へ向かいます。バスはグングンと標高を上げていき、景色はどんどん大きくなっていきます。
ダイナミックで素晴らしい景色ですが、残念なことにモンスーンの雲が空を覆っていました。晴れていたらさぞかし素晴らしいでしょう。
標高2000mのマナリから標高4000m位のロタン峠まで一気に上がりますので、道は日光のいろは坂をはるかに上回るぐねぐね道。その中をインド人らしいシャープな運転で飛ばしていきます。これは誰か酔うだろうな…と思っていたら、出発してから30分も経たないうちにイスラエル人の女性がゲロを吐き始めていました。この女性、この後ずっと車酔いに苦しめられていました。本当にかわいそうでした。20時間以上の間、延々とワインディングロードが続きますので、車に弱い方はこのルートは全くオススメできません。
道路工事用の車両が行き交います。
ロタン峠の近くではダイナマイトを持った作業員が道を爆破して拡張中。ダイナマイトを仕掛けるための穴を掘っている所だそうです。
ダイナマイトは箱の中に無造作にごっそり入っていました。あまりにも無造作に入っているのでビックリ! 日本だったら超危険物扱いのような気がするのですが…
道はいつの間にか未舗装になり、トラックがゆっくりと降りていきます。トラックの中にタンクローリーが目につくのはきっと、石油が一番重要な物資だからなのでしょう。
道はヒマラヤの急傾斜地に作られているので、いくら道路を作ってもあっという間に壊れてしまいます。いつも修理しているように見え、言わば賽の河原で石を積んでいるようなものです。
大きな山に包まれるようにして小さな集落が点在しています。
こんな所でどうやって暮らしているのでしょう…
完全にロード・オブ・ザ・リングの世界です
マナリからレーへの道の途中には、何箇所もチェックポイントがあり、私達外国人はパスポートの提出を求められます。いろいろな事務処理はぜんぶミニバスのドライバーがやってくれるので僕らは何もしなくても良かったので、そのチェックポイントがある集落をウロウロしてみます。家が数軒あるだけの鄙びた集落で、まさに辺境に来た感じがします。
家の中には小さな食堂があり、チベット版の餃子であるモモや、チャイを出していました
これがモモ。蒸し餃子にそっくり。
■一泊目はキャンプ
標高4000mのロタン峠を抜けて程なくしたら、キャンプ地に到着しました。キャンプ地は大きな山に囲まれた小さな集落でJispaと言う所でした。朝の8時に出発して到着が夕方の5時。長い道のりを走ってきたと思ったのですが、まだマナリからレーまでの距離の3分の1しか走ってないとの事にビックリ。Jispaは10軒位の家がある小さな集落ですが、こんな小さな集落にもチベット仏教の僧院がありました。大きな寺院ですが、寺院を守っている人は女性一人だけ…。山の中の見捨てられたチベット僧院という表現がぴったり来る感じです。
■2日目は果てしなく美しい景色の連続
2日目、朝8時位に出発です。ミニバスは標高をどんどん上げていきます。前の晩にJispaで泊まったのには理由があります。Jispaは標高が2300m低く、高山病の危険性が少ないからなのですね。Jispaを過ぎると標高が一気に高くなってきますバスとすれ違いました。ゴツゴツとした岩の中に道路が作られていました
道が川になっていました。バシャバシャと入って抜けていきます。もちろん道の横は断崖絶壁です
ヒマラヤの奥に入っていくにつれ、モンスーンの雲は薄くなり、徐々に晴れ間が出てきます。
岩と山だけの荒涼とした景色の中に、私達が走っている道路一本だけが続いています。
美しい景色が次から次へと現れます
この道路はプロジェクト・ディーパックと呼ばれ、この地点はデリーから782Km。
あ! タンクローリーが横転しています!
あーあー。燃えなくってよかったね、としか言いようがありません。道が悪いので僕らもいつ転落するか…できるだけ考えないようにします。落ちたら死ぬだけ! その時はその時です。
大きな山肌にトラックが並んでいます。自然の壮大さ、人間の小ささを感じます
バイクで旅している人も数多くいました。ラダックはインド人ライダーにも、外人ライダーにも人気なのだそうです。
標高5065mのLACHUNGLA峠を超えます。富士山の山頂は遥か下です。車でこんな標高に来れることが驚きです。
景色はあくまでも大きく、美しく、厳しく…
前方に超怖い道路が見えてきました。
山肌を丸くくり抜いてやっとこ車一台だけが通れるようにした道路です
落ちたら間違いなく即死ですね。
ヒヤヒヤしながら怖い所を抜けました。バイクの人たちが目立ちます
お昼を食べに寄った集落。この丸いテントは軍需物資のパラシュートで作っているのだそう。
どことなくモンゴル的な風景ですね
家の中ではチベット系のおばあさんが店番をしていました
この瞬間までは「いやーー、素晴らしい!! 本当に来て良かった!」と思っていたのですが…このあたりからトラブルがこれでもかと押し寄せてきます。
話が長くなったので前編、後編に分けました!
一生に一度はしたいけど、もう二度としたくない旅 - 後編もお楽しみください
懐かしい光景を見させていただきありがとう。
めちゃ羨ましいです!!
景色が見たことないような世界ですね。