ゴアって???

2006年5月1日 インドが大好き!!
いっきに暑くなってきて、野外音楽パーティー・レイヴのシーズンがやってきました! ティラキタ店長・インドパパ夫妻も先週末に今年最初のパーティーに行ってきました。フジロックとかいろいろありますけど、インドパパ夫妻が大好きなのはトランスの流れるレイヴ。最近じゃプログレトランスとかサイバートランスとかいろいろありますけど、ティラキタ=インドに縁の深いものといえばサイケデリックトランスこと『ゴアトランス』。
最近じゃ「サイケは分かるけどゴアってなんの意味だかわかんない……」って人が増えているらしく、ゴア好きのわたくしうめ2としては非常に悲しい! そこで今回のテーマは「ゴアってなんだろう?」です。

日本が市町村合併でどんどん少なくなってるのに対し、最近のインドは州の分離独立が盛んです。もともと言語や文化・民族単位で分けていたのを、さらに細かくしたいという動きがあるんですね。もし厳密に言語単位で分けたらいったいいくつの州に分かれるのやら、見当もつきません。
そんなインドの州の中でもっとも小さいのが、インド西南部にあるゴア州。この州が他と一風変わっているのは、1961年まで数百年にわたってポルトガルの植民地になっていたこと。他にもダマン・ディーウという街やフランスの植民地になっていたポンディシェリーなどがあるんですが、これらは街単位のためインド中央政府の直轄領となっています。そんな中でゴアは州として独立した自治権を持つ、一風変わった土地としてインドの中で際立った存在です。
まず、多くの人がキリスト教。ヒンドゥー教ではお墓を作らないで火葬してガンガー(ガンジス川)などに流してしまいますが、ゴアの人は十字架の立ってるお墓を作ります。そのへんの畑の中にお墓がたくさんあって、一種独特な感じです。
サリーやパンジャビドレスを着てる女性もいるけど、スカートを履いてる人も普通にうろうろしてたり。牛もそこそこいるけど、バラナシほどはいないですね……そう、キリスト教徒だから牛を食べちゃうんです(笑)。おいしいステーキを食べさせる店も。

これだけヨーロッパ風な文化が根付いた場所に目をつけたのが、70年代のヒッピーたちでした。きれいな砂浜が続く砂浜で、やしの木をバックにアラビア海に沈んでいく夕日は最高。ヒンドゥー色の濃い他の州に比べて文化的に理解しやすく、親しみやすい人々。そのくせ適度にヒンドゥー文化の影響も感じられ、アジアにいることを実感させてくれる。そんな魅力たっぷりのゴアに魅かれていったのでしょう。当時の東南アジアはベトナム戦争などの影響もあり、ゴアのほうが気軽に来れたのかもしれませんね。タイのサムイ島やプーケット島などが注目されだしたのは80年代からと記憶しています。
ヒッピーたちは楽器を持ち込み、日なが一日、ギターや太鼓を奏でては踊り続けました。彼らはそれを「パーティー」と称しました。
もともとイスラムなどでは1時間以上にわたって回転し続け(回転舞踊)神との合一を図るといった「スーフィズム」という神秘主義がありました。また、ヒンドゥー教でも伝統的にガンジャ(大麻・マリファナ)を吸って恍惚としシヴァ神との一体を図る伝統もありました。こうしたトランス状態になる伝統が根付いているインドと、彼らヒッピーとが出会い、誕生したパーティー文化。いまにつながるレイヴ文化の、一つのはじまりでした。

そんなヒッピームーブメントもいつしか終わりを告げ、住み着く者がいたり、故郷に帰ってかたぎに帰る者もいました。静かな80年代が過ぎていき、ついにゴアトランス誕生の90年代を迎えます。
当時はテクノ音楽が流行し、世界各地の物好きたちは自分で曲を作ったりすでにある音楽をミックス・アレンジして、独特な曲を作っていました。そんな彼らが「ヒッピーの最後の楽園」と言われたゴアに集まってきたのも、自然な流れだったのかもしれません。
彼らはカセットテープに録音した曲を交換し合い、レパートリーを広げ、技術を深めていきました。インド特有のシタールやタブラーの音、マントラの響きなどにも出会い、それらをもミックスしていきます。
そして誕生したのが、ゴアトランスでした。イスラム音階などの民族音階を用いたメロディや、宗教・民族的なパーカッションや音声をサンプリングし、有機的でシャーマニックな楽曲を次々に生み出していきました。トランスの特徴といわれる定期的に繰り返す四つ打ちのビート音は、それまでの普通の楽器では不可能な音楽でした。機械的なサンプリングによって初めて生み出された定期的なリズム。これが、トランス状態をより深めるのに有効だったのです。

インドに元々あった宗教的な要素、ヒッピーたちが持ち込み生み出したパーティー文化、そして科学技術の発展によって生まれたトランスミュージック。これらが渾然一体となり生み出されたが、ゴアトランスだったのです。
そしてゴアは、世界に「ゴアトランス発祥の地」としてその名を広めることになります。

『LAST HIPPIE STANDING』というドキュメンタリーDVDがあります。この中に70年代当時のパーティーの様子が収録されているんですが、今と変わらず踊りほうける人々がたくさん映っているんです。当時の楽園ぶりが伺えます。このDVDは「当時から変わらず今でも住んでるヒッピーはいるのか!?」って内容なんですが、有名なDJのゴアギルは、その代表格ですね。彼のインタビューもたっぷり。
そして今のゴアの様子が出てきます。ゴアトランスの聖地としてその名を知られるようになったゴアの今はどうなのか。ヒッピーたちを暖かく(?)迎えたゴアの人たちは、今のパーティーピープルに対してどんな感情を抱いているのか。そういったことがよくわかるDVDです。
まぁ難しいことは脇に置いておくとして(笑)、いまのゴアを知る人にも、かつてのゴアを知る人にも、懐かしさをこみ上げさせてくれる内容に仕上がってますね。自分なんて何度見たかわかりません。

というわけで今年も、レイヴシーズンのスタートです。今年はどこまで、人々をシヴァのいざなう恍惚としたトランスワールドに連れて行ってくれるパーティーに参加できるか? 今から楽しみです。
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