インドの国民車アンバサダーの危機!!

1994年に訪印したとき、走っている車と言えばアンバサダーと言う丸っこい、英国から技術を輸入して作った国民車ばかりでした。アンバサダーは設計が古く、身長の高いボクが乗ると頭が天井に当たってしまい、乗り心地が悪かったのですが、身長が低めのインド人たちはそれでOKらしく、快適に乗っているようでした。



アンバサダーの正式名称はヒンドゥスタン・アンバサダーといい、英国のモーリス・モータス社製のモーリス・オックスフォード?をベースにして、1958年から製造されてきました。長らくインド国内でタクシーや公用車として使われてきましたが、ここ最近デリーの街中でアンバサダーを探そうとすると、ほとんど死滅状態になっています。ムンバイではまだタクシーとして生き残っていますが、それも徐々に新しい軽自動車に変わり始めています。

友人のインド人にその理由を聞いたら

「アンバサダーの会社は倒産したんだよ」と、ショッキングな言葉。
「え? どうして?」
「古いからねぇ。今、誰も欲しがらないし。買い支えてきた政府も高いと思ったんだろうね」

との返事でした。

よく調べてみると、アンバサダーの製造会社ヒンドゥスタン・モーターズは550万ドルの巨額の負債を抱えつつも、まだ営業していて、倒産したのではない模様ですが、2011年の4月にBS ?と呼ばれる新環境規制が施行されたのを受け、インド全域で販売停止になったのだとか。古くから続くインドの伝統も、環境を求める時代の流れには勝てなかったということなのでしょう。

そういう事ですので、インドの国民車アンバサダーが消えるのは時間の問題になってきました。

このアンバサダー、ボンネットの中を開けると、大きなスペースの中にちょこんと小さなエンジンが置かれ、余計なものは一切入っていません。電子部品もないし、シンプルだし、なんとも整備のしやすそうな自動車です。



シンプルなだけにきっと頑丈で簡単だったのでしょう。「え? これで走るの?」と思うような状態のアンバサダーはそこらじゅうにありましたし、街中で修理したり、町工場のおっさんが車の下にもぐりこんでいるような風景は良く見かけたものでした。

最近の自動車と言えば、ハイブリッドはもちろんのこと、普通の自動車でも精密に組み上げられ、電子機器の塊みたいになっています。もちろんそうしないと環境規制に合致しないからなのでしょうが、その辺のおっさんがちょっと整備して…なんて気軽なものではなくなってしまいました。

今、インドの街中で走るのは日本とインドの合弁のマルチ・スズキの車が多く、日本人として誇らしいものがありますが…インドを象徴するようだったアンバサダーが居なくなるのは、なんだか寂しいものですね。

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7 Comments + Add Comment

  • インド旅行で乗った車です、昔のクラウンを思い出します、淋しいですね。

  •  半年ほど前に、中古のアンバサダーを買いました。95年式ですが、エンジンはいすゞアスカと同じ4ZB1のインジェクションですから、排気ガスの基準もクリアしています。インド的なバタバタしたエンジン音ではないので多少残念ですが。 今でも日本の代理店で新車が買えますよ。 ネットで中古車を見かけることもあります。

  •  少し前に、中古のアンバサダーを買いました。95年式ですが、エンジンはいすゞアスカと同じ4ZB1のインジェクションですから、排気ガスの基準もクリアしています。インド的なバタバタしたエンジン音ではないので多少残念ですが。
     今でも日本の代理店で新車が買えますよ。 ネットで中古車を見かけることもあります。

  • おお、中古のアンバサダー!! 良いですね。私も欲しいです!!
    エンジンが変わっているので、日本で走れるのですね。それは素晴らしいと思います。

    まだ新車売っていますか? インドでは「もう作ってないよ」って誰に聞いても言われるのですが…
    メーカーが変わっただけなんでしょうか?

  • 古い話ですが、1993年にニューデリー赴任となり、マイカー(マルチ1,000ccセダン)が納車されるまでの間、レンタカーを調達することとなり、イチかバチか..(笑)と考え、アンバサダーをオーダーしました。 約2か月乗り、平日は運転手に任せましたが、週末は時々自分で運転していました。 それまでムンバイ(※当時はボンベイ)などで後部座席に乗車したことはあっても、自分で運転したことは一度もなく、「どうせガチガチに重いんだろう..」と勝手に予想していたのですが、意外にもハンドリングは軽くて(もちろん日本車ほどではないにせよ..)、ドライビングで負担を感じたことは殆どありませんでした。 その時の印象は「アンバサダーも、時代の流れに影響されて、少しずつではあるが、改良を重ねているんだろうなぁ..」というもので、印象は良くなりました。 とはいえ、実際にマイカーとするにはさすがに踏み込めないところがあったのですが、この記事を読んでいささかショックを受けました。 これまで「停滞するインド社会主義の象徴」扱いされ、クソミソに扱われてきたのも一面の事実ですが、歴代政府要人の公用車であるなど、ある意味「インドの顔」的存在であったのも厳然たる事実です。 環境規制に適合出来ないのでは生産停止もやむを得ないとは思うのですが、「経済改革」前のインドの一端を知る者の一人としては、正直なところ、寂しい思いがします..。 いつかまたハンドルを握ってみたくなりました。 そのうち実現させたいですネ。

  • インドに住んでいた2009に新車で買ったアンバサダーを売りたいです。輸送費用を合わせると250万円かかりましたので100万くらいで欲しい人いないかな。

  • ymdさん。書き込み、有難うございます。
    ティラキタの梅原です。
    その車は今、日本にあるのですか? 

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