ベトナムの水牛の角で食器を作る工房を訪ねました!

2015年5月28日     No Comments    Posted under: 買い付けに行ってきました

■ベトナムの不思議な食器


アジア雑貨を扱い始めた頃から、不思議に思っていた食器たちがありました。ベトナムからやってくる水牛の角を使った食器たちです。

水牛の角って、表面はゴツゴツして、形は尖っています。色は透明ではありません。でも、その食器たちは見た目は上質なプラスチックかべっ甲のようにも見え、ものによっては透明さがあり、つるりと光っています。素材と出来上がったモノの印象が全く違うのです。素材はイマイチなのに、出来上がったものはとっても素敵なのです。

ボク達は「あれは売るためにそう言っているだけで、本当はプラスチックなんだよ」と疑っていて、今まで取り扱ってこなかったのですね。インドやアジアに行かれた人はご存知だと思いますが、彼らはありとあらゆる手段でモノを買わせようとします。買ってくれるのであれば嘘をついてもOK。それは商売のうち。そう言うふうに考えている人も数多くいます。


・ヤクの毛のショールを買ったのにヤクの毛は含まれていなかった
・シルクの絨毯を買ったのに、実際は化繊だった
・色落ちしないって言われたのに、激しく色落ちする
・コットンだと書いてあったのに、実は化繊だった
・宝石だと言われて買ったのに、プラスチックだった


このような話は、アジアでおみやげを買った人たちからしばしば聞く話です。実際の話、インドやアジアでの買い物は人の言う事を信用してはいけません。自分たちの知識と目を総動員しないと、長年の経験を持つボク達でも騙されてしまいそうになります。インドやアジアでは騙す人が悪いのではなく、騙される人が悪いと考えられています。僕たちはお客様にちゃんとした商品を届ける責任があるので、自分達の目でその証拠を見るまでは絶対に信用しない事にしています。

そんな基準で考えると、このベトナムの水牛の角で作った食器たちは「素敵だけど、明らかに怪しい…」と思える商品でした。

■本当に水牛の角で作ってた!!

「水牛の角の食器、本当に水牛の角で作られてるのかな…?」と言う疑問を解消するため、ベトナムを訪問した時に実際に製造工房を訪ねてみました。

行ってみると…そこでは確かに水牛の角が食器に加工されていました!! 無骨な水牛の角が、つるんとした素敵な食器に生まれ変わる驚きの工程をレポートします!!

水牛の角の工房は、ベトナムの首都ハノイの郊外にありました。ハノイの郊外の風景は、なんだか懐かしい感じです。ベトナム日傘を被った女性が自転車に乗って通り過ぎる風景は郷愁を誘います。

水牛のカトラリーは何世紀も前から作られてきたベトナムの特産品です。水牛の角は人々が水牛を食べた後に出てくる副産物とも言えるものです。鹿の角の様に毎年取れるわけではないので、ちょっとかわいそうですが、角まで有効利用されるからまずはOK、と言うところですね。

工房の横にたくさんの水牛の角が白い袋に入れられて積んでありました。あまりにも無造作に積んでありますが、これが原材料なのですね。こんな埃っぽい素材がどのように変わるのでしょうか…

これが素材になる水牛の角です。先ほどの白い袋に入っていた黒い角は黒水牛、こちらの白い角は白水牛の角です。

水牛の角はまず、バンドソーで半分にパカっと割られます。写真の女性は長年同じ仕事をしているらしく、簡単そうにパカっと割っていきますが、綺麗に2分割するのはそれなりの熟練が必要なのだそうです。

バンドソーで2つに割られた後の水牛の角です。水牛の角の中には写真のようにゴミみたいなものが入っていますので、軽く研磨してゴミを落とします

半分に割った水牛の角を食用油に漬け、温度を加えると柔らかくなり、写真のように平たくすることができます。平たくするにはプレスマシンを使って、圧力を加えるのだそうです。

平たくした水牛の角から、食器の形を切り出します。一個の水牛の角からしゃもじの型は6個くらいしか取れません。小さなフォークやスプーンだったらもっと数が取れますが、それでもひとつの角から取れるのは20個位でしょう。プラスチックの食器であれば簡単にポンポンと量産が可能ですが、この水牛の角は素材の形を見て切り出していくので、簡単に数多く作ることはできません。

平たい水牛の角から切り出したしゃもじ型。単純に切り出しただけですので、まだまだイマイチな外観です。このしゃもじ型が綺麗なカトラリーになるなんてまだ信じられません。

切り出した型に再度油を吸わせ、熱を加えて柔らかくするとともに、このような木製の型に入れて立体的な形を作ります。この型、長年使われているらしく、使用感たっぷりです。

型に入れて立体的に整形し、軽く荒研磨をした後のスプーンです。だんだんと形になってきました!!

荒研磨をした後のスプーンをアップにして撮影してみました。表面には粉がついていますが、立派なスプーンの形をしています。

より研磨することによって、ピカピカにして製品に仕上げます。見て判る通り研磨の工程が大変大切で、先ずはラフポリッシュし、その後、水に漬けてから、より細かいヤスリで磨き、徐々に目の細かいヤスリにしていき、最後には布で磨きます。合計3回磨きます。時間のかかる作業です。最初の水牛の角から順番に見ていくと、まるで魔法を見ているかのよう!!

ベトナムでは昔からこの製法で食器を作ってきたそうです。他の国の人達はこの作り方を知らないんだよ、とも言っていました。ベトナム人って米国に勝っただけでなく、手工芸の分野でも素晴らしい人々なのですね。

黒水牛の角からはこのような靴べらが作れるとのこと。一枚の角の板から、一つの靴べらしか作れないなんて! 貴重なものなのだなぁ…としみじみ感じます。

と、言うことで水牛の角の食器たちは本物だってわかったので、ティラキタで取り扱いを開始しました!! 製造元に近いルートから仕入れることができましたので、他のお店に比べると比較的リーズナブルなお値段にできました。

なお、こちらの水牛の角の食器たちですが、製造元によると、

「熱に弱いから熱いものは避けてね!」
「熱湯の中とかはダメだよ!」
「色合いや模様は一個一個全部違うよ!」

との事でした。熱湯で柔らかくなるってことは、きっと僕達の爪のような特性の素材なのでしょうね。


■気に入ったらシェアしよう!

もし宜しければコメントをどうぞ

XHTML: このコメントは以下のタグが使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

インド雑貨・アジアン雑貨・民族楽器- ティラキタのブログです。僕たちが大好きな面白インド&アジアを楽しく紹介しています