初めてのインド映画


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初めてのインド映画

 最初にインド映画を見たのは僕が生まれて初めてインドに足を踏み入れた、99年のことでした。「インドの映画はすごいぞー」という噂だけは聞いていたんですが、なかなか映画館に足を踏み入れることが無いまま約一ヶ月が過ぎていました。どの映画が面白いんだろう? 何が人気なのか? 言葉が分からなくて大丈夫なのか? そんなことばかり考え、「まぁ次の街でいいや」と先送りにしていたのです。
 そんな途中、バラナシ(ベナレス)に寄りました。バラナシといえばガンガー(ガンジス川)が流れ、死体を薪で焼いて流しちゃう聖地として有名ですが、太古の昔から営々と発展してきた、歴史のある街です。いわゆるパワースポットというやつかもしれません。

 日本人が多く泊まっている宿で惰眠をむさぼっていると「映画見に行くけど、どう?」と声をかけられました。98年に大ヒットした映画が再上映されているが、もうすぐ終わっちゃうとのこと。ちょうど熱くなり始める時期でうだうだしていた僕は正直面倒くさかったのですが、インド中を席巻し知らぬ者はいない、なによりクーラーが効いているという説得にあい、10人ほどで出かけることになりました。

 リキシャに分乗して、川から離れているため普段はあまり用の無い新市街方面へ。外見はただの公民館のような所に着きました。コルカタ(カルカッタ)などで見かけた映画館とはだいぶ違います。昔、日本の地元にあった小さな映画館のような感じですね。すすけてて、古ぼけてて、表の看板に貼ってるポスターも今にも風で飛びそうな感じ。それがまた「旅に来た!」という思いを強めてくれましたが……本当にクーラー効いてるのかなぁ。
 入場料は3段階に分かれており、インド映画初心者が多かったこともあり「最高のクラスで見よう」ということになりました。それでも30〜40ルピー(約90〜120円)ぐらいだったでしょうか。インドを旅してその物価の安さに驚くこと、たびたびでした。

 入った席は2階席。1階を見下ろしてみると、インド人の家族連れで大変にぎやか。平日の真昼間なんですけどね。かたや2階席は……カップルが多く、一番はしゃいでるのは我ら日本人集団でした(笑)。
 まだ始まるまで時間があったのでロビーに行ってみると、売ってましたポップコーン! 早速買って、映画のスタートを待ちます。
 唐突に暗くなり、まずは予告編やCMが流れます。このへんは日本と変わりません。

 そうこうするうちに本編がスタートです。今回のタイトルは『Kuch Kuch Hota Hai』。主演はシャールク・カーン、ヒロインはカージョルラーニー・ムケルジー
 まず暗い部屋でろうそくに照らされたシャールクが出てくるんですが……映写機が調子悪いのかスクリーンがゆがんでるのか、まるで真っ暗闇に浮かび上がる幽霊のようです。
 とはいえそこから後はノリもよく、面白いポイントでは階下のインド人が豪快に笑い飛ばしてくれるので、僕らも一緒にタイミング合わせて笑ったりしました。逆に僕らが笑ってるのにインド人は反応無しということも何度か。笑いのツボが微妙に違うのかもしれませんね。

「インド映画はストーリーが分かりやすいから言葉が分からなくても平気だよ!」と聞いてはいたものの、『Kuch Kuch Hota Hai』は過去と現在、亡くなった妻の子供や再婚の話などが絡み合ってくるので、少々難しかったような印象があります。回想シーン程度ならともかく、話半分近くが過去ですからねー。見分けるポイントはカージョルが過去のおかっぱ頭か今の優雅なサリー姿か(笑)。それに気づいたのも後半になってからでした……。
 でも曲はリズムがよく、うわさのダンスシーンも盛りだくさん。大変楽しめました。

 ちょっとびっくりしたのは、途中で休憩が入ること。まるで演劇を見に行ってるような感じですよね。日本だと3時間越えても休憩無かったりすることを考えると、インドのように適宜休憩入れてくれるほうがありがたい気もします。

 そうこうするうちに終了。街に帰ったら早速サントラを購入したのは言うまでもありません。今ではインチキながらもそらで歌えるようになりました。インドで列車に乗ってるとインド人と話しになることが多いんですが、「なにか日本の歌でも唄ってくれ!」と言われたら、まずこれから。それなりにウケが取れます(笑)。

『Kuch Kuch Hota Hai』いろんな思い出がつまった作品ですね。

……そうそう、肝心のクーラーはほとんど効いてなく、汗だくで見てました。まぁ、インドらしいといえばらしいかも。ちなみにデリーなどの最先端の映画館は、日本のそこらのより豪華です。椅子もフカフカ! そのへんのお話はまた今度ということで。

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